theULTRALEA、ライブ活動休止から1年 復活ライブで感じた進化
2018/05/14
4 月 29 日、滋賀 COCOZA で開催された「深海から」にはそんな気持ちを持ったファンが大勢集まった。この日はライブ活動を休止していた theULTRALEA がちょうど一年ぶりに復活する日だ。そして、彼らにとって初のワンマンライブが行われた日だ。
バンドにとって、一年という時間はすごく長い。その間に解散したバンドもあれば、新しく生まれたバンドも数多くある。一年ぶりのライブ、しかもワンマンライブにあれだけのファンが詰めかけたのは、彼らが「ライブをしなかった」だけで、決して創作を止めなったからだ。
彼らはこの一年の間に、5 本の自主制作 MusicVideo を発表し、「Ⅶ」と「Aids」という 2 つの作品を生み出した。一年間、theULTRALEA の創作活動の一部を知っていた人は、この日を待ちきれなかっただろう。
theULTRALEA は、創り出す世界観を何より大事にする。ライブ前編はまさに、彼らの世界観を完璧にプロデュースしていた。そもそも、ライブハウスの雰囲気まで変えてしまっている。エントランスに入ったとき、何度も来たライブハウスなのに、思わず足を止めてしまった。MusicVideo のセットを再現しているのだろうか。「ここから先は theULTRALEA の世界だ」と訴えかけてくる。
前編は「Ⅶ」に収録されているそれぞれの”罪”が披露された。どこか苦しそうに歌う秋路ヒラク。バックで流れる MusicVideo。七つの大罪をテーマに生まれた「Ⅶ」は、聞いていて気持ちよくなる音楽ではない。見たくないものを見せられ、言われたくないことを言われた気分になる。
そんな異様な世界観に圧倒され、観客はただ立ち尽くすしかない。ただ、こう思ったはずだ。
「これが theULTRALEA だ。これが秋路ヒラクだ。」
後編に入り、ステージに戻ってきた彼らが披露したのは「神のまにまに」と「独りぼっちの戦争」だ。いつも圧倒的な盛り上がりを見せていたこの 2 曲で、ようやく全員が実感しただろう。
「theULTRALEA がかえってきた」
この時、秋路ヒラク、SENA、yusuke の立ち位置が変わっていることに気づく。前編では「Ⅶ」の世界観を前面に出すため、あえて立ち位置を下げていたのだろう。演者の立ち位置が 30 センチ違うことを、観客は見逃さない。テンションの違いを敏感に感じ、自然と手が上がる。前編と後編とでは、まるっきり別のバンドのようだった。
最後は「深海にて」で終わる。新曲にもかかわらず、みんながサビで声を上げる。「おかえり」という気持ちもあったのだろう。MusicVideo を公開しているとは言え、初めてライブで披露するとは思えない盛り上がりを見せた。
アンコールで披露したのは「u.」これまで、何度も theULTRALEA のライブを締めくくってきた曲だ。最も彼ららしいといえるこの曲を聴かせてくれたのは、ファンとして嬉しかった。「Ⅶ」を披露した前編では、世界観が圧倒的過ぎて、どこか遠く感じてしまった。しかし、彼らは原点を忘れたわけじゃなかった。「u.」はそれを伝えてくれる、不思議な力を持った曲だ。
観客からのダブルアンコールに応え、本日 4回目のステージに上がった。披露したのは「Aids」今日初めて披露する新曲だ。アンコールで送った「u.」と「Aids」の 2 曲は、1 年間の活動休止を経た theULTRALEAが、「ただいま」と伝えると同時に、1 年間の進化を感じさせてくれた。
そして、それはこの日のライブを通して感じることだった。the ULTRALEA の未来を感じさせる前編、過去を思い出させる後編、その両方を表現しきったアンコール。この日のtheULTRALEA は最高のパフォーマンスを見せてくれた。
この日「Ⅶ」とともに発売された「Aids」は、その売り上げの 50％を公益財団法人エイズ予防財団に寄付するという。ただ、音楽で何かを伝えるだけじゃない。秋路ヒラクが率いる theULTRALEA が創る世界は、もっと広い。活動再開した彼らが、これから何を残していくのか、たまらなく期待してしまう。
＜セットリスト＞
[前編]
1．涅槃
2．おやすみ
3．アンチフーゾク
4．i 氏の忘れもの
5．夢喰
6．「」
7．人間あそび
[後編]
8．神のまにまに
9．独りぼっちの戦争
10．「刺せ!!!」
11．S.S
12．STALK HERO
13．レム
14．深海にて
[アンコール]
15．u.
16．Aids
