石田洋介 のライブレビュー (4件)

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MOSAIQUEリリースツアー

2017/06/24 (土) 19:00開演 @ Live Bar DUTCH(大阪府)

うのじ。さん

昨夏以来のDutch。ハコもjunさんも変わらず、愉快であった。 Ducthは二度目。ハコの空気は熱いし、それでいていいゆるやかさがあるし、メシもの旨いし(こいもの唐揚げが美味しくて、思わずおかわりした)、実に居心地がいい。 大阪・名古屋では石田さんへの歓迎ぶりがすごい。東京にはない独特の熱さだ。 待ってたんだ!!って客席全体が大きく揺れている。その空気も含めての居心地の良さなのだろうと思う。 石田さんとあんなちゃんはもう10年以上の、あんなちゃんがまだ10代のころからのお付き合い。 いいな、と思うのは、そこに馴れ合いがなく、あんなちゃんに石田さんへの信頼と尊敬、リスペクトの精神が溢れているのが伝わること。なんでも石田さんとのライブのときは下着を上下揃えてくるそうで(普段は揃ってないこともあるのに・笑…そして、このネタは昨夏も話してたなあ…)、それはまあ冗談だとしても、そんなことをフランクに話せるくらいふたりの関係性がいいものだ、ということだ。 そのことは、音でもわかる。 ふたりで開演前にご飯を食べに行って「サングリアとビールをもう飲んできた」というご機嫌な石田洋介氏。 前日のSHOJIMARUはキープロも含めメンバーは全て男性、キープロの音がハードで厚かった分、客席もそういう音を求める空気があって、野郎感とラフさとワイルドさと、いくばくかの緊迫感があったライブだったが、この夜は、あんなちゃんというかわいい女性と一緒、客席はほとんどが石田さんもよく知っている顔、客席の空気そのものがまるで違って、石田さんはフランクでフラットでフリーだった。 まるで自分の家にいるみたいに。自由に息をしていた。 セットリストもMOSAIQUEの宣伝しなくちゃと言いつつも、つきあいの長いあんなちゃんと一緒とあってか、古い曲も多めであった。 前日のSHOJIMARUでの3ピースと異なり、この夜は、カホンあるいはタンバリンと、石田さんのギターのみ。 しかし、だからといって音が薄いなんてことはない。 あんなちゃんがカホンで、頭の拍を強めに叩く。そのカーンと抜けた音で、曲の拍子をグッツと掴んで、アグレッシブに曲をリードしていく。 気持ちのいい音。 石田さんも気持ちよさそうだった。 コーラスも時折やらされていて「ひーっ!」って顔していたけれど、「なんでもできるんですよ、うちのあんな隊員は」と石田さん、笑ってた。鬼だ。(ところで、あんなちゃんはアンヌ隊員を知っているのだろうか) 「ライブハウス」ではあんなちゃんのカホンが冴え渡っていた。 この曲はサビの「ライブハウスで知ったのさ」のシンコペーションで入ってくるビートが強く心をせり立てるようなところがある。パーカッション、重要で、あんなちゃんの突き抜けるような音が身体に響いた。 おいしいものを食べよう」ではタンバリンに持ち替えて、これもご機嫌に。実にシャープだな、と思う。 石田さんは最後のギターフレーズをまたちょっともにょって、思わず「まぁた、うまくいかなかった…」とぼっそり。そういうところも含めて楽しんでいる客席だった。 「僕はフォロワー」ではあんなちゃんはコーラスに入っていたが、しきりに照れくさそう。 「いきなり崩れるような君の笑顔」「空っぽの僕、犬とお散歩」と古い曲が続くのも、あんなちゃんだから、なのだろう。 「~犬とお散歩」では、ラストのフェイドアウトをあんなちゃんにもやらせる無茶ぶり。そういえば昨夏はひとちゃんにやらせていた。可愛い子に鬼対応の石田洋介。 あんなちゃんはとても表情が豊かで、歌詞を口ずさみながらカホンを叩いているうちにその歌詞を間違えたときがあって思わずペロッ!と舌を出したり、わからなくなると両手で顔を覆って身悶えしたり、見ているのがほんとうに楽しい。 なのに、音はガツッと空気を自ら掴んでいくような、かわいらしいとは真逆の強い音なのだから面白いことこのうえなかった。 「満天の星」はあんなちゃんに休憩を取ってもらい、石田洋介ひとりで。 ほぼエコーはかけず、生に近い声で。 ギターの音が粒だって聞こえた。 太い弦がブン、と響く。石田さんがこの曲を弾き語る時、この低音が心地よい。そして、ギターのみとは思えない音の広がりが生まれる。この夜は特にギターの響きが印象的だった。そしてそこに丁寧に言葉を載せていく石田さんの声の豊かさが。 実は、星のあまんのふるさと、交野から、星のまち観光協会の皆様が大勢ライブに来ていたのだが、それゆえか、客席との強い交感があって特別な空気を作っていたと思う。 後半は、選曲が怒涛であった。 「僕らは友達」でぱんぱんの観客に大汗をかかせ、「ソウルシンガー」では狭いDucthをぎちぎちに自分の声でいっぱいにする。 前夜のSHOJIMARUよりも明るく、ラフに、自由に。 観客の歓声も、段違いに明るかった。 石田さんの歌うソウルシンガーにはいろんなカラーがあって、場所場所で違う。この日は、喜びの感覚の強いソウルシンガー。 「ハッピー・バースデイ」は、ジャマイカ!!感満載! 音がゆさゆさする。 あんなちゃんが途中、拍をちょっと見失って照れていたのがかわいかったが、つかんだあとの集中力のすごさの方が忘れがたい。 「PUZZLE」からの「ふたりの屋根」はこのところお気に入りの流れのようだ。 途中、冗談のように、前方をアリーナ、後方をスタンドにする、と言い出して、またさすが大阪!と思ったのだが、後方のお客さんがスタンドー!!と煽る石田さんに、拍遅れでイエー!!と、練習もしていないのにぴったりのタイミングでディレイしてみせたのは素晴らしかった!! そして、普段はやらない入れごとがちょいちょい入ってくるな、と思っていたところへ、まさかのラストのスキャットをコール&レスポンスさせるという…ちょっと笑ったけれども、そんなフリーダムさが後半は随所に溢れていて実に楽しかった。 ラスト「アイタイ」はもう、全員有無を言わさずアイタイコール満載で。 石田さんも大汗を掻いていたし、客も大汗を掻いて、思い切り歌っていた。 アンコールがすぐさまかかって、最後にMOSAIQUEからの曲…じゃないんですけどね、と笑いながら、「頑張れって言葉が嫌いな君に僕は問いかける」。明るいカホンとシンバルの音がとてもよかった! あんなちゃんも楽しそうだった。 ラストは「こもりうた」をひとりで。 「自分が曲を書くのは結局は、自分のわがままだ」と言う。「もちろん、依頼されて書くときは心を込めて丁寧に書きますけど!」と笑いつつ「作って、歌うも歌わないも自分の自由」。 「こもりうた」を作っているときに何を思っていたのかはもう定かではないけれど、歌詞が全部ひらがなで書かれてるのは、子どもにも伝えたかったのかもしれない。 「これはおそらく曲を書く人はみんなそうだと思うんだけど、一生に一曲でいいから、永く歌い継がれる、スタンダードを作りたい、と思っている。もしかしたら、この歌はそんなスタンダードになれると思って書いたのかもしれないです」 そして、やさしく、やさしく歌った。 熱気に溢れたDutchの空気を鎮めるように。 とても、やさしく。

キープロ×石田洋介2マン

2017/06/23 (金) 19:30出演 @ THE SHOJIMARU(東京都)

うのじ。さん

THE GOT KNEED STONEとのリリースパーティーを終えたばかりだが、そのTHE GOT KNEED STONEのメンバーでもある森利昭さん、エンリケさんのふたりとともに登場。 終始、男っぽい音。 リズム隊が強いとここまでドカドカとワイルドな音になるものか、と実に新鮮な1時間であった。 冒頭、白いシャツでふらりと現れた石田さん、軽く名乗ってさっと歌い出す。 「モザイク」 驚いた。 新譜「MOSAIQUE」の冒頭に収録された新曲だが、リリースされてから2ヶ月近く、一度も歌っていない曲なのだ。 リリースパーティーですら歌わなかった。 華やかな曲ではない。 石田さんが掻き鳴らすギターの煽情的な音の上で、破裂するような強い歌い方で歌われている曲。 人が生きるということ、人が本当の意味で自由であるということの、是も非も呑み込んだ歌。強い風をイメージさせる歌。 聴きたくはあったが、音としても曲の持つ雰囲気としても正直、ライブには向いていないかもしれない、と思っていた。 何か、思うこともあったのだろう。 この夜は、1曲目にその歌を選んだ。 CDほどの激しさは抑え、少しゆっくりと、今そこで言葉を選び、紡いでいるかように歌った。 歌詞カードにも掲載されていない歌詞を、耳をそばだてて掴もうとした、2ヶ月ほど前のことを思い出す。 どんな風に歌おうと、あの詞の力は変わらない。 君が望む場所へたどり着けなかったとしても きっと誰かがそこへ 辿り着くはず 君がそれを悲しく思うのは君の勝手だ 君は君にしかたどり着けない場所にいる 初めてこの曲を聴いた時に訳もなく湧いた涙。 多様を本当の意味で受け入れるのも、受け入れられるのも難しい。優しさに甘えずひとりで生きていくのもとても、難しい。だが、この曲からはそのための力をもらえる気がした。 自分のできることを今いる場所で、しっかりと大地を踏みしめる力を。 この耳で、生で聴けた。嬉しかった。 そして、「誰も欠けてはならない」と謳うPUZZLEへ続く。CDと同じ流れ。 「モザイク」で心を奮い立たされ、「PUZZLE」で救われるのだ。 ライブハウスでひとりで歌うのは久々だろうか。 最後のコーラスは少し迷ったようだが、結局、観客に歌わせた。少し張り詰めた感じもあったハコの空気が途端に優しく明るくなった。 いい瞬間だった。 少しのMCを挟んで、「おいしいものを食べよう」。 やや、歌詞が飛ぶ。客席の野次に笑う。 ご機嫌なロックンロール! ご機嫌なギターサウンド! SHOJIMARU、音が大変によくて、弦の弾かれた細かい音が最後尾まで届いた。 ご機嫌なハコ! 「何の歌かわかった? 僕ね、滑舌悪いんですよ、だいぶ問題あるけど」とおどけてみせつつ「満天の星」へ。 星のあまんというキャラクターのこと、星の美しい土地であること、日曜日にはこの曲の舞台、交野市へ訪れることなど、いつもよりはだいぶさらりとした説明をしたのち歌い出す。 ギター1本で歌うのは初めてではないが、歌いこまれてきたこと、SHOJIMARUの音の良さもあって、ギターだけとは思えない迫力があった。オーディエンスにしん、と聴き入らせる力が。 石田さん自身の声にも、歌いだした昨年夏のころよりも、声に強さと何よりもスケールがついたと思う。 もちろん、翌日の大阪Dutchもよかったし、交野で聴いた満天の星にもまた特別な感慨があった。 そして、SHOJIMARUでのエコーも強く効かせた音、声でスケールを作ってぐっと押していくような感じも大変によかったのである。その場、その空気ごとに変わる音を享受できる幸せがある。 ここで、森さん、エンリケさんを呼び込んで、3ピースでの後半。 エンリケさんはSHOJIMARUは経験済、石田洋介、森利昭の両氏は初とのこと。 ちなみにこの3人でやるのも意外なことに、初だそうだ。 石田さんがエンリケさんとの縁をやや長めに語るのだが(不意に笑って「なーにはともあれでかいこーえー」と「でかい声」の節を歌ったエンリケさんだった)、一向に森さんに触れないので森さんも思わず「俺のことは?」と茶々を入れる。石田さん、語ろうとして「今はやめよう、あとにする」と言いながら結局、話さないまま終わった。 「ソウルシンガー」「ライブハウス」「ハッピー・バースデイ」「アイタイ」の4曲。 森さんもエンリケさんも、つい先日のTHE GOT KNEED STONEとのリリースパーティーで演奏していて、その時ももちろん熱い音だったのだが、3ピース、それも強力なリズムパートなふたりだけになると、骨組みが剥き出しな建物のような、荒々しささえ感じるサウンドに。 強い疾走感、強いビート。 煽られるように石田さんの声も太く、荒々しくなる。凄まじい野郎感。 SHOJIMARUの音もまた、最後尾まで粒だって届く素晴らしいハコで、ソファの下から突き上げるようなビートが心地よかった。ご機嫌にすぎた。 「ソウルシンガー」の緊迫感のある声。コール&レスポンスの野郎っぽさよ! 「ライブハウス」ではゆきゆっき、田光さんのコーラス部分を森さんが(本当は二度目の田光さんのパートはエンリケさんのはずだったとか?)。これまた新鮮。 「ハッピー・バースディ」はレゲエのビートが強く強調された。酔うような心地で聴いた。 「アイタイ」では、始める前に「みんなのアイタイ人はどこにいるのかな」と客席に囁くように尋ねた。「空の向こうにいる人にも逢えるよ」とそっと石田さんが言った時、この夜、とある訃報に接したところだったのでことさらにしみる思いで聴いた。 そんな優しい言葉のあとに続いたサウンドは強い疾走感を伴っていた。森さんのドラム、エンリケさんのベースに煽られ、煽られ、次第にテンションが上がっていく。 大きなコール&レスポンス!! 感傷を振り切るように、叫ぶ。 「アイタイ!」「アイタイ!!」と。 正味1時間か。ワンマンではなかったので曲数も絞って、比較的MCも少な目に歌った。 まず他ではない、緊迫した音、野郎感が強い、太い音。声。力強さ。 この夜は楽しい!というより、圧の強い音を聴かせまくってくれていて、私はそれに痺れていた。笑いがまったくなかったわけではないが、少なめではあった。 初めてのハコの緊張感、いつもと少し違う顔ぶれのオーディエンスという状況と、石田さん自身のメンタルと…いろんな事情が重なって、その日その日のライブはできあがっていく。まさに、一期一会だ。 充実した時間だった。来てよかった。

ハモニゴン×石田洋介

2017/05/26 (金) @ Earthly Paradise(神奈川県)

うのじ。さん

石田さんと、ハモニゴンのギター高岡けいゆうさんとは、昔からお付き合いがある(後で伺った話だと、河合英史さん、ラリー小野田さんなど、石田さんが10年くらい前まで一緒に組んでらした皆様あたりがご縁な模様)のに、一度も共演したことはなかったんだそうです。ハモニゴンはインストルメンタルバンドなので、確かになかなか機会はなさそう?かな? アースリーパラダイスは小さいハコなので、お互いの演奏をお互いが聴きながら待つ、という形になるのですが、2組ともお互いの音にワクワクしてるような空気がありました。 最後はPUZZLEをセッションしたのですが、とても楽しかった。 途中、「僕らの演奏に石田くん、自由に入ってきて構わないから」と武田さんに言われて「何をすればいいんですか」「即興で歌詞つけてもらって」「無理ですよ(笑)」なんてやりとりもありましたが、お互いの曲をやる、と言う、そんなセッションも聴いてみたいです。 アスパラでやるときはいつもふんわりした空気になるんですが、この夜も石田さん、ゆったり柔らかくやってた気がします。 とにかく料理が美味い!アスパラにふさわしい「おいしいものを食べよう」から。ロケンロール!の一言で始まってご機嫌ご機嫌。 …と思ってたらそのまま、何やらギター鳴らし始めて「久しぶりにやっちゃおうかな」と「借り物競走」! ピャーッ!て自然に両手が上がったよね! すんごいラフに、すんごいちょっぱやで、ショートバージョンでしたけど、この2年半ずーーーっと、一度、今の石田さんの声で聴いてみたかった曲だったので、歓喜!!以外なかったです。 歌詞くっそ間違えてたけど! いいんです! 途中、頭ぶんぶん振りながらのギターフレーズ、かっちょよかったね! スイング強めで痺れました。 この曲ね、歌詞が石田さんの曲の中では比喩が強いし、ワードの使い方がむったくそ尖っててほんとに面白い曲です。聴いたことない人はぜひ「ハッピー・バースデイ」に入ってるので買って聴いてみてください。 けいゆうさんとのご縁で昔の曲をやろうと刺激されたのかなー? ともかく、神様、石田洋介に気まぐれを起こさせてくれてありがとう! そのまま「ライブハウス」まで、ぐっとビート強めにラフな感じで立て続け。 途中、みんな魂焦がしてる、を声を潜めて繰り返してブレイクを入れるとこがねーほんとにほんとに好きでねー(石田さんいわくの「テクニック」?・笑)。 そこから、サビにばーん!と再び爆発するところがたまらんとです。 青春の鬱屈と発散、て感じがする。 ライブハウスは、最後のスキャット入る形は久々でした。これも、石田さんの気まぐれ。 いきなり崩れるような君の笑顔。 この夜もスイング強め、スキャット多め。 途中、歌詞がごしゃっとしたのか盛大に噛んでいた(笑) (君が悪魔でも僕はかまわない、が、僕まままわないになってた…) そして、直後に「滑舌悪くて気が滅入る」と歌詞を替えてきた(笑) そんなゆるさもあり、なアースリーパラダイス。 MCでもちょいちょい噛んで突っ込まれて「こういうときはもうねゆっくり喋りましょ…喋りたいことがたくさんあるとね、どうしても生き急いでしまうから」。「生き」急ぐほどの話なのかとこれまた皆に突っ込まれてましたが(笑) そんな空気の中、「満天の星」。 途中から遅れていらした方々が入るのを待って、サビ前のほんといいとこではあったんですが、ふっと笑って、いらっしゃいませ、と言って、また何事もなかったように歌い継いで。 このあたりの自由さ加減が石田さんのライブで好きなところ。「自分が気持ちよく唄うこと」を優先しない。あ、いやそりゃいい環境できちんと唄うこと、はプロなんだしいつだって求めてはいるんでしょうけど、その場その場の聴衆も含めた現場のいい空気を保つことのほうを大切にしてるんだろうな、と、そして、どんな状況でも歌えるよっていう自信とをいつも感じます。 けいゆうさんのリクエスト、という「空っぽの僕、犬とお散歩」。 ラストは自家製フェイドアウト! 囁くように、囁くように。しん、と。でも最後はにっ、と笑って「おしまいです」(笑) 「なくなってほしくないものは、普段から意識してきちんと手にしないとだめですよ」 ちょうど明治の「カール」が、販売不振による製造工場集中化で関東以北での発売がなくなる、というニュースでざわざわしてた時で。 「なくなるってわかってから騒ぐんじゃなくて、普段から買っておけって話でしょ? だから僕はCD買いますよ」 「次の曲もそんな唄。愛とか自由とか、ちゃんと大事にしないとなくなるよ、ってそんなことを唄ってる。久しぶりに唄います」と「PeopleGetReady」。カーティス・メイフィールド。 途中から、石田さんの訳詞で。 しん、と皆、聴き入って。 続けての「ソウルシンガー」とともに、様々な想いが小さなハコ中に充満してた。 この夜の「ソウルシンガー」はピリッと辛いソウルシンガー。 ビリビリと石田さんの声の震動が頰をかすめていく。熱くて、音が痛いほど。 真っ暗で何も見えなくても 聴こえるだろう やかましいあの声 このときもですが、後ろのPA卓を操作しながらマスターやけいゆうさんが、時々、渋い声でyeah、と合いの手入れる時があって、すごくね、その感じがご機嫌でした。 楽しんで聴いてる、いいな、と思ってる、そんなことが短い中にこもってて。 そして「アイタイ」。 石田さん、イントロでみんなにも唄って欲しいんだ、と言いながら「みんなは、アイタイ人は近くにいるのかな? 遠いのかな?」と尋ねる。 私はもうこの曲を聴いた最初から、遠い空の向こう、このリアルな世界では2度と逢えないあの人のことしか浮かばない曲なので、ふっと天を見上げていたのだけれど、そこに「距離は関係ないよ、アイタイ気持ちが全てだよ」と優しい声で添えて歌い出したものだから、ぶわ、と世界が潤んでしまった。 みんながアイタイ!とコールする中、喉が詰まってなかなかできなかった。 えい!と心に馬力をかけて、ラストは大きく大きく声を出したけれど。 強く、ゆかしい、という気持ちにさせられた、この夜のアイタイでした。 石田さんも、ずっと昔からの縁がもたらしたこの夜のライブで、そういう「ゆかしさ」があってのこの夜の選曲いろいろだったのかもしれないな、と感じてます。 最後はセッション。PUZZLEを。ハモニゴンとのセッションは本当に新鮮だったので、また、何曲かセッションを混ぜつつ、共演してくれたらいいな、と思います。石田さん、何度も何度も「でっかい声出すよー!」って言っていて、2月のアスパラでは「8割から9割」だったこともあったので、ここで10割の声を聴かせられるのは実は初めてになるんですよね(ベミーズの8月もちょいちょい高音、擦れてたので)。 そんな気持ちも働いてたのか、いつも以上にでっかいでっかいでっかい声で歌ってたように思います。

灯ともし頃

2017/06/10 (土) @ 大塚Donfan(東京都)

うのじ。さん

サンダルバッヂの赤松クニユキさんがシリーズとして行っているジョイントライブに石田洋介、初参戦。大塚ドンファンも初めてだったそうで、どんなところだろう、と思ってきたら、知った顔ばかりだった!!そうです。 ひとちゃんが演奏するのは事前に石田さんからお知らせありましたが、まさかの春日井さんまで! ほんとに遊びに来ただけなのに出ちゃった!って感じだったようです。昨年夏の名古屋以来のこの顔合わせ。 ご機嫌じゃないわけないじゃなーい? 赤松さんとは、2015年秋に赤松さんのレーベル発足パーティーに石田さんがゲストで出て以来、約2年ぶりでした。 ライブは、二部構成で、一部は赤松さんからの石田さん、二部は石田さんからの赤松さん。 石田さんはひとちゃんと春日井さん連れてきてたのもあって大盛り上がり!な音で赤松さんに引き継いだんですが、赤松さんはひとり、ギター1本なのでずっと、ずるいずるいってぼやいてて。でも、そのあと歌い出した第一声から、あの場の空気が一気に締まって、ガラッと変わった。初めて赤松さんの唄を聴きましたが、空間の支配力、声の力は素晴らしかった。 ご本人は不調だとおっしゃってて、終わってからもだいぶダークだったんですが(御本人のツイートもだいぶ凹み調…)、不調でああなら、本調子はさぞ、と思わせてくれる声でした。本調子の赤松さんの唄に逢いに行きたいです。 そんなわけで。 赤松さんについてはほぼ何も把握してない状態で聴いてたので、セトリも不明ですが、新曲も交えつつの7曲ほど。 中では、1部の3曲目に唄った「かげろう」でしょうか、非常にしみました。 身体的な感覚なのでうまく言えないんですが、聴いてるうちに自分の眉間から胸にかけて「開いた」んです。すぱん、と。そこに赤松さんの声が流れ込んでくる感覚。わっ、と音が身体に入り込んできた。涙が無意識に湧きました。 音を高くするときに、少し声がキュッと跳ねる感じがなかなか切なかったな。 さて、先輩・石田洋介。 最後だったかな、「俺だって、今日、ベストだと思ってやってはいませんよ? いやそりゃ、いつでも命削って歌ってますよ、歌ってますけど、歌ってりゃ色々あります…」と話しつつ。 この夜は、急遽、春日井さんが入ったこともあるし、赤松さんが割と早めに白ワイン飲んじゃってたのもあって石田さんもいきなり白ワインいっちゃって、完全に酔っ払ってはいないまでもなんかふわふわはしてて、ノープランモードがいつにも増して炸裂してました。 ほんとに考えてなかったらしくて(いつもはそうは言いつつ、メモくらいはあったり、iPhone見たりはしてるけど、本当に何も見なかった、カンペも用意すらしてなかった)、ほとんど、ひとちゃんと春日井さんへの指示は、「えーと、アレだ、アレやろう」 …どこの熟年夫婦だっ(笑) でもね、これで、ポロン、と石田さんが頭のコードを弾くと、ひとちゃんも春日井さんもああはいはい、とうなづいてやれちゃうんですよね。そのあたりの3人のフレキシブルさがとても心地よかった。 セトリを決め込んだみっちりしたライブも好きだけど、こんな風なフリーなライブも楽しいものです。予測できないしね。 ピアノ、今村仁美。前日のやまはき玲さんのサポートよりも、ひとちゃん、少し、厳しい顔つき。でも楽しんでるのがよくわかる。ぶっつけなので緊張感が強かったのかな。 石田さんとやる今村仁美は、かっこいいんですよ。ふっ、と歌の世界にトランスしてくことが多々、石田さんの声に身体ごと溶け込んでいこうとしてるかのような。 パーカッション、春日井直人。春日井さんはもっと石田さんと最近一緒にはやってなくて(名古屋での4月の加藤總本家以来)、なのに、すぱっとついてくところがほんと憎い。 わくわくしちゃったなあ。まずこの3人の顔合わせ、東京じゃ難しいですからね、ほんとレアでラッキーでした。 おいしいものを食べよう、そして、ライブハウス。ずっとCDで聞き込んでた春日井さんのパーカッションに、ひとちゃんのピアノで聴けるなんて幸せの極致! ドンファンは、本当にきれいなハコだった。明かりも、壁も、内装全体も、空気もとても。 SHINOBUさんとHIDEさんの細心の目配りが至る所に届いてる感じ。 6/10はレイ・チャールズの命日だそうで(久々に出たぜ、命日マニア)、でもレイ・チャールズなんて歌えないんでね、その代わり天にいる偉大なミュージシャン達に捧げます、と、ソウルシンガー。お酒の力も働いたのか、声が大きく揺れて、揺さぶられて、漂うようなソウルシンガーで、聴いてて心地よすぎて半分くらい眼を閉じて揺れていた。 後半は畳み掛けるように観客参加型の曲を。僕らは友達、そして、PUZZLE。 狭いドンファンに響きすぎるほど響く、みんなの唄声!石田さん、実に久しぶりに、最後に「みんながいるから僕は唄える」と歌ってた。おお、と思った。ドンファンの雰囲気、とてもよかったのでそんな気持ちになったのかもしれないです。 とにかくこの夜の石田洋介は、いつも以上に予測できないフリーダム。 最後はアイタイ。ジャズバーで、これを持って来たかっ!ストレートに熱いぞっ! アンコール。 「なんかやれって言われるとやりたくなくなるから、言われる前にさっさとやろう」と憎まれ口叩きながら選んだのは「パーティは終わった」。一瞬で石田洋介ワールド。 最後の最後に、おまけ、な感じで、ハッピー・バースデイ。アイタイの最後に久々にテイラーちゃんの弦を切ってしまったので、ギターなし! ピアノからってなかなかないので、ひとちゃんが少しキーに迷いつつ弾き始めてたけど、よし、って掴んでからの集中力、凄かった。そして、始まるや否や、すでに終わりモードでソファにくつろいでた春日井さんがバッ!と立ち上がってスタタターーッとパーカッション前に飛んでった、あの背中にも惚れました。ほんとかっこいいな、この人たち! 大好きな、GetUp,StandUpを盛り込む(それも本編まで長めに!)バージョンで、一番後ろで、巣鴨からいらしてたご夫婦の奥様とウェイウェイ一緒に盛り上がりました。 ひとちゃんの、春日井さんの、石田さんの笑顔と、なんとも居心地のいいドンファンの空気とで終電まで皆さんと楽しく飲んで笑ってふらっふらで帰ったこの夜。 あー、楽しかったなー! ほんとにいい空間でした。

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