結成から前作でのデビューまでおよそ2年。そこから約半年のスパンで今作を制作・リリース。スピード感のある中で、バンドとしてやりたいことにピントが合ってきた感覚もあったり?
真田:いや、ピントは合ってないです(笑)。合わせてないというか。
彦坂:曲のジャンルを絞ったりはしていないし、わりとやりたいことをバラバラに持っていっても、ボーカルで秋さんが歌えばバンドらしくなるなっていうのは感じました。
村山:自分たちより長くバンドをやっている人とかは、こういうスピード感やもっと早い人もいて、そのくらいやらないと追いつけないんじゃないか?っていうことも思ったりしますすけど。
彦坂:そもそも結成してから大人の人が付くまでが早めだったなって思います。だからバンドメンバーだけで長年育ててきてからデビューするバンドよりも、余計にこのタイミングで「自分たちがちゃんとしなきゃな」って思った部分はあるかもしれないですね。
土台固めと洗練させていく作業を同時並行してやらないといけない。
彦坂:そうです。それはすごく感じますね。
そういう状況だからこそ、自分の感性を信じろっていうテーマが一本通ったのかもしれないですね。もし10年とかやってきたバンドだったら、今ここでそれを歌おうとは思わなかったかもしれない。
黒田:そうなのかな。……10年やったらどうなるんですかね? やっぱり続けたぶんだけ言葉って増えていくけど、そこまでブレずにいられるのかなとか。わかんないですけど、『take the sensor』はこの先もずっと軸に持っていたいなっていう考えですね。
今後は収録曲をライブでやっていく機会も出てくるわけですが、ライブの規模感や場所も増えていく中で今どんなことを考えています?
村山:今まではわりと、美術館じゃないけど、お客さんがバンドをじっと鑑賞するみたいな。
真田:この間4人で、大崎のバーミヤンでしゃべったんですけど(笑)、4人が共通して好きなハイエイタス・カイヨーテみたいな音楽をやっていたら、ブルーノートとかビルボードライブとかああいう所が似合うようになっちゃう。でも俺たちはもっと、最終的にはアリーナとかスタジアムみたいな方向でやりたいっていうことで。このアルバムのリード曲が「Sensor」になったのもそういう点で考えると良かったなって。でかい所でやっているのが想像できる。
黒田:うん、できる。
真田:でも「blah blah」だとビルボードっぽくなっちゃう。なっちゃうからダメっていうわけじゃないんだけど、どっちかっていうとデカイ所でやる方向でいこうぜっていう話をしたんです。
彦坂:結構みんな職人肌のプレイヤーがもともと好きで。そういう動きとかで盛り上がるよりも演奏でガツンと言わせるライブから影響を受けすぎていて、ライブパフォーマンスについてあまり考えてこなかったんですけど、やっぱり会場を大きくしたり、自分たちがロックバンドとしてやっていくっていう認識をするには、そこも必要だなって。そういうモードにライブも切り変えつつあって、今はすごく変革の時かもしれないですね。
見え方にもある程度キャッチーさが必要というか。
彦坂:そう。もっと僕らがお客さんに対してオープンじゃないと。やっている僕らが演奏に徹しすぎていたから、美術館みたいになってたんですよね(笑)。もちろんそこもおざなりにはしたくないんですけど。
これから初めてRAMMELLSと出会う人に「ここを見てほしい」というポイントを挙げるとすれば、どこだと思いますか。
彦坂:音がデカい!(笑)
村山:結構、CDより音がロックだねって言われるんです。何が原因でそう取られるのかはよくわからないですけど。
真田:僕でしょ。
黒田:それはあるかもしれない(笑)。
それは真田さんの何が?
真田:ギターの音色とか音量とか(笑)。でも彦坂さんも負けてないというか。女性ボーカルのバンドで叩いているドラマーだとは思えないくらいの音量は出してると思います。
彦坂:そうですね(笑)。でもアピールポイントはそこです。特にこのCDはまとまっている感じもありますけど、もっとライブは荒々しさもあるので、そこを念頭に置いてもらえると。
洗練されたイメージがライブの荒々しさで覆されるって、良いギャップですよね。
真田:うん、それが理想的っていうか。
黒田:それにやっぱり、ライブだとみんな人間臭さが出るなぁと思うし。最近は特にそれぞれが自分の魅力や良さを無意識にわかってきて、それをガンガンに出せるようになってきて楽しい。だから前よりもライブを楽しく観れると思う。
彦坂:そこを観に来てほしいですよね。CDどおりを期待するよりは……そこも頑張りますけど(笑)、それぞれの人間を観てほしいです。
取材・文・撮影=風間大洋
(3/3)