2、teto、Hump Back、ヤングオオハラ 全国でしのぎを削ってきた4組が最終公演でみせた姿

2019/03/15

スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2019  2019.3.9  マイナビBLITZ赤坂

聴いたことのない新しい音楽に出会えることほど楽しいことはない。それが若く野心的で、伸び盛りの成長期にあるのなら尚更だ。そんなバンドが4ついっぺんに見られるのだから、“列伝ツアー”はいつも楽しい。今年のラインナップはミクスチャー、パンク、オルタナなどラウドなギター・ロック系で、強力なボーカリストを揃えたバンドが並んだ。先入観は持たず、批評もしない。ただ彼らがステージの上から何を発信してくれるのか、それを確かめにマイナビBLITZ赤坂へ足を運ぶ。

先陣を切ったのはヤングオオハラ。噂には聞いていたが、ボーカリスト・ハローユキトモのとんでもない声量にいきなり圧倒される。褐色の肌にカーリーヘア、しなやかな動きでステージを動き回り、圧倒的パワーで言葉をねじこむ説得力が凄い。ドラム、ベース、ギターがよく鍛えられたミクスチャー・ロックで、上半身裸でストイックなビートを打ち込む細身のドラマー・ノリバルカンはかなりの凄腕。キャッチーなダンス・ロック「サマタイ」やメロディック・パンク・スタイルの「キラキラ」など、アッパーな曲はとことん楽しく、「HANBUN」や「美しい」など、スローとアップの緩急をつけたミクスチャー・タイプの楽曲はスリルいっぱいに。

MCで“初めてのツアー”と言っていたようにライブ経験は浅いかもしれないが、「美しい」での観客を巻き込む大合唱などパフォーマンスは堂々たるもの。ティーン世代の世俗を歌う歌詞は大人にはこそばゆいが、真面目なロックだけじゃ物足りない同世代リスナーへのアピール度は高い。未だ20歳を過ぎたばかり、大器だ。

二番手は俺たち2だ! 古舘佑太郎の絶叫と共に演奏をスタートした2は、音源よりも遥かにパワフルでダーティーな、破れかぶれとも言える猛烈なスピードで1曲目からぶっ飛ばす。真っ赤なワンピース姿であられもなく、しかしとてつもなくワイルドなプレーを見せるyucco(Dr)が一際目を引くが、ダウンピッキングの鬼と化したベース・赤坂真之介、ハイレベルのスキルをわざとパンクに崩してみせるギター・加藤綾太の存在感も抜群。初期パンクの衝動にガレージの爆音とオルタナの知的なひねりをプラスしたような音像の中で、がむしゃらに叫びながらも言葉をきちんと届けることを忘れない古舘。

「無関心よりはいっそ嫌ってくれという気持ちで今夜も歌ってます」。古舘はMCでそう言ったが、ここまで全力疾走のプレーを見せられて嫌いになるのは逆に難しい。曲が短いので持ち時間30分に9曲(新曲「ルシファー」も)を詰め込み、嵐のように去っていく姿はまるでアスリートのように清々しかった。

大阪Hump Back始めます。しゃれっ気ゼロのTシャツに長パン、ロングヘアーの女性ボーカル・林萌々子がバカでかい音量で歪みギターを鳴らし、2曲目でいきなりダイブする姿になぜか頬が緩む。Hump Backは見た目はキュートな女子トリオ、音は歪みギターを軸にしたメロディックなロック、歌は伸びやかで透明感いっぱい、歌詞は“夢”という言葉を多用して情熱的、そしてパフォーマンスは1曲入魂の猪突猛進型。

「チャットモンチーを初めて聴いた時からずっと」というMCからもルーツは明白だが、「やりたいことをやる。それ以外に最高なことは見つからへん」と、バンドに賭ける夢を率直に語り、「ロック・スターになりたい!」と屈託なく叫ぶ心意気がいい。前の2バンドがエネルギーをぶつけて圧倒するタイプだったのに対し、客席と共感のキャッチボールをしながら盛り上がる、あたたかい一体感は彼女たちだけのもの。ラスト曲「星丘公園」を大合唱する人の多さからも、人気の高まりは本物だ。

このツアーが良くなろうが悪くなろうが、僕は全てを受け入れる覚悟ですよ。と、演奏もせずにいきなりしゃべり出す、人を食った態度がいかにもtetoだなあと苦笑い。しかしカウントが入ると空気は一変、猛烈に早いエイトビートの高速ロックンロールを叩きつけ、Hump Backより早く1曲目からボーカル・小池貞利は客席ダイブを敢行。詰め込み型の歌詞とガナり続ける歌声は、聴いただけでは何を歌っているかさっぱりわからないが、カオスのようで一体感ある演奏、不思議な明るさと突き抜けた爽快感にぐいぐい引き込まれる。

一見無礼講のお祭りバンドにも見えるが、このバンドがとんでもなく素晴らしいメロディと歌詞を得意としていることは、ファンならば知っている。アンコールで歌った「光るまち」がそれで、これほど切なく優しく美しいライブハウス・アンセムは滅多にない。こんなに純粋でナイーヴな本質を持ちながら、人を食ったロックンロールで武装するバンド、tetoの魅力はライブでこそわかる。

そのままステージに残ったtetoが、今日の出演者全員を呼び込む。列伝ツアー・ファイナル恒例のお楽しみ、4バンドによるセッションだ。準備を待つ間、teto・小池と2・古舘の掛け合い漫才みたいなトークが楽しい。まるで意味のないヤングオオハラ・ハローユキトモのダイブに笑う。Hump Back・林の雰囲気がライブ本編とは違っていてびっくり。誰もが「最初は仲良くなれるかな?と不安だったが、最後は仲良くなった」と口を揃えた、列伝ツアー同期の絆。小池の選んだセッション曲「デイドリーム・ビリーバー」を歌う4バンドが、これからどんなふうに成長していくのか、このツアーを目撃した全ての音楽好きは、彼らの未来をしっかりと見続ける楽しい義務がある。


取材・文=宮本英夫  撮影=古渓一道

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