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furuyamoriさんのレビュー
2016年3月5日、浜北文化センターを皮切りに、細坪基佳の今年のコンサートツアーが始まった。ツアータイトルは「Tsubo's style」
彼はふきのとう解散後、ソロ活動と並行し、様々なアーティストとユニットを組んできたが、近年その規模も回数も多様化している。Song for Memories、座ジローズ、三浦君と細坪君、スリーハンサムズ、風のアルペジオ、アコースティックカフェ、妹尾武・・・多種多様なアーティストとの共演を通し、ボーカリストとしてエンタティナーとして、優れた才覚を発揮している。
そんな中、では「シンガーソングライター細坪基佳のアイディンティティはどこにあるのか?」という疑問が自ずと湧いてくる。
今ツアーのライブでセレクトされた曲に、「自分らしく生きる」というフレーズが多く登場するが、そもそも一体細坪基佳にとって「自分らしさ」とは何だろう?
自分らしく振る舞うのが自然体だろうが、その自然体さえも彼が表現したものしか他者は彼を認識できない。
彼は「表現」という媒体を通している以上、彼自身が表現された作品なのだ。
わかるだろうか?
誰も見ない自分しか見ないチラシの裏の書き殴りと、ひょっとして他人が見るかもしれないことを意識した文章の違いを。自分しか食べない料理と、他人が食べることを想定した料理の違いを。
表現とは誰にも見られることない自分ではなく、鑑賞者である他者に見せる「自分」なのである。
細坪基佳は、紛れもなく「表現者」である。
どの表現がより自分らしいのか、決して一問一答式に定義させない、常に自ら進化させ、生涯かけて多義的「自分らしさ」を表現し続けるアーティストなのである。
細坪基佳は還暦過ぎてなお、アーティストとして成長し続ける無限の可能性を伺わせたツアー初日であった。
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- 2016/03/08 (火) 23:39
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