NAONのYAON2014開幕直前!
プロデューサー・SHOW-YAの寺田恵子さん
インタビュー
2014/02/21|LiveFans
SHOW-YAがプロデュースする、出演者がすべて女性アーティストというイベント“NAONのYAON”。1987年に日比谷野外音楽堂でスタートし、途中でお休みはあったものの、現在も継続し、今年も4月29日に開催される。そこでこのイベントのプロデューサーである、SHOW-YAのボーカリスト寺田恵子に、このイベントに対する熱い想いなどを聞いてみた。
そもそも、この“NAONのYAON”というイベントは、どういう経緯で始められたのですか?
“NAONのYAON”というイベントが始まるきっかけは、当時THE ALFEEが10万人規模の野外イベントをやってたんですよ。それで私がラジオ番組をやっていたときに、そのニュースを聞いて、なんかメラメラっときて(笑)、ハード・ロックとかヘビー・メタルとかのジャンルで10万人集めるのはなかなか厳しい時代だったし、女性バンドが売れるというのも厳しい時代だったので、じゃあ、彼らに勝てることはなんだろう、どんなにがんばっても太刀打ちできないことはなんだろうって考えて、女だけで野外イベントをやろう、そしてそのイベントが大きくなっていったら、うちらには勝てないだろうって、冗談半分で、ラジオで言ったんです。“真似できるか、このヤロー”って感じで(笑)。そうしたらそれを聞いていたレコード会社の人が、面白いって言ってくれて、そこから始まったんです。女だけだから、当時女性を指す業界用語だった“NAON”と、日比谷野音とをかけて、“NAONのYAON”だと。それに、自分たちも女性バンドだし、これから女性バンドがもっと増えていって欲しいし、それから音響だったり、照明だったりの女性スタッフも増えて欲しかったんです。SHOW-YAがハード・ロックの世界に入ったときには、男社会に入ったわけで、スタッフも圧倒的に男社会だったので、これをきっかけに、女の子もこんなことができるんじゃないかとか、そういう夢が見られるようなイベントになっていったらいいなという想いもありました。今では、このイベントのスタッフも女の子が多くなってきましたね。
1987年のスタートから、途中お休みもありましたけど、現在まで続いているというのには、やはりこのイベントに対する強い想いみたいなものはあるのでしょうか?
時代時代で、ちゃんと女性ミュージシャンが脚光を浴びるようになっていって欲しいなという気持ちですよね。SHOW-YAが売れた時には、PRINCESS PRINCESSがいて、ポップスの可愛いPRINCESS PRINCESSと、ハード・ロックの恐いSHOW-YA(笑)みたいな時代があって、そこからちょっと女性バンドがいなくなって、その後にWhiteberryとかZONEとかが出てきたりするんだけど、本当はそういったことがどんどん繋がっていかないといけないと思うんです。自分たちは古株になってきてしまっているので(笑)、これからの世代、今はSCANDALとかが出てきて、彼女たちと同世代や、その次の世代のいろんなジャンルの女性バンドが出てこれるような流れを作っていけたらなって思っています。
“NAONのYAON”って、出演者のジャンルが限定されていないというか、SHOW-YAのようなハード・ロックのアーティストだけではなく、例えば去年でいうと、中川翔子さんや、平野綾さん、今年でいうと森高千里さんなどといった、SHOW-YAとはまったく違うジャンルの人も出演していますよね。
第1回目は、当時バンドがほとんどなかったので、出演者はほとんどアイドルでした(笑)。石川秀美ちゃんとかに出てもらったり、あとは女優さん、美保純さんに出てもらったこともあるし。ただし、誰でもいいというわけではなくて、誰と一緒にやるべきとか、誰の歌をみんなに届けたいかとか、そういう部分はしっかり考えます。がんばっている人だったり、一時代を築き上げた人は、それなりにいろいろな経験もしているし、そういう部分では、自分たちに通じる部分もあると思っているので。それにお客さんに楽しんでもらうということもすごく重要だから、ジャンルで好きなものではなくて、このイベントに対して強い想いを持ってくれる人、そしてそういう強い想いがお客さんに伝わるというのが、いちばん大きなことかなって思います。ハード・ロックという括りにするんだったら、女の子のイベントにする必要はないわけだし。
去年、5年ぶりにこのイベントが復活したわけですけど、久々にやってみた感想はいかがでしたか?
去年、素晴らしかったんです(笑)。毎回毎回感動するんですけど、去年はちょっと異様な空気がありました。野外なのに、幸せなオーラに包まれたドームみたいでした。これは私の勝手な想いなんですけど、2011年の震災があって、みんな、音楽で活動していくことの意味を考えたり、こういう曲を歌っていきたいとか、そういう想いでやってきて、それを経て、とにかくこのイベントをみんなで楽しみましょう、そのために自分たちが何をしなきゃいけないか、というのを、それぞれのアーティストが、みんな、ちょっと命懸けぐらいの想いで取り組んでくれたんです。スケジュールの調整とかはすごくたいへんだったんですけど、気がついたら、みんなの横のつながりがすごく強くなっていたんです。ただ楽しかったねっていう感じではなくて、一個のものを成し遂げたっていうことを、出演者がみんな思ってくれて、アンコールでパッと振り返ったら、みんな泣いてたんです。ただ楽しいだけじゃなくて、みんながいろいろな意味と想いを与えてくれたイベントになったので、今年はさらにハードルが上がってしまいました(笑)。