亜咲花 ライブBlu-ray『亜咲花ワンマンライブ2020 ~ERA~』発売 声帯ポリープ手術を超えた初のライブに込めた思い

2021/04/06
亜咲花

アニソンシンガー亜咲花が11月20日(金)に行ったオンラインライブ『亜咲花ワンマンライブ2020 ~ERA~』がライブBlu-rayとして3月31日に発売された。

2020年4月に声帯ポリープの切除手術を行ってから、初のワンマンライブとなった今作。亜咲花としてはこのライブにどういう思いで向き合ったのか、どういう内容だったのかを直接インタビューした。復活の亜咲花が思う今を感じ取ってもらいたい。


――この度は昨年11月に開催となったオンラインライブ『2020〜ERA〜』のBlu-ray発売とのことで、それについてお伺いできればと思っています。改めてオンラインライブを開催していかがでしたか。

約1年ぶりのワンマンライブそしてオンラインでワンマンライブを行うのが初めてだったのでどうやって歌を届けていこうかなと非常に悩みながら準備をしましたね。あと、去年の4月に声帯ポリープの手術があり、術後にワンマンライブをすることが初めてだったこともあって、最後まで全力で歌いきることができるのか、っていう不安も当時ありまし。本番前はどんなライブになるのか自分でも予想がつかない、だからこそ気が抜けないな、って思っていました。

――1曲目が始まる前、舞台上に登場した時に緊張感があるのは見ていて感じました。

バレていたんですね(笑)。本当にそれはあったと思います。リハーサルでうまくできてもライブって何があるか想像つかないんですよね、やはりナマモノなので。本場直前まで緊張はしていました。

――リハーサルは順調にいったんですね、そこで安心感を得られた部分とかは?

リハーサルをしたときに上手くいったし不安な部分はなかったんですけど、もっとできるはずというのを感じていて本番でリハーサルで感じていた「もっと」をきちんと出して届けることができたので自分としてはすごく嬉しかったです。リハーサルって、その時点で自分ができない課題を見つけて本番につなげていく作業だと思っているんです。それがきちんと身を結んでクリアすることができたので嬉しかったですね。

――先ほど声帯ポリープの手術の話があったのですが、シンガーとして喉にメスを入れることに緊張もあったと思います。その決断をするに至ったところを改めて伺いたいと思うんですが。

症状が出始めたのが2019年の夏頃で、喉がかすれたり高音が出づらいって状況が2、3ヶ月続いたんです。でも病院に行っても原因が分からず、症状も改善せずだったんですね。それで別の病院でも検査をしていただいところ声帯ポリープじゃないか、って言われました。それを教えてもらったときはマイナスの感情はなく、やっとこの症状の原因が分かったっていう安心感の方が大きかったです。それで、声帯ポリープの手術を受ければ症状が改善されて、もっといい歌が歌えると思ったらすごく心が救われたんです。それですごく前向きな気持ちで手術を受けることに決めたんです。

――その前向きさはすごく亜咲花さんらしいですね。

自分でもすごくポジティブだな、とは思いますね(笑)今まで手術を受けたことがなくて、全身麻酔とかもちろん未経験だったので不安はありましたが。あの手術を乗り越えてパワーアップした歌声を皆さんに届けられていると思うと手術をしてよかったなって思います

――手術後に声を出せるようになるまでには時間がかかったんでしょうか。

なんとか声が出るようになるまで手術から一週間程かかったんです。1ヵ月たってもカスカスの声で。本当にちゃんと元通りの声がでるようになるのか不安でしたね。芯のある声を出したり歌ったり、ということに関してはいまだにリハビリを続けている状態です。

――満足のいく声が出るようになるまでには、すごく時間がかかるんですね。

声帯の手術後は声が高くなるという方が多いと聞くんですが、私もそうで。今まで出ていた低音部分の声がでなくなってしまって、そこ補うのがすごく大変でした。逆に高音に関しては前に比べてびっくりするぐらい地声でも出るようになったんですが。

――でも今回ライブを見させていただいて、高音部分の声の伸びがよくなったという印象がありました。

それは自分でも感じました。高音を出すときに辛さがなくなったので手術以前だったら裏声に切り替えていた部分も地声で出るようになったので歌いやすいくなりました。おかげで今までは裏声に切り替えるかどうかって葛藤があった部分もすんなり歌えるようになって。今までだったら地声と裏声の切り替えで悩みながら歌っていたところもそこを意識しなくて良くなったんです。なので、その分歌うことに集中できるんですよ。それは本当によかったと思っています。

――具体的に「SCREEEAM!!!」なんかは歌っている時の印象が変わったように思いましたし。

SCREEEAM!!!」ってサビでC#って言われる高いキーがずっと続くんです。その部分に関しては手術前、声帯ポリープを抱えている状態では地声では出すことができなくて。それが今では地声で歌えるのですごく気持ちいいです。他の曲でも今までだったら出なかった声がどんどん出せるようになって、結果的に歌える曲の幅も広がったのですごく快感ですね。低音のリハビリも続けているのでいつか元の音域に戻ってしまうかもしれないんですけど。今はキーが高い部分がきれいに出せるので高音を楽しんで歌っています。

――他に歌い方が変化した楽曲はあるんでしょうか。

SHINY DAYS」も高音が続くような場所が多くて、特にサビの前なんかはすごく高いんですよ。なのでポリープを抱えている状態の時はすごく緊張しながら歌っていました。本番ギリギリまで声が出るのか、かすれないか、って不安がありましたし、実際に歌っていてかすれてしまってすごく悔しい思いをしたこともありました。

――ああ……そんな思いを抱えながら歌われていたんですね。

そうなんです。特に去年の夏頃からは自分でも不完全燃焼なライブが増えていって、人前で歌うことの楽しさに不安と緊張が勝っていた時もありました。でも、手術後は純粋に歌うことを楽しめるようになったので本当に手術をしてよかったと思っています。

――そんな中で開催した『ERA』でしたが、演出にもかなり拘ってるのを見ていて感じました。

ワンマンライブのいいところはライブのテーマだったり演出や楽曲をゼロから自分で決められることだと思うんです。それで配信だったらどんな演出ができるのかをスタッフさんと一緒にすごく考えて。ドローンを飛ばしたりカメラを何台も置いて綺麗に撮ってもらったり、今までできなかったことにどんどんチャレンジしました。お客さんにも配信でしかできない経験をしてほしいと思ったので。なので配信でライブをすることをすごくポジティブにとらえていましたね。

――演出の一環としてだと思うんですが、バンドメンバーが女性に変わっていたのがすごく新鮮に映りました。

今回は画面の向こうでも楽しく笑顔になれるような楽曲を多めにチョイスしたので、バンドメンバーも女子会のような雰囲気でわちゃわちゃした感じを出したかったんです。これまでにそういった感じでライブを行ったことがなかったので。実際にやってみたら楽しさを伝えるところはもちろん、パワフルなところも女性だからこそ出せるものがあるなって発見もあって。今後は積極的にガールズバンドでやっていくのもありかな、って思いました。

――バンドメンバーが変わって、サウンド面での変化を感じたところはあったんですか?

ありましたね。特に変化を感じたのはベースです。チャッキー(伊藤千明)って女の子が演奏してくれていたんですけれど、1音1音が明確に聴こえてくる音の切れ方をしていてすごく身体に響くんです。なのでベースの音を聴きながらリズムをとっている部分もありました。TVアニメ『ひぐらしのなく頃に 業』OPテーマI believe what you said」なんかは特にそれが強かったですね。あと、チャッキーは左利きなのでギターと左右対象になってすごくステージの見え方もかっこよかったです。

――今回のライブではかなり幅広いジャンルの楽曲を歌われていますが、曲の構成はどのように考えられたんですか?

私自身、ロックも歌うしEDMっぽい曲もあるしR&Bもあればバラードもあって。亜咲花ってシンガーいろんなジャンルの楽曲を歌えるんだな、っていうのをお伝えできたらいいと思って選曲しました。なのであえて一つのジャンルの楽曲を詰め込むんではなく、いろんなジャンルの楽曲を歌うように考えていましたね。でも、いろんな曲をただ詰め込んだ形にすると聴いている人も私自身も感情がごちゃごちゃになってとっかかりがなくなってしまうと思ったんです。なので、いろんな曲がありながらも、その中にロックのコーナー、バラードのコーナー、ゆったりした曲のコーナーにわちゃわちゃした感じのコーナーっていうふうに全体の流れを最初に作りました。その上で各コーナーに独立したセットリストを作っていった感じでした。それにMCで「次はバラードのコーナーです」って言えば聴いてくれている人も「次はバラードがくるから一旦リラックスしよう」とか心構えてもらえるじゃないですか。それもいいな、って思って。

――実際のライブの様子を見させていただいて、心から歌うことを楽しんでいるのがすごく伝わってきました。

よかったです!今、歌っていてすごく楽しいんですよ。ずっとアニソンシンガーになるのが夢でオーディションとかたくさん受けてきて、その夢がかなった今となってはがむしゃらに楽しむしかないと思ってい。声帯ポリープを抱えて歌っていた頃の辛さを経験していると、今この声帯で歌えることの幸せもすごく感じますし。

――MCでも非常に楽しそうに話をしていたのが印象的でしたね。

ライブとかでMCする時はあまりしっとりとした感じにしたくないんですよ。アーティストのカラーとして亜咲花は楽しくて明るくて、ライブにきた人には楽しい思い出を持って帰ってもらいたいので。だからポリープで大変だった話とかはさわり程度しかしないようにしているんです。それにまだ21歳って年齢なので人生を説くのも違うと思いますし。だから今の楽しさが伝わるようMCするように心掛けました

――そんな亜咲花さんですが、今回のBlu-rayに収録されているコメンタリーでは、感謝をきちんと言葉にしていましたね。

普段あんまり深く感謝とかを言葉にしてないな、って思って。今回はどうしても伝えたくなって、語っていたら柄にもなく真面目な話とか長く語ってしまいましたね。なんかスイッチ入っちゃって(笑)。

――やはり今回のライブを自分で改めて見て、感じるところがあったんでしょうか。

そうですね。見ていたらポリープを乗り越えてのライブだったので色々な感情が溢れ出てきてしまいました。

――先程もお話しましたが、本当に幅広いジャンルの楽曲を歌われる亜咲花さんです。このインタビューをしている2021年の3月のタイミングでよく聴かれているジャンル、というのはあるんですか。

今はそれこそ流行ってるAdoさんの曲とかが、J-Popのメロディなんだけど昔のボカロのテイストも残ってるような感じが好きですね。あとは邦ロックとか好きです。ただ、それを自分の楽曲に取り入れようっていう考えは今のところ持っていないですね。自分で歌うということを考えるとモータウン調の楽曲やR&Bなんかも今後増やしていきたいと思っています。アニソンであまり歌われていないジャンルを攻めていった方がアニソンシーンももっと盛り上がると思うので。

――亜咲花さんはアニソンシンガーとしての矜持を強く持っていらっしゃいますよね。アニメソングはアニメ―ションありきという部分があるからこそ、難しさもあると思っているんですが。

そうですね。自分の色が思いっきり出せないっていう難しさはすごく感じています。作品の世界に寄り添っていかなければいけないの。ただ、私がアニソンシンガーを志した理由もそこにあって。アニソンって楽曲でその作品の世界観を届けなくちゃいけないそのためにカメレオンのようにその作品の色に自分を染めて、楽曲ごとに違う色を出していくのが楽しいんです。結果的に出来上がった楽曲で「これは亜咲花のイメージと違う」と思われたら、それは私にとっては褒め言葉なんですよ。ちゃんと染まれてるってことなので。

――そんなアニソンシンガーとして今後どういう方向を目指していきたいなどありますでしょうか。

これまではいろんな色に自分自身を染めることに力を入れてきたんですけど、その中にいかに亜咲花らしさっていうものを出すか、っていう部分は現状の自分自身の課題だと感じています。楽曲ごとに色は違っても「亜咲花ってこういう歌を歌う人だな」って軸は作っていきたいと思いますね。

――最後に、改めて今回のBlu-rayの見所と、今後の活動について教えてもらえたらと思います。

私のライブの魅力はロックから、EDM、バラード、ミドルテンポ、R&Bと、本当に、1つのライブで、いろんなジャンルの楽曲を聴けるっていうところだと思っています。そんな魅力がぎっしり詰まっているBlu-rayなので、是非見ていただいて好きな曲や推し曲を見つけてもらえたら嬉しいなと思ってます。あと、今まで応援してくれた皆さんの中には私がポリープの手術しますって発表した時に心配してくれた方もいると思います。あの手術を経ていままで以上にパワフルに歌う亜咲花の姿が見れますのでそちらも楽しんでいただきたいです。そして、これからもシングルやアルバムをたくさんリリースしていきたいので応援してもらえるととっても嬉しいです!

今後なのですが、ありがたいことに歌以外のお仕事もたくさんいただけています。ラジオやらせていただいたり、大好きなゲームをやったり、あとアパレルとコラボさせてもらったり。自分がやりたい、好きだっていうことをみんなと共有したり、発信できるようになってきたので色々とマルチに活動していくことができる一年にしていきたいと思っています!

インタビュー・文=加東岳史 構成:一野大吾

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