LIVE MASTERS
2017.12 GUEST山中さわお(the pillows)
テーマ転機となったLIVE
菅野:菅野結以が@FMからお送りしています『LiveFans』12月のマンスリーゲストは、この方です!
山中:the pillows 山中さわおです。よろしくお願いします。
菅野:よろしくお願いします。the pillowsは現在、アルバムを全曲再現する<RETURN TO THIRD MOVEMENT!>のライブ中というお話しをこの前したんですけど、そんなライブツアーの第2 弾が発表されましたね!
山中:そうです!
菅野:<RETURN TO THIRD MOVEMENT! Vol.2>。これは、1999 年発売7 枚目のアルバム『RUNNERS HIGH』、そして8 枚目のアルバム『HAPPY BIVOUAC』。この2 枚のアルバムで構成されるアルバム全曲再現ライブ!熱すぎる!
山中:1999年に2枚出してるんだね、アルバム。
菅野:ほんとですね!しかもこの2枚を出してるってすごい1年ですね。
山中:すごい。元気だったね(笑)。やる気みなぎってるね。
菅野:もう擦り切れるほど聴きましたね。名古屋はツアー4本目、来年(2018年)の5月20日(日)名古屋ボトムラインで行われます。ぜひぜひ足を運んでください。そしてさわおさんとは毎週LIVEをテーマにお話しをしているんですが、3週目のテーマは「転機となったLIVE」です。相当な数のLIVEをやっていると思いますけど…。
山中:そうですね。色々とあるし、アメリカツアーとかも記憶にあるけれど、転機となったという印象は、10年前、2007年4月28日のARABAKI ROCK FEST。初めてメインステージのトリを任されたんですね。それがすごい自分にとっての大きな変化だったかな。
菅野:ワンマンじゃないんですね。フェスのこのステージが一番の転機…。
山中:うん。まず、ARABAKI ROCK FESTのメインステージのトリをやるには、当時のthe pillowsはちょっとまだ早いんですよ。ARABAKIの主催者、イベンターのGIPの菅さんにトリをやってくれないかと言われた時に、「嘘でしょ?!」って言って、「いやぁ、ムリムリ!」って断ったくらい。「人来ねぇじゃん!」みたいな感じだったんですよ。まだどこのフェスでもthe pillowsをトリにするような扱いはまったく受けてないときだったんで、「いやいや、どうした?」みたいな。
菅野:じゃあもう大抜擢だった?
山中:大抜擢だね。だってthe pillowsの前に全盛期のELLEGARDENとかThe Birthdayも出てたのかな…。だからThe Birthday出て、ELLEGARDEN出て、最後にthe pillowsって、やめてくれよ、恥かかせんのかよみたいな感じだったんだよね(笑)。the pillowsはたしかにthe pillowsの歴史のなかでは人気が上がり始めてはいたけれど、とは言っても全盛期のELLEGARDENは全く違うし、そんなのやだよと言ったんだけど、「the pillowsをどうしても1個上のステージに上げたい」と…たぶんその話をしたのはその前の年だと思うですね。そこから「絶対にメインステージのトリをできる空気感をこっちで作ります。だから堂々と安心していつもどおりのステージをやってください」みたいなことを言われて、知らねぇぞ~、大丈夫かよ~みたいな感じで(笑)。たぶんその時代のthe pillowsにとっては一番大きなステージで、一番多い人数だったのかな…でも1万人とかはいないか…7,000人くらいだったのかな。でもまあ当時の自分にとってはすごい人数で、しかも集まってくれた人たちのテンションもとても高くて。1曲目に何やろう?と思って、本来フェスはわりと元気な曲からいったり、あとリハーサルがないのでモニター環境の一番楽なものというか、ぶっつけ本番でやれる手っ取り早いのでいけるのを僕らやりがちなんだけれども、このときはそうではなくて、先週も話しましたけど、the pillowsにとって一番大事な曲は何だ?となったときに、まず“ストレンジ カメレオン”だろうということで、1曲目にやったんですけど、お客さんの聞いてくれている様子とか、聞き終わった様子とかもとても感動的だったし、自分にとっても大きな課題だったんですね。ARABAKIのトリを務めて恥をかかないで、集まってくれた人に帰り道に「the pillows良かったね」って言われたいという。何とかなるでしょっていう感じではなかった。もう頑張んなきゃと思って、ギターを練習するとか歌を練習するとかそういうことではなくて、登場してステージの袖からマイクのところへ歩いて行くときのつま先から頭のてっぺんまで、指の先まで、全部ちゃんと意識があって、その50分くらいのステージかな、1秒も気を抜くことなく、なりたい自分、こうでいたい自分を絶対やり通そう!ともう本当に気合いが入っていたので、不思議な感じだった。スローモーションで見るような、俺今から死ぬのかぐらいの感じで(笑)。
菅野:すごい。並々ならぬ思いで立ったステージだったんですね。
山中:それをやり切ってとてもいいステージができたはずだし、たぶんthe pillowsの評価が変わったんだよ、本当に。
菅野:へぇー。その主催の方が言ってくれていたみたいに。
山中:そう。なのでその後、急にフェスのトリを任されるようになったかな、あっちこっち。
菅野:わぁ、すごい転機ですね。この日のLIVEのセットリストが今、手元にあるんですけど、その“ストレンジ カメレオン”始まりからのとんでもないセットリスト…次“MY FOOT”で、最後 “ハイブリッド レインボウ”で終わって、アンコールで“Ride on shooting star”やったりとか…。
山中:でも割とシングルっぽいのやっていると思いきや、“日々のうた”という地味な曲というか。
菅野:“日々のうた”大好き...。
山中:でもこれも歌詞の思いがあってセットリストに入れたんだなと。今はちょっと忘れてたんだけど、今、(セットリストを)見て、なるほどねと。最近のフェスでなかなかやらないであろう…。
菅野:それをこの大舞台で入れるっていう…。
山中:「いつの日か必ず落ちぶれるけど俺のこと忘れないでくれ」みたいな歌詞なので、ここでやっておきたかったんだろうな。
菅野:10年前のことですけど、この頃の山中さわおにひとこと言うなら、何かありますか?
山中:どっちかというと当時の俺に今の俺が叱られそうな感じ。俺が今言いたいことは、「頑張ってたよね!」っていう感じで、毎日ちゃんとジョギングもしてすごいストイックに生きてたかな。家にランニングマシンがあるんですけど、もう何年も使ってない(笑)。
菅野:あれ(笑)。
山中:もう寝起きから酒飲んじゃうし、酒飲んで走ったら死んでしまうじゃないか、この歳だとね。だから死なないために走ってはいけない(笑)。
菅野:お酒を飲まなければいいんじゃないかっていう。
山中:そういうわけにもいかないんだよ。
菅野:(笑)。じゃあ特に10年前の自分に言うことはない?「よくやった!」って感じで?
山中:「よくやった!」だね。叱られるね。お前はそうなっちまったかっていう感じですかね(笑)。
菅野:でも曲に説得力が出ていい気もしますけどね、今のさわおさんのスタイルも。
山中:そうだね。
菅野:それではthe pillowsの転機となったLIVE、10年前のARABAKI ROCK FESTでのセットリストのなかから1曲お届けしたいと思います。
山中:やはり1曲目にやった代表曲でもある“ストレンジ カメレオン”。これ、ベスト盤に入っているRock Stock Versionというほうがあって、そっちのほうがLIVEに近い感じなので、そっちを聞いてもらおうかな。“ストレンジ カメレオン〜Rock Stock Version”。
転機となったLIVE
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ARABAKI ROCK FEST.07
2007/04/28 (土) 19:30 出演 @ 陸奥 at 国営みちのく杜の湖畔公園 (宮城県)
[出演者]the pillows
Setlist
- 1.ストレンジカメレオン
- 2.MY FOOT
- 3.ROCK'N'ROLL SINNERS
- 4.I know you
- 5.Funny Bunny
- 6.スケアクロウ
- 7.日々のうた
- 8.LITTLE BUSTERS
- 9.この世の果てまで
- 10.サード アイ
- 11.ハイブリッド レインボウ
Encore 1
- 2.Advice
ARTIST INFORMATION
山中さわお(the pillows)
山中さわお(Vo, G) 真鍋吉明(G) 佐藤シンイチロウ(Dr)
1989年9月結成。1991年シングル『雨にうたえば』(ポニーキャニオン)でデビュー。
1992年初代メンバーであるベーシストの上田ケンジが脱退。
2004年には結成15周年を記念してMr. Children・BUMP OF CHICKENらが参加したトリビュートアルバム『シンクロナイズド・ロッカーズ』を発表。
2005年には海外での活動を本格的に始動させ、現在までに6度のUS TOURを行い、ヘッドライナーを務めたツアーでは全箇所ソールドアウト公演となるなど、海外での人気も高い。
2009年結成20周年記念日となる9月16日には、初の武道館ライブを大成功に収めた。
2014年に、結成25周年を記念してUNISON SQUARE GARDEN・a flood of circleらが参加した自身2枚目となるトリビュートアルバム『ROCK AND SYMPATHY』を発表。
2017年3月には21st ALBUM『NOOK IN THE BRAIN』を発売。11月からは、自身初となる旧作の再現ライブツアー“RETURN TO THIRD MOVEMENT! Vol.1”を開催。結成28年を超えてなお、コンスタントに楽曲制作とツアーを行う。