ひらりさん 彼女のメジャーデビューから10年、ようやく念願だったライブを観ることができました。仕事の慌ただしさを引きずって息も整わないまま座席を目指したのですが、自分の席に辿り着き思わずニンマリ。なんとアリーナ2列目ではないですか。ステージは手の届きそうな距離にあり、これだけで興奮は沸点に達してしまいました。 ステージは天井から吊られた数十体の折り鶴のオブジェ下にバンドセットというシンプルな造り。オープニングに派手な仕掛けをせず、ステージ横から彼女たちが静かに登場すると武道館の場内には大きな拍手が。そしてその演奏はあまりにもさりげなく始まったのですが、ひとたび彼女の声が発せられると一気に私の五感はステージへと引き寄せられてしまうのでした。 この日のセットリストは今年発表された新譜を中心にした構成。ギターアレンジの強いバンドサウンドの曲が多く、私の好きなピアノアレンジの曲は少なかったけれど、楽器隊の奏でる音色は技巧溢れる確かなもので、彼女のスモーキー・ヴォイスは勿論、その息遣いまでもがすぐ傍にあるメインスピーカーから鮮明に伝わって、極上の時間に浸ることができました。 ステージからバンドメンバーが捌けてのピアノソロ "The Nearness Of You" と "Don't Know Why" では体の奥から震えがくるような感動が押し寄せ、センターマイク1本を彼女とバンドメンバー全員で囲んでのアコースティック演奏となったアンコールの "Sunrise" と "Come Away With Me" では全ての聴衆が笑顔と手拍子でステージをサポートしている一体感を共有できたことなどが印象深く思い出されます。 曲間の「キテクレテ、アリガト」なんて一言も妙にほっこりさせてくれてヨカッタな。普段はあまり印象に残らないオープニングアクトも、ジム・カンピロンゴがギター、ベース、ドラムのスリー・ピースで聴かせてくれたブルージーかつカントリー調のインストの曲々がとても素晴らしかったです。 いいね! 7 コメント 0 2020/10/23 (金) 17:24