アイドルとしてデビューしてから40年超――
今でも輝きを失わないスター性
コロナ禍の中での有観客ライブを実施。
熱いパフォーマンスで制約を"超える"


現在【TOSHIHIKO TAHARA DOUBLE‘T’TOUR 2020 Love Paradise】を開催中の田原俊彦が、9月26日に越谷・サンシティホールにて公演を行った。

新型コロナウイルスの影響により、予定されていたツアーの規模を縮小せざるを得ないなか、厚木、名古屋に続き3本目となった本公演。感染拡大防止対策として収容人数は定員の50%以内に抑えられていることに加え、左右1席ずつ離れた全席指定、公演中はマスク着用のほか、立ち上がったり、大声を出したりする行為もNGとされた。けれども、会場にはこの日を待ちわびていた観客たちの熱い熱気が充満していた。

暗転した会場にヘリの音と靴音が鳴り響く――。すると、ステージには黒いスーツに身を包んだ田原が登場。歓声の代わりに色とりどりのペンライトが客席に揺れるなか、田原は8月5日リリースの新曲「愛は愛で愛だ」でライブの幕を切って落とした。4人のダンサーとともに歌い、踊る田原。サビでは彼のトレードマークでもある足を頭上まで上げる身体能力の高さを披露するなど、キレのあるダンスで観客を魅了。開演から5分も満たない間に会場を“トシちゃん”ワールドに染め上げた。

続いて、昨年のデビュー40周年を記念してリリースされた「好きになってしまいそうだよ」、爆笑問題の太田光が作詞を手掛けた「ヒマワリ」を歌唱。「愛は愛で愛だ」のアグレッシブなパフォーマンスから一転、ここでは観客に語りかけるような優しい歌声を響かせた。

この日最初のMCでは、恒例の口調で「こんにちは! 元気ですかー? 1、2、3、4、5、6、7、ハッピーオータム!!」と挨拶。その後もさまざまな話題を振りまくが、感染拡大防止対策の一環で一切声を出さない観客の反応に「……みんな、いる?」と思わず確かめる場面も。大きな拍手が上がったのを聞いて笑顔になった田原は、「最後まで楽しんでいってください」と言って再びショーへと観客を誘った。

「涙にさよならしないか」では田原がステージの両脇に延びた花道まで赴き、客席の間近でパフォーマンスする場面も。その興奮も冷めやらぬなか、続いて演奏された「ごめんよ涙」では、イントロが流れただけで客席のボルテージが一段上がったのがわかる。さらに、この曲では昔と変わらない華麗なステップを見せる田原に、エンタテイナーとしてのプライドと誇りを見た気がした。

その印象をより強く感じさせられたのは、ライブ中盤に披露された「シングルメドレー」。デビュー曲「哀愁でいと」から始まり、「ハッとして!Good」「NINJIN娘」「誘惑スレスレ」「ピエロ」と、80年代前半にリリースされたヒット曲ばかりを集めたスペシャルメドレー。鮮やかなオレンジ色のスーツに衣装チェンジした田原は、それぞれの楽曲を、当時を彷彿とさせる振り付けや、それをも上回るダンスも盛り込みながら歌っていく。観客の中には座ったまま振り付けを完コピしている人の姿もあり、まさに会場一体となっての大盛り上がりとなった。

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