LAMP IN TERRENが3年越しのブリッツで成し遂げた万感のライブ

2020/01/21
LAMP IN TERREN 撮影=浜野カズシ

LAMP IN TERREN ワンマンライブ「Bloom」  2020.1.13  マイナビBLITZ赤坂

この日のライブを象徴するシーンがあった。15曲目の「オーバーフロー」を演奏する前、いつものように松本大(Vo/Gt/Pf)がシンガロングパートを一節歌ってみせてからフロアにマイクを向ける。その瞬間、ちょっとビックリするくらいの音量で観客たちが歌声を返したのだ。決してライブでモッシュが頻発したりお祭り騒ぎになるようなタイプの音楽性ではないし、執拗に煽ったりもしないバンドだから、こんなにも客席側の興奮が一目瞭然というシーンはこれまでほとんど見たことがなかった。

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思い返せば、ライブ冒頭からアンコールの最後に至るまでの約2時間の流れ自体、とても美しいライブであった。エレクトロ系のSEと明滅を繰り返す照明の中を静かにメンバーたちが現れる――という登場シーンから、1曲目は「花と詩人」。ドラムセットがセンターではなく下手(しもて)寄りの一段高い場所に置かれ、向かってその右側にセットされたピアノを松本が弾きながら歌う。本来松本の立ち位置であるステージ中央には、オンシジウムの花束が据えられている。静かな曲調にあわせ照明も光量が抑えられたまま曲は進み、大屋真太郎のギター、中原健仁のベース、川口大喜のドラムと次第に音が増えていったあと、1サビが終わったところでようやく明転。そのタイミングで背後に掲げられたバンドロゴに灯が入る。洒落たMVを観ているみたいだ。

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「最高の1日にしようぜ。赤坂ブリッツ、どうぞよろしく」

「Walter Lily」では打ち込みのクールな質感とローの増幅されたベースが主軸となったサウンドに乗って、松本がハンドマイクで歌う。激しい曲ではないが客席からはたくさんの手が挙がり、松本が再びピアノに向かって「New Clothes」へ。大屋と中原が内側に体を向けることで客席側に向けて半円状のフォーメーションとなって、激しく音をぶつけ合うようなダイナミックな間奏が見事だ。歌い出しを弾き語り風にアレンジした「涙星群の夜」では、頭上のミラーボールが放つ無数の光の粒が場内を巡り、感嘆の声が上がった。

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会場と通販のみで限定リリースされた最新盤『Maison Diary』からは、まず「Is Everything All Right」が披露された。ヘヴィでパンキッシュ、推進力満点のサウンドは、良い意味でシングルやリード曲っぽくないところが堪らない。臨界点を突破するように高音域でシャウトする松本のボーカルも熱い。LAMP IN TERRENがギターロックを軸としながらも音楽的な志向が多岐にわたるバンドであることは、この前半の流れだけを見ても明らかだったが、激しいものは激しく、洋楽ライクなものは洋楽ライクに、歌ものは歌ものとして、これまで以上に振り切った見せ方が出来ている印象で、それによって全体のクオリティも底上げされている。

LAMP IN TERREN 撮影=浜野カズシ

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十分に高まった会場の熱量をもう一段押し上げたのは中盤のMCだろう。意図せず松本が感極まるシーンがあったのだ。彼の感情を揺さぶったのは、「緑閃光」から「BABY STEP」という直前に演奏した2曲だった。メジャーデビューアルバムに収録された「緑閃光」は、彼らの最初の代表曲となると同時に、その後長らく越えるべき壁としても存在してきた曲。その後、ときには思うように進んでいかなかったバンドの歩みの中で迷い、足掻き、ようやく自らを肯定するに至ったアルバム『The Naked Blues』の表題曲が「BABY STEP」である。……というヒストリーを仮に知らなかったとしてもグッとくるくらいの熱量がこの2曲の並びには込められていたから、これまで彼らを追いかけてきたファンや、ましてや本人たちからすれば、思わず感傷的になってしまうのも頷ける。

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「自分が戦ってきた、迷ってきたことの積み重ねで、今みなさんの前に立って歌えている」

自らに言い聞かせるように言葉を発して感傷を断つと、続く「ほむらの果て」は、バンド感が際立つハードなアレンジで演奏。ここからは何か吹っ切れたように個々の演奏も一段とキレと躍動感を増し、ライブ後半へと一気に突き進んでいった。冒頭に書いたシーンが生まれたのは、その数曲後だ。

LAMP IN TERREN 撮影=浜野カズシ

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LAMP IN TERREN 撮影=浜野カズシ

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本編ラスト、最後のMCでは「今日この瞬間があったから、俺は「ああ、やってこれたんだな」ってすごく思ってる」と松本がしみじみ語り出す。「俺はいつも音楽をやって歌を歌っていたいし、そのためにああだこうだ考えたり、受け入れたり、ときにそんな自分をさらけ出したり。(中略)そうやっていつまでもみなさんと鳴らしていたい、俺は。聴かせたいし、知りたい。届いた心がどうなのか、俺は誰と生きてるのか。音楽を通してしか繋がれないかもしれないけど、音楽を通していつも見てる。歌を通していつまでも手をつないでいたいと思う。背中を押したいと思う。背中を押されていくと思う」。そう言ってストレートに胸の内を明かしたあと、「そういう全部を閉じ込めた歌。俺が作って、みんなが聴いて歌になる」と、「メイ」を歌い始めた。<貴方が僕の証明>と出だしの歌詞が変わっている。まるでこの日、この曲順で鳴らされるために生まれてきたかのような曲。それはつまり、彼らが悩んで迷っても、時を経ても、心の奥底の本質的な部分では変わっていないことの証明でもあった。

LAMP IN TERREN 撮影=浜野カズシ

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アンコールでは、Limited EP『Maison Diary』収録曲でライブ翌日にはMVも公開された「いつものこと」が披露された。『The Naked Blues』期以降、松本のありのままが歌われることが多くなってきた、その究極系のような曲。ある種のブルースのような同曲を平熱のテンションで松本が歌い、こういった曲調で冴えをみせる大屋のギターもじっくり堪能できた。「キャラバン」でアンコールを終えた後も再登場を願う拍手は鳴り止まず、三たびステージへと戻った彼ら。活動初期から歌い続けてきた「L-R」を、明るく照らされた場内へと響かせて、デビュー5周年前夜のワンマン「Bloom」を締めくくった。

LAMP IN TERREN 撮影=浜野カズシ

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LAMP IN TERREN 撮影=浜野カズシ

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LAMP IN TERRENは、本格始動からデビューへと至る流れこそスムーズだったが、その後はじっくりじっくりと歩んできたバンドだ。また、松本の喉の手術で一時ライブ活動を休止した際には、その直前にライブをしたLIQUIDROOMで復帰後のツアー・ファイナルを行い、初の日比谷野音が図らずも活休明け直後となって万全とは言えなかったことから、翌年には再び野音でワンマンを行ったりと、一個ずつ“ケリをつけて”前に進んできたバンドだと思う。そして、この日の舞台・ブリッツは、かつて初めて立った際に集客の面でも内容の面でも納得がいかなかったことを公言する、ある意味因縁の地だった。惜しくもSOLD OUTには至らなかったようだが、ライブの完成度も盛り上がりも、あの時の比ではなく、彼らの視界にはかつて観たかった光景が広がっていたはずだ。それはこの5年間、十分に土地を耕し、種を蒔き水をやって、芽吹いたものが確かに育ってきたからこそ。あとは咲くだけ。その瞬間を待ち望んでいるのは僕だけじゃないはずだ。


取材・文=風間大洋  撮影=浜野カズシ

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