ところで、みなさんは音楽家として自分の芯になっているという意味では、これまでどんな音楽を聴いてきたのでしょうか?
Hyonn:元々、音楽を聴くのが好きで、光GENJIから入り、諸星君になりたい。でも、夢破れ(笑)。
MiNE:早めに破れてんな。
Hyonn:夢破れ、で、『キャッツ♥アイ』の歌。お母さんが杏里さん、よく聴いてたんですよ。それで、杏里さんいいねってなったんですけど、杏里さんと荒井由実さんが一緒だと思ってて(笑)。
MiNE:何の話してるの?(笑)
Hyonn:『魔女の宅急便』の歌を歌っているのが杏里さんだと思ってたんですよ。じゃあ、『キャッツ♥アイ』は荒井由美さんか、どっちやと思って、それを追求していったら今っていう(笑)。
MiNE:いやいや、話の尺が合ってないから。ほんとにもう。僕は親父が水商売をやっていて、お店でカラオケを歌うために歌謡曲を家で聴いていたんですよ。親父だけの部屋があって、僕はその部屋には入れてもらえなかったんですけど、親父が聴いている曲を、その部屋のドアの前に座って聴いていたらしいです。憶えてないんですけどね。歌謡曲をいっぱい聴いてきたせいか、メロディアスなものが好きなのかもしれないですけど、そのあと、ヴィジュアル系バンドをSHIMADAとやったり、ヒップホップも聴いたり、ミクスチャー・バンドをやったり、ほんと雑食ですね。
SHIMADA:僕は音楽を聴き始めたのは中学2年生ぐらいの頃で、GLAY、L'Arc~en~Cielから入って、自分にも弾けるなと思ってギターを始めて、結局、弾けなかったんですけど(笑)、その頃からギターで飯を食っていくと思って、ずっと続けてたんですけど、バンドもクビになったりして。
MiNE:僕と一緒にやってたバンド、クビになったんですよ。ギターが弾けなさすぎて。
SHIMADA:おかんからも“ギターはやめとけ”と言われましたね。そこから作曲、アレンジをやるようになって、(MiNEと)一緒にやり始めたんですけど。
それぞれに聴いてきた、いろいろな音楽の要素が今、天才凡人の楽曲に生かされているようですね。
MiNE:そうですね。『二枚目』ではラップっぽいこともしてるんですけど、それは10代の頃、通ってきたヒップホップからだと思うんですよ。あらゆる音楽を、ほどよく齧ってきた経験が生かされているとは思いますね。
ところで、天才凡人は音楽を届ける上でエンターテイメント性も大事にしていますね?
MiNE:他の人のライブを見ているとき、これは完全に個人的な意見なんですけど、長いと思うことがあるから、自分はそう思われたくないんです。それが結成当初からあって、それを意識しながらやっていたら山あり谷ありの、笑いがあったり、バラードがあったりというやり方になっていったんです。1回のライブでいろいろな部分を見せて、あっという間だったと思ってもらいたいんですよ。でも、それも始めた頃は失敗だらけで、Hyonnと2人でやっていたとき、お客さんの気を引くと言うか、見てもらうことが大事だと思って、2人で真っ暗な中、スデージに出ていって、『北の国から』の音楽を流しながら、体育座りを2分間しつづけたら、空調の音が聞こえるぐらいスベって(笑)。
Hyonn:あれは地獄やった(笑)。
MiNE:しかも、お客さんが10人ぐらいしかいないイベントで(笑)。
Hyonn:めっちゃでかい会場だったのに(笑)。
MiNE:そういう失敗も経験しながら、音楽を使って遊べるようなことを考えて、こういうスタイルになりました。
歌を届けようと思ったとおっしゃったとおり、歌だけでも十分、勝負できると思うんですけど、笑いの要素は欠かせないものですか?
MiNE:僕ら出身が関西だからっていうのがあるのかないのかわからないですけど。
SHIMADA:何かしら笑いの要素は入れたくなりますね。
MiNE:普段から笑いを取ることに貪欲なんですよ。そういう感じなのに急に音楽で真面目ってなんかできないと言うか、照れちゃうと言うか。それに、やっぱり自分たちが一番楽しくいたいんですよ。お客さんと同じように、自分たちも自分たちのアルバムを客観的に聴いて、“うわ、おもろ”って言いたいんです。ライブももちろんそうですけど、笑かすようなことをやりながら、自分たちもステージで笑っていたいんです。
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