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フェス特集2022

そして青薔薇は不死鳥のように燃え上がった『Episode of Roselia DAY1 : Weißklee』ライブレポート

2022/05/26

ようやくRoseliaの2022年が始まった。昨年12月の「Edelstein」以来、約半年ぶりとなる単独ライブ「Episode of Roselia」が5月21日(土)、5月22日(日)の2日間に渡り、山梨県の富士急ハイランド・コニファーフォレストで開催された。1日目は「Weißklee(ヴァイスクレー)」、2日目は「Rose(ローゼ)」と題され、それぞれRoseliaのこれまでとこれからをテーマに物語が紡がれていった。初日の「Weißklee」とはドイツ語でシロツメクサの意味。その花言葉は「幸運」「夢の中」そして「約束」。湊友希那が描いていた夢物語は、4人の仲間に恵まれ、父の想いをも一手に引き受けて、ようやくここまでやってきた。長いようであっという間だった5年間のハイライトを1日に詰め込もうというのだから、その熱量の高さは語るまでも無い。


半年ぶりの単独ライブに加え、3日前にリリースされた新譜「ROZEN HORIZON」は初日のセールスランキングで1位を獲得した。メンバーやスタッフはもちろんファンも引っくるめて、この週末に向けて、日毎に想いが募った数日間を過ごしたことだろう。そんな期待を裏切る無情の雨がこの日は朝から降り続いていた。しかし、湊友希那役の相羽あいなによる開演アナウンスが場内にこだまする頃には奇跡的に雨も上がった。決して、絶好のライブ日和とは言い難いが、そんな天気さえも友希那は味方につけ「Weißklee」の幕が開ける。

「Weißklee」はRoselia5人の物語だから、友希那がソロで歌い上げた1曲目の「雨上がりの夢」は、あえて“0曲目”と表記をしたい。意図的に降らせたのかと疑うくらいに出来すぎた展開の中、メンバーが1人、また1人とステージ上で合流していく。その姿はまるで友希那の想いに感化されて必然的にここへ集ったようだった。続けて披露したのは「Proud of oneself」。「舞う純白から 次ぐ青く映す薔薇」、名も無いシロツメクサの物語は、いま5人となって青薔薇の物語になった。

「こんばんは、Roseliaです」といつもの挨拶を手短に済ますと、ライブの諸注意がアナウンスされる。「今日の私たちは、いつもとはまた違ったRoseliaになる。だから覚悟して」と「BLACK SHOUT」へ。この曲はRoseliaにとって原点であり礎と言ってもいいだろう。まずはここから、再びRoseliaの軌跡をなぞらえていこうじゃないか。曲の最後に5人全員がステージ中央へと身体を向き合わせ、見つめ合うのを見ていると、そんなアイコンタクトがされていたのではないかという考えにさせられる。そのまま「Re:birth day」へと突入すると、何度も曲の最中で楽しそうに絡み合うメンバー同士の姿に、幾何かの緊張もほぐれたように見受けられた。

「雨、止んでよかったね……」というリサを皮切りに「うっすら富士山も見えてるよ!」とあこが続ける。「私たちの想いが届いたわ。皆もきっと祈っててくれたのよね。」と友希那が問いかけると、会場も拍手で答える。改めてここまで演奏してきた楽曲を振り返り、Roseliaが友希那にとって、そしてメンバー5人にとっても掛け替えのない存在になっていることを再認識する。「ここまで来るのに時間はかかってしまったけれども、先が見えない所まで、この5人で来られた事が私はすごく嬉しいの」と改めてメンバーに感謝をする友希那。「簡単な道のりではないけれど、きっと私たちの旅はこれからもずっと続いていくわ。」とメンバー、そして観客へ向けて“全員で”ここまで歩んできたこと、そしてこれからも歩み続けていくことをこの場所に誓った。

ピアノ伴奏で始まった「約束」はまさにそんな誓いを歌った、シロツメクサが生まれ変わる物語の曲だ。続く「“UNIONS” Road」では間奏中に「私たちと1つになりましょう」と、Roseliaとの絆を確かめ合うように小指を掲げる姿が印象に残っている。

一度ここでステージ上からメンバーがハケると、直前のインタビュー記事などで話題になっていた“キャラくず”こと「キャラ設定をくずしちゃいけない!!」シリーズが約2年ぶりに復活。こちらのシリーズはライブの幕間などで上映されるバラエティ企画で、今回は出題されるクイズの答案で間違える毎に映像の姿がモノクロになったり、モザイクが掛かったりと変化してしまう上に、回答とは別に、演じるキャラに最も忠実にクイズに参加できるかを競い合うという、なんとも目まぐるしい人気シリーズの最新作だ。今回は公演に沿って、1日目はこれまでのRoseliaに関する問題を、2日目はこれからに関する問題が出題された。「Q.初めてのコニファーフォレストでのライブはいつ?」といった問題から、過去のキャラくずの映像を振り返る問題まで、バラエティ豊かなクイズが出題されていった。

緊張と緩和の温度差のある幕間だったが、再び登場した友希那の「感謝と、覚悟の気持ちを込めて。LOUDER」というひと言で一気に現実へと引き戻される。それもそのはず、Roseliaという物語を語る上で欠かすことのできないこの曲は、ある時を境に封印されたはずだったからだ。どよめく会場はすぐにギターの音によってかき消されていく。「Weißklee」はそれほどの覚悟を持って、Roseliaというバンドが過去と向き合う為の場として設けられたのだったのだと、この時に身をもって痛感させられた。感情が追いつかないままに「Neo-Aspect」、そして「Song I am.」と3曲続けて披露される。友希那が音楽を続ける理由、それこそが「LOUDER」であり、「FUTURE WORLD FES.」という舞台は友希那だけでなくRoselia全員にとっての目標となっていた。ようやくRoseliaとしての歯車が回り出した頃を振り返るトークが繰り広げられると、あこが「新衣装に着替えました!」と燐子が作った衣装の話題にも触れる。ライブも中盤を過ぎ、辺りも暗くなってきた頃合いで「寒くなってきたけどみんな大丈夫?」とフォローも入る。

「私たちがRoseliaとしてやることは、誇りを持って歌うこと」と啖呵を切って披露したのは「FIRE BIRD」。「潰えぬ夢へ 燃え上がれ!」のセリフを合図にステージ上では火柱が燃え上がり、会場は即座に赤いペンライトで埋め尽くされ、決して炎によるものだけではない熱気に場内は包まれる。続く「overtuRe」もシンフォニックな曲調で気持ちをアツく滾らせていく。

「もうそろそろ、終わりの時間が近づいているのだけれど……」と話す友希那にファンが「×」とペンライトを掲げ「まだ終わらないで~!」とコミュニケーションするやり取りが微笑ましい。改めてメンバーから、これまでのRoseliaを振り返っての感謝の言葉が並べられていく。「全ての過去から今へ、今から無限の未来へ。至高の頂点に辿り着くまで、私たちの未来へ続く青薔薇の道を共にいきましょう。私たちはここにいる。」と力強く宣言すると、この日最後の曲となる「ZEAL of proud」を披露。本当に「Episode of Roselia」のタイトル通りの充実したライブが繰り広げられた。

アンコールを求める拍手の中、再び“キャラくず”の時間がやってきた。過去の富士急での映像やクッキー作りに挑戦したり、相羽さんが「Roseia」とスペルを間違えたり、皆で卓球をやったり、これもまたRoseliaを語る上で欠かすことのできないひとつであることは、このライブに参加した皆ならよく分かるはずだ。初日の結果は首位がリサで燐子、あこ、友希那、紗夜の順となり、最下位の紗夜には罰ゲームが決定。2日目も繰り越しで行われるということで、最終結果は“つづく”というオチであった。

富士山麓は完全に陽も落ちて、気づけば夕闇に包まれている。今回のライブTシャツに身を包んだメンバーがカーテンコールで姿を現すと「ONENESS」を披露。「アンコールありがとう!まだまだ盛り上がって行きましょう!」とラストスパートに発破をかけていく。間にお知らせを挟みつつ「皆さん身体が冷えてきているかもしれませんが、盛り上がる準備できていますか!?頂点のその先へ、『ROZEN HORIZON』」とアンコール最後の曲を披露。青白い炎が吹き乱れ、場内が青色に染まる。この曲がライブ初披露されたまさにこの瞬間が、これまでのRoseliaを超えた瞬間に感じた。そんな不死鳥の復活を祝うかのように花火が打ち上がる、盛大なフィナーレを持って「Weißklee」は幕を閉じた。少しだけ付け加えるならば、“キャラくず”の罰ゲームとして用意されていた工藤による閉幕のアナウンスを持って、であったが。

Roseliaを超えられるのはRoseliaだけ。どこまでも高みを目指していく彼女らには下を向いている暇などない。しかし、それが例え不死の鳥だとしても、永遠に飛び続けていられるような鳥など存在しないだろう。より高く飛び立つための止まり木が必要となることだってある。さもすれば今日という日はRoseliaにとっての止まり木だったのではないだろうか。彼女たちが目指す先は天と地が交差した真紅の夜明けの向こう側。まだ見ぬその先へたどり着くため、これまでの足跡を振り返り、覚悟を確かめる為の止まり木こそが「Weißklee」なのだ。不死鳥は燃え上がることでまた生まれ変わる。我々は2時間弱をかけてRoseliaが生まれ変わる瞬間を見届けた。そして不死鳥は間髪をいれずに高く舞い上がることだろう。Roseliaのこれからを描く「Rose」は、この夜が明ければすぐに始まる。不死鳥のように燃え上がった青薔薇は、明日から再び芽吹き始める。

レポート・文:前田勇介 Photo ハタサトシ、福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)


『Episode of Roselia DAY2 : Rose』のライブレポートは2022年5月26日公開予定、そちらもお楽しみに。

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