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LIVE MASTERS

山中さわお(the pillows)

2017.12 GUEST山中さわお(the pillows)

テーマ初めて観たLIVE

菅野:菅野結以が@FMからお送りしています『LiveFans』12月のマンスリーゲストは、この方です!

山中:こんばんは。the pillows 山中さわおです。よろしくお願いします。

菅野:よろしくお願いします。今、絶賛ツアー中なんですよね、the pillows。全然プロモーションの稼働の時期でもなんでもない時期に来て頂いちゃってすみません!

山中:いや、ありがとうございます。

菅野:熱烈なラブコールを送らせていただきこの時期にレアな出演ということで…。実は私、初めましてじゃなくて…。

山中:そうなんですよね。

菅野:そうなんですよ。8年前くらいにLIVEにお邪魔させていただいたときに、いつもはLIVEだけ観て帰ってたんですけど、そのときは一緒に行っていた人が「挨拶、今日できるから、しなよ!」みたいに言われて、1回だけじゃあお会いしようと思って、挨拶させてもらったZEPP TOKYOのLIVEがありまして。そのときに「ずっとthe pillowsは私の人生の教科書です!」っていう話をしたら、「絶対ウソだ!」って言われたのを覚えてる(笑)。「俺らのLIVEにはオッサンしか来ないんだから、この若い女の子がそんな筈がない」みたいな…当時私は20代前半だったので。

山中:誰も得しないことを言うんじゃないよ、ここで(笑)。

菅野:真実を伝えていこうと思って…(笑)。絶対ウソだろって言われたのがずっと印象に残ってる(笑)。

山中:LIVEが終わった後なので僕もテンションが結構高かったんだと思います。

菅野:そうですね…。なので、私、ずっと昔から聞かせてもらっていて、本当にまさに人生の教科書的な感じで聞いてきたthe pillowsなんですけれど、この番組はLIVEを愛する人々の為のMUSIC PROGRAMということで、今、ツアー中<RETURN TO THIRD MOVEMENT! Vol.1>の真っ最中。このツアーが1997年発売の5枚目のアルバム『Please Mr.Lostman』と、1998年発売 の6枚目のアルバム『LITTLE BUSTERS』の完全再現ツアー!スペシャルサイトのほうでこの2作の時期を「黄金期」と自ら言われてるんですけど、時を経てなぜ今、これをやろうと思ったんですか?

山中:the pillowsは1989年に結成して、今もう28周年を迎えて、29年目に突入しているという長いバンドなんですね。で、もう1つ1つ何かをやるということにあまり一大決心とかが特になくて、ありとあらゆることをたぶんやってきたと思うんですね。トリビュートアルバムも2回も出してもらっているし、アメリカツアーも6回もやっているし。普段ROCKバンドというのはとにかく新曲を書いて、ツアーを回る、この2つしかやることがない。けどずっとやってると活性化して気分をリフレッシュする為に何かしようかというタイミングがやってきて、今回は今までやってないことは何だろう?と思った時に、アルバム完全再現っていうのをやってないねということになり、じゃあやろうかなっていう…一大決心ではなかったかな。でもすごく楽しいです。

菅野:今のthe pillowsでやる面白さ、どんな風に感じてますか?

山中:一番自分でも不思議に思ってるのは、20年前のアルバムといいながら、“ハイブリッド レインボウ”とか“TRIP DANCER”などは今現在、普通に定番曲として毎年毎年よくやってるんですね。なんだけれども、今回のアルバム再現というかたまりで、曲順でやってくとすごく、「あ、これ20年前に、まだ若者のときの自分が作った曲なんだ」っていう、何度も歌っている、最近も飽きるくらい歌っている曲でさえもタイムスリップした感覚があって、歌詞の一行一行、一言一言が、当時のその歌詞をリアルに生み出した瞬間の自分の感情がちょっと蘇って何か不思議な感じ。でも単純に音響的にも前よりもいい音を出していると思うし、歌も昔よりマシに歌えるので、音楽的にはとても心地よく鳴らせてるので、まああとは顔面の問題だよね。

菅野:顔面?!

山中:20代のときに作った歌を50前のオッサンの顔面で歌うっていう…ラブソングもすごく若者っぽい歌もあるんですよ。まだ自分が何物にもなれていないこれからどうなっていくんだろう、自分の人生が何物かを確認したいんだっていう気持ちをもう50のオッサンが歌うっていう顔面問題なんだよね。

菅野:#顔面問題(笑)。

山中:なのでちょっとステージに薄いレースを、幕か何かをひいてLIVEを…。

菅野:しかもレース(笑)。

山中:そう(笑)。ちょっと見えるような見えないようなLIVE…それがいいんだけどね、ほんとは。

菅野:さわおさん今でも少年感すごい溢れてるんで問題ないです。

山中:ほんとですか。もうみんなねぇ、僕のこと好きな人、視力も脳みそもちょっとおかしいんだよね。

菅野:たしかにちょっと変なフィルターかかっていることは…(笑)。

山中:すごい甘いの、俺に(笑)。

菅野:もうすでにレースかかってるんで。

山中:めちゃめちゃ甘やかすんだよ、俺のことを。それを真に受けちゃいけないの、俺は。ちゃんと自己プロデュースをしていかないと。

菅野:すごい!冷静ですね。

山中:冷静じゃないと裸の王様になってしまうので。

菅野:素晴らしい。たぶん(LIVEに)来てるみんなはカッコイイ!と思いながら観てると思うんで(笑)。

山中:甘いんだよ、俺に(笑)。

菅野:この前の金曜日に名古屋でのLIVEを終えて、次は12月15日(金)東京・ZEPP ダイバーシティ。東京で聞いてくれている人もいると思うので、是非足を運んでみてください。そして、これから4週にわたってさわおさんにはLIVEをテーマにお話をしてもらいたいと思うんですけど、今週1週目のテーマは「初めて観たLIVE」です。

山中:忘れられないね、これは。

菅野:おっ!覚えてますか?

山中:もちろんですよ。僕が初めて(LIVEを)観たのは僕が高校1年生のとき。1984年ですね。もう33年前ですか。高校1年生のときに札幌の厚生年金会館大ホールで観た、今でも大好きな佐野元春さん。佐野さんの VISITORSツアーでした。

菅野:へぇー。これはどんなきっかけで行ったLIVEだったんですか?

山中:『VISITORS』というアルバムは、少し佐野さんの当時の活動でいうと、インターバルが空いて出たものなのですね。それで2年間くらいニューヨークに行っていたのかな。向こうの82年、83年、84年あたりのニューヨークの新しい音楽を取り入れて、そして日本に帰ってきて、『VISITORS』というアルバムを出したんです。それまでアルバムは3枚出ていて、佐野元春さんといえばすべてにおいて素晴らしいんですけど、とても当時の日本人の音楽とは思えない都会的なポップなメロディーを作る、メロディーセンスがある、そして歌詞も素晴らしい、そういうシンガーなんですけど、初めてラップというものを日本に持ち込んだのが佐野さんだと思うんですね。

菅野:え?!本当ですか?

山中:はい、この『VISITORS』というアルバムは基本的にはラップをフィーチャーしたアルバムだったんです。そのラップという言葉もまだ知らないんですよ、日本人は。僕は佐野元春さんを中学3年のときに出会って好きになったときにはニューヨークに行っていたので、まずコンサート観れないわけですよ。で、過去にさかのぼってレコードを聴いていて、やっとリアルタイムでツアーがあるというときにまずラップのアルバムを出したので度肝を抜かれて…これ本当に、今の若者にはわかってもらえないけど、初めて聞いた人間からいうとサボっている感じなんですよ。なんでメロディーなしでOKなんだという…メロディーないなんてなしでしょ!っていう。

菅野:そっか!ラップという概念がないから...。サボってるって感じるってすごいですね。

山中:だってそう思いますよ。サボってるっていうのはおかしいけど、なぜ佐野さんの大きな魅力を1個放棄したんだみたいな感覚ですごいびっくりしたんですね。とはいえ僕の中のロックンロールアイドルなのでコンサートに行きたい。そして高校生になって、僕はそのとき実家が小樽にあったんですけど、札幌の高校に通ってたので、ちょっとコンサートというものに行ってみたいと思って。今みたいなインターネットとかもなく、大人気だったのでチケットを取れるか不安で、札幌のチケットを売るところがあって、始発で行ってまだ店が開いてないんですけど、5番目くらいだったのかな。

菅野:始発で行っても5番目なんだ!

山中:これはいいチケットを取れるだろうと思ったら、店の開く時間になったら整理券を持った人がゾロゾロゾロゾロ何百人も来るんですよ。実はもう何日も前から徹夜組がいて、雨が降ってきてこれはまずいというので、関係者が整理券を配ってたってことで、僕は5番目くらいかと思っていたらたぶん1005番目ぐらいだったんですよ(笑)。実際は、そこまでして取ったチケットが、厚生年金会館のギリギリ1階だったんですけど、1番後ろの席だったんですね。当時僕は片思いしていた女の子がいたんで、くみちゃんという女の子なんですけど、くみちゃんは佐野さんを好きだったのでこれはいい口実になるということで誘って。まあだからチケットをエサに誘うわけですよね、これで何とかしようということで。じゃあ行こう!と盛り上がっていたんですけど、当日、ごめんなさいやっぱり行けない、ってドタキャンされて…。

菅野:うわっ!どうしたんですか?そのチケット。

山中:佐野さんを好きな、全然一緒に行きたくない坊主頭の同級生と行きましたよね。

菅野:くみちゃんが坊主頭にすり替わった(笑)。

山中:でもVISITORSツアーというニューアルバムのツアーだったんですけど、往年のヒット曲の“SOMEDAY”という曲もやりまして、その“SOMEDAY”の歌詞を聞きながら、くみちゃんのことを思い浮かべながら、リアルに泣いてましたね、僕。

菅野:えー!

山中:とにかく佐野元春さんという人が現実に存在して、同じ空間にいて同じ空気を吸っている、肉眼で見えているということがちょっと理解できなかったというか、特に北海道の小樽という田舎に生まれ育ったということもあり、ラジオやテレビに出ている人が現実のもののような感じがしてなかったので、まだ少年だったし。不思議でしたね。

菅野:そのときはさわおさん、もう音楽はやっていたんですか?

山中:やってました。ギターは小学校4年生から弾いているので。ロックギターは中学生のときには相当弾いていて、高1はこのLIVEの後かもしれないけれどオリジナルは作り始めています。

菅野:さわお少年にどんな影響を与えたんですかね、このLIVEは?

山中:もうなんか神々しかったな。憧れのロックンロールアイドルって何人かいて、忌野清志郎さんとかいるけど、佐野元春さんって独特なキャラクターじゃないですか。下ネタとか間違っても言わないし、僕みたいにふざけんなあのブス!とかも絶対言わないし(笑)。スタイリッシュすぎてハリウッドの俳優を見ているような感覚というか。僕、そのあとthe pillowsになり、気持ち悪いんですけど(佐野さんに)会った回数を覚えてるんですよ。7回会ってるんですよ。仕事でお会いしたのだけじゃなくて、空港ですれ違ったのもカウントしてるんですけど(笑)。7回会ってるんです。でも全然距離は縮まらないですね。今となれば僕のことをちょっとかわいがってくれているような…いや、かわいがってはちょっと言い過ぎかな…いや、かわいがられてる…。

菅野:好きすぎておかしくなってる(笑)。

山中:そうなんです。だからLIVEの記憶はあまりなかったかもね。

菅野:もう佐野元春がここにいる!っていう感動が大きかった?

山中:そうですね。家に帰って、あれは現実だったのだろうか?というか、それくらいの感覚だったと思います。

菅野:へぇー。

山中:あと初めて行ったコンサートだったので、照明とかPAの大音量とか、3000人くらいがみんな拳を上げて盛り上がっている様子とか、すべてが初めてのまだ15歳だったと思うので、とにかく興奮してたと思います。

菅野:それから今でも距離が縮まらないというのは永遠の自分のなかのロックアイドルということですね。

山中:そうですね。やはり他の先輩方は普通に対バンしたりとか、打ち上げに行って「さわおくん最近どうなの?」みたいな、こういうテンションじゃないですか。でも佐野さんは「山中くん、いつもCD聴いてるよ。」みたいな。“CD”って言うんだ!カッコイイなって。

菅野:(“CD”の)発音が違う!

山中:佐野さんは英語の単語は絶対ネイティブの発音でしかしないので、例えば僕ラップって言ったじゃないですか。ラップって日本人の発音なんですよ。だから(正しい発音で)“ラップ”って言うんですよ。すごい違和感なんですけど、佐野さんだと違和感がない。僕が言ってると間違ってる風になりますけど、佐野さんが言うとそれが正解になるので。

菅野:すごい。そのハリウッドスター感っていうのを理解できました。

山中:対バンとか言わないんですよ。「また今度ジョイントしようね。」って。“ジョイント”って言うんだ!キャー!みたいな感じですよ。

菅野:カッコイイ!じゃあそんな山中さわおさんが初めて観たLIVEの佐野元春さんのセットリストのなかから1曲お届けしたいと思います。どの曲にしましょうか?

山中:やはり、往年の大ヒット曲でもあり、そして僕はくみちゃんを思い浮かべて涙を流した“SOMEDAY”を聞きたいな。

ARTIST INFORMATION

山中さわお(the pillows)

山中さわお(Vo, G) 真鍋吉明(G) 佐藤シンイチロウ(Dr)

1989年9月結成。1991年シングル『雨にうたえば』(ポニーキャニオン)でデビュー。

1992年初代メンバーであるベーシストの上田ケンジが脱退。

2004年には結成15周年を記念してMr. Children・BUMP OF CHICKENらが参加したトリビュートアルバム『シンクロナイズド・ロッカーズ』を発表。

2005年には海外での活動を本格的に始動させ、現在までに6度のUS TOURを行い、ヘッドライナーを務めたツアーでは全箇所ソールドアウト公演となるなど、海外での人気も高い。

2009年結成20周年記念日となる9月16日には、初の武道館ライブを大成功に収めた。

2014年に、結成25周年を記念してUNISON SQUARE GARDEN・a flood of circleらが参加した自身2枚目となるトリビュートアルバム『ROCK AND SYMPATHY』を発表。

2017年3月には21st ALBUM『NOOK IN THE BRAIN』を発売。11月からは、自身初となる旧作の再現ライブツアー“RETURN TO THIRD MOVEMENT! Vol.1”を開催。結成28年を超えてなお、コンスタントに楽曲制作とツアーを行う。

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近年、ライブ動員数は増加傾向にあり2016年は過去最高の4,768万人を記録。ライブやフェスといったリアルの場での音楽体験を求めるユーザーが増えています。本番組では、そんなライブに徹底的にこだわり、あらゆる角度からライブの魅力を紹介していきます。