全体的に安定したいい演奏で、安心して聞くことができました。近年のライブではハウのリズムの乱れが多く、危なっかしい 演奏が見受けられましたが、ハウ自身がバンマスとして演奏を仕切っていたことが奏功したと思われます。ハウのソロは全体的に短くまとめられ、リズムが不安定になる前に切り上げる印象。反面、スリリングな部分はほとんどなく、アンコールのダウンズのショルキーとのソロバトルもなし（見たかった）。しかし、今のイエスはこれでよいと思います。いい演奏を聞かせてくれました。ハウのトゥビーオーバーのアコースティックソロも素晴らしかった。ジェイシェレンのドラムスも安定しており、特に燃える朝焼けでのドラミングは印象深いものでした。ただ改めてアランホワイトのタイトなドラミングはイエスによくマッチしていたと思わされます。シャーウッドはスクワイアに勝るとも劣らないベースプレイですが、コーラス的には時々本来ハモる部分を省略しており多少気になりました。いい演奏で、これで見納めになるかもしれないライブとしては大変満足でした。

このバンドは、出しゃばったゴツゴツしたクリスのベース、美しいハイトーンだがグルーブ感はないジョンのボーカル、超絶技巧でディストーションがほぼゼロのスティーブのギターがあってのことと思っていた。冒頭、緩いテンポで"edge"の効いていない出だしに「危機」(！)を感じたが、その後は意外に若いメンバーともしっくりいった演奏で楽しめた（「環状交差点」の最後のアコースティックギターのブレイクでちょっともたついたのはご愛敬か）。現在進行形のバンドでないことは勿論分かっていたが、ジョンがかつてのバンドを現状望みうる最大限の形でレトロスペクティブに再現したと理解すれば満足できるのではないか。

第1部のセットもオープニングいきなりの、危機からラストの燃える朝焼けまで、最高でした。 また行きたい！