2012/10/30摩天楼オペラ「喝采と激情のグロリア」Tour Final at Shibuya O-EAST

2012/11/07

摩天楼オペラ
3rd Single「GLORIA」の発売を機に10月上旬から始まった「喝采と激情のグロリア」ツアー。めでたくSOLD OUTとなったO-EASTの場内では、このツアーにかけるファンのそれぞれの思いがひしめき合っていた。まもなくツアーファイナルの開演だ。SEが鳴り渡り、ステージは青く照らされる。客席からは次々と腕が上がっていく。曲は次第に転調し、照明が赤く切り替われば、厳かだった雰囲気は途端に舞踏会のような様へと変わる。同時に客の拳は手拍子へと変わり、冒頭から一体感を見せつけた。

そして待ちに待ったメンバーの登場。統一された白い衣装を身に纏い、まずは楽隊の4人が現れる。Key.彩雨が早速前に出てポーズを決めた。そしてVo.苑が登場すれば歓声はますます高まる。白い衣装に赤い手袋の組み合わせが印象的だ。始まりを告げたのは、疾走感溢れる『Psychic Paradise』。この重厚なサウンドと美しい旋律の重なりこそ、彼らの真骨頂と言えるだろう。かけあいのタイミングも絶妙だ。メンバーだけでなく、客の気合いも十分である。

苑が「東京!気合入ってるかー!」と叫ぶ。バンドとオーディエンス、互いのテンションを確認し合ったところで『Justice』。苑が早速上着を投げたことで、ステージの熱いさが分かった。苑のシャウトを合図にGu.Anziのギターソロが響き渡れば、オーディエンスはそのサウンドに恍惚となった。Anziが下手を指さし、Ba. 燿にスポットが当たる。そしてギターとベースのかけ合いが入る。沸き上がる場内に、彩雨が満足げに頷いた。幸先のいいスタートだ。そしてMCへ。

「ファイナル東京!暴れる準備は出来てるかい?!」と苑が煽れば、客からは力強い返事が飛んでくる。それでも足りないのか「まだまだ!俺こんなに前のめりになってんのに、お前ら真っ直ぐ立ちやがって」とぼやく一面も。「後ろの方まで詰まってんな、もっと近くで俺を見ろ!」彼の客席を眺める眼力は鋭い。「男多いな、男ー!!」と言えば男性客から雄々しい反応が返ってくる。「今日はもう脱いでいいよ」という言葉に、男性客の1人が本当に上着を脱ぎ拍手が起こる場面もあった。それを受け「後でウチのおめでたい奴も脱ぐよ」と苑が言う。そう、本日は燿の誕生日でもあるのだ。彼へのコールが起こり、ここでも場内はヒートアップしていく。今度は「女ー!大好きだよ!」と会場全体が煽られ『落とし穴の底はこんな世界』に突入。

Anzi、燿、彩雨の3人が一斉に前に出てくる。妖艶ながらも熱さを湛える苑の歌声に会場は酔いしれた。Dr.悠の刻むビートが一層凄まじくなる。「もっと来い!」の掛け声とともに勢いは止まらないまま『Diorama Wonderland』へ。イントロが始まった途端、歓声が上がりこの曲が如何に愛されていることか伝わってきた。キーボードソロでは彩雨が華麗なプレイを見せる。Anziのギターソロでは、オーディエンスが彼を崇めるかのように腕を掲げていた。「揺らしていけ!渋谷!」と『Mermaid』では、客席のあちこちからグッズのネオンライトが登場。紫と白の光がぴったりと同じ方向に揺れていく。ステージの照明もそれに合わせ紫と白に輝く。楽しそうに跳ねるオーディエンスに、思わずこちらも身体が弾んだ。圧倒的な一体感だ。

冒頭のAnziのリフが印象的な『21mg』。夕暮れのようなオレンジ色の照明の下で、歌詞に込められた葛藤を苑が表現していく。繰り返される「僕は生きて」という言葉が客席に突き刺さっていく。お立ち台にてAnziと肩を並べ、最後まで歌い上げた。苑が捌け、ステージには燿と悠が残る。まずは悠のリズムから始まる。彼の掛け声を機に燿のビートが唸りを上げていく。そして「ドラム、悠!」とマイクを取れば、悠の迫力あるドラムソロが入る。客席からは彼を呼ぶ声が上がっていく。悠は満足そうにスティックを回した。その盛り上がりに燿が言葉を続ける。

「東京いいね!今日はソールドアウトしているということで、本当にありがとうございます!」と今日この日を改めて喜んだ。そして悠の「1・2、1・2・3・4!」という力強いカウントからますます客席とステージが向き合っていく。リズム隊による最高の幕間となった。そしてAnziと彩雨が出てくれば、インストナンバー『Just Be Myself』が始まる。Anziと燿が悠のドラム台を囲む微笑ましい場面も。傍で彩雨は踊るようにシーケンスを鳴らす。Anziのギター回しを合図に曲は佳境へ。ありったけの楽器隊のサウンドを響かせた。苑が再登場し、彼には珍しいローボイスから入る『濡らした唇でキスをして』。オーディエンスを引き寄せていくように手招いた。

次のMCでは、苑が更に客席をまじまじと眺めながら「少しは前に来る気になったかい?全然だな!もう柵を飛び越えてきていいよ!」と更に煽る。「リズムに乗ってうひゃー!って言ってればいいから。ひとつだけルール!俺が煽ったらイェー!って言って。そこからは何してもいい!」そうした誓いの場面もありつつ、次は「暴れても良い時間です」との言葉から『CAMEL』へ。燿のベースが冴え渡った途端、特効の煙が噴射しステージを包んでいく。次第にそれを掻き消すように彩雨がスピーカーに足を掛け堂々とソロを取る。ダンスフロアのような電子音が印象的な『IMPERIAL RIOT』、Anziのギターが一際目立つ『Muder Scope』など、留まることを知らない熱き空間が広がる。『Adult Children』ではその熱狂ぶりにより、客席前方が雪崩を起こし苑が止める場面もあった。体勢が戻ると、すぐにまた揺れ始める会場。「Can you fuckin’ feel me」の合唱にAnziが耳を傾ける。続く『ANOMIE』では、再び登場したネオンライトの輝きや楽しそうに跳ねるオーディエンス、それらをメンバー全員が愛おしげに眺めていた。

鳴り止まないメンバーコール。ここまでハードな楽曲が続いていたが、メンバーが次の体勢に入れば、一瞬にして場内が静かになり、彩雨が儚げなメロディを奏で始めた。『初恋は永遠に』だ。次第にリズム隊が、苑の声が、Anziのギターが乗っていく。衣装によく似合う、白い光に包まれ優しい旋律が会場一帯を覆った。演奏が止み、苑が「ありがとう」と感謝を述べると、まさしくツアータイトルの如き拍手喝采が起きた。

とうとう本編も終わりを迎えようとしている。その後のMCでは苑が今ツアーと、そして次の曲への想いを語った。「ありがとう東京。すげー楽しいです。もう終わっちゃうのが信じられない。このツアーの各地でGLORIAを合唱してきて、今日この渋谷にやって来ました。最近、裏にいてもみんなの声が聞こえてきてすごく嬉しい。このGLORIAをきっかけに、バンドサウンドを貫けるようになってきたと思う」少ししんみりとしかけた会場に、苑が再びエンジンを掛ける。「では次はGLORIAです。(合唱の)ハードルを上げとこうかな…悠がヘッドホンしてるんだけど、それでもちゃんと悠に届いたら、あいつがバンザイします!お前らの最高の歌を聴かせてくれ!」そしてとうとう迎えた『GLORIA』。ここまでの旅を詰め込んだ一曲だ。

特効の銀テープが飛び、場内がキラキラと輝きだした。MCで語ったように、苑の歌声は一際まっすぐに客席へ届く。Anziがギターを掲げれば、とうとう運命の時が来る。厚いバンドサウンドの中に済んだ歌声が聴こえる。「Spirits in our song embrance Gloria」まさしく大合唱だ。ツアーファイナルにかけるこの会場全員の想いが表れた瞬間だ。彩雨が高く腕を上げる。悠が立ち上がり、両手で大きくスティックを振り上げた。合唱は確かに届いたようだ。GLORIAも終わりを告げると、メンバーが各々客席に手を振りながら捌けていく。最後ドラム台から降りてきた悠は、先程の興奮からかステージの端から端へ駆け出し、拍手とお辞儀をして去って行った。

一度暗転をしたものの止まないアンコール、高まるばかりの客席の温度。最初は可愛らしい仕草で彩雨が登場し、マイクを取った。「今日はソールドアウト、ありがとうございます!アンコールはもっと盛り上がるから!」そしてツアー中の思い出に触れつつ、続々と出てきたメンバーへマイクを渡していく。苑が「GLORIAの合唱、震えたわ。俺と悠の10年以上の夢だったから」と話すと、次は悠が言葉を続けた。「ここまで全部聴こえた!けど、バンザイが伝わらなかったかも」と言った為、もう一度改めてバンザイをすることに。そして苑が話題を彩雨に振ると、彩雨から「今日の主役は僕じゃない。今日は燿の誕生日です!」と主役のご指名が入る。

HAPPY BIRTHDAYの歌に包まれる場内。「みんな、こんな大きな所でHAPPY BIRTHDAY歌われることもないでしょ?めっちゃ恥ずかしいよ」と、少し戸惑いながらも照れている様子の燿。「そもそも今日はツアーファイナルだし、みんなが主役です!」と纏めようとしたところ、Anziから「あれ?ヨウカさん、歳を重ねないと見えてこないものがあるって話してなかった?」とツッコミが入る。それでも「このGLORIAツアーの成功と、みんなの笑顔しか見えてないっす。ちょっと前までライブ活動を休止してたから、このツアーを通して5人でライブ出来ることのありがたみが骨身に染みました。これからもよろしくお願いします!」と綺麗に纏め直した。そうしたところで苑が「まだ体力があるってことでいいのかい?!暴れるってことでいいのかい?!」と煽り始める。

それまで溜めていたボルテージが吐き出されたのは『INDEPENDENT』『悲哀とメランコリー』。タオル回しの旋風が巻き起こる。メンバーがステージのすれすれまで行くと、オーディエンス達のテンションは一気に激化していく。ここでもGLORIAに続く合唱が起きた。ライブも終わりへ向かおうとしている。彼らの代表曲の一つでもあろう『honey drop』では、柵が割れんばかりに客の波が押し寄せた。最後を飾った『マグノリア』では、ネオンライトの光が疾走感に合わせて飛び交う。光と熱と、そして愛。「この瞬間 この僕らの愛すべき世界は きっとずっと続いていく」という歌詞が、まさにこの空間とマッチしていた。Anziのギターが心地よく響き、音が満ちていく。場内のあちこちに染み割っていくようだ。まさに大団円。「喝采と激情のグロリア」ツアーが幕を閉じようとしている。惜しむかのようにメンバーを呼ぶ声が止まない。メンバーもその声一つ一つを拾うかのように客席を見つめた。最初の公約(?)通り、燿がツアーTシャツを脱ぎ客席へ投げるというサービス精神旺盛な場面もありつつ、最後は悠の気合いの入った掛け声で、照明が落ちていった。

ダブルアンコールを期待する客席に、吉報が舞い降りた。左右のモニターが映し出したのは、4thシングルを引っさげて行われる「GLORIA TOUR-scene Ⅱ-」と、来年3月にリリースされる2ndアルバム「喝采と激情のグロリア」リリースが決定したことだった。歓喜するオーディエンス。これからの摩天楼オペラからも目が離せない。再び喝采と激情に包まれた彼らの旅が始まる。
(Text:中須賀敦子)
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■当日のセットリストはこちらでチェック! → 摩天楼オペラ@Shibuya O-EAST (2012.10.30)

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