かりゆし58、打首獄門同好会、ドラマチックアラスカ、ガガガSPらが全国Zeppを巡った『LD&K NIGHT 2021 ~憂晴福反応~』レポート

2021/12/09
『LD&K NIGHT 2021 ~憂晴福反応~』かりゆし58

LD&K NIGHT 2021 ~憂晴福反応~

11月5日(金)Zepp Nagoyaを皮切りに、全国5箇所のZepp会場で開催された『LD&K NIGHT 2021 ~憂晴福反応~』が、11月29日(月)Zepp Hanedaでファイナルを迎えた。

音楽レーベル・LD&Kの所属アーティストに加え縁のあるアーティストを招き、各日異なるラインナップで行われたこのイベント。身内のような関係性ながら、ステージではバチバチとぶつかり合い、各地で熱戦が繰り広げられたこのツアーの様子を同行スタッフのレポートと、ファイナルのライブレポートで振り返る。


■11月5日(金)Zepp Nagoya

『LD&K NIGHT 2021 ~憂晴福反応~』ツアーのトップバッターを務めたのはプッシュプルポット。彼ら史上、最も大きなキャパでのライブだったはずだが、そんなことは微塵も感じさせない堂々としたステージを見せ、トップバッターの役割をしっかりと果たした。

この日は、出演予定だったかりゆし58が前川真悟(Vo&Ba)の体調不良のため急遽出演をキャンセル。ピンチヒッターとして出演した打首獄門同好会は、MCタイムに沖縄を感じさせるBGMから、かりゆし58「オワリはじまり」のカバーを披露するという、粋な演出で会場を沸かせる。さらにかりゆし58の宮平直樹(Gt)が沖縄より駆けつけ、「筋肉マイフレンド」のスクワットタイムに急遽参戦という、嬉しいサプライズで観客を喜ばせた。

バンド2組の熱演に続き、名古屋公演のトリとして登場したのは日食なつこ。ピアノの弾き語りスタイルでたった一人でステージに立ち、「100」で始まったライブはバンドに引けを取らないエネルギッシュさで、その圧倒的なパフォーマンスに鳥肌が立った。


■11月12日(金)Zepp Fukuoka

四星球

四星球

1曲目「キラキラ」の爆音で幕を明けたヤングオオハラのライブで、一気に熱を帯びた会場。激しいライブとは裏腹なゆる~いMCには、フロアから笑い声が上がった。

LD&Kの所属アーティストや代表を終始イジりながら、「僕が言うことじゃないけど、LD&Kをこれからもよろしくお願いいたします!」と、LD&Kへの深い愛を感じるステージを披露してくれたのは、LD&Kと縁の深い四星球。最後はライブ中に使用していた小道具から文字をかき集め、「LD&K 大好キヤン」という言葉を浮かび上がらせるという演出で観客を驚かせた。

この日のトリを務めた打首獄門同好会は、MCでヤングオオハラとjunko(Ba)の年齢差(約40歳差)をいじり、他公演の若手アーティストについても語った。

普段から交流のある四星球と後輩バンドのヤングオオハラ、そして打首獄門同好会はそれぞれのステージからも互いの仲の良さが見えたが、裏でも終始和やかな雰囲気だった。


■11月19日(金)Zepp Osaka Bayside

メガマサヒデがアコギの弾き語りで披露した、「扉ヲアケテ」でスタートした大阪公演。時折マイクを通さずに生歌で歌いかける箇所はグッときたし、広いZepp会場ながら、距離の近さを感じた。渾身のステージを見せると、ラストは「Zeppのステージに立つのは最後です!」と言い放ち、叫びながらステージを去った。

会場のボルテージが上がる中で登場したのは、セックスマシーン!!。Zepp会場を森田剛史は“贅沢!”と表現し、広い会場を存分に使ったのびのびしたライブを披露。オーディエンスと共に間違いなく贅沢な時間を過ごしていた。

ガガガSPは、年明けにリリースするアルバムから、新曲「oiの中の蛙」も披露。メガ、森田と共に“ガガガDX”で『ミュージックステーション』に出演した時のエピソードをMCで披露し、会場中に笑いと拍手が響き渡った。アンコールではメガ、森田が加わり、この日訪れたみんなが楽しみにしていたであろう、ガガガDX「にんげんっていいな」が披露され、熱狂に包まれる中でエンディングを迎えた。


■11月22日(月)Zepp Sapporo

湯木慧

湯木慧

詩の朗読をSE代わりに登場した湯木慧。静まりかえった会場にアコースティックギターの音が美しく響き、思わず息を呑む。「ありがとうございました」では、湯木の手書きで書かれた『LD&K NIGHT 2021』の文字が大きくスクリーンに記される演出もあった。

FINLANDSは、MCでjunko(打首獄門同好会)との交流エピソードを披露。爆音を鳴らした「バラード」では座って観覧していた観客も立ち上がり、大きな盛り上がりを見せた。

女性アーティストの出演が続いた札幌公演のトリを飾ったのは、打首獄門同好会。大澤敦史(Vo&Gt)が「そろそろ、おじさんのダミ声が恋しくなってきた人もいるんじゃないでしょうか!? お待たせしました、おじさんです!」と登場すると、会場は期待に溢れた大きな拍手に包まれた。寒さも増すばかりのこの時期に、札幌で披露された「布団の中から出たくない」は、おそらくどの公演よりもオーディエンスの心に染みたことだろう。


■11月29日(月)Zepp Haneda

ドラマチックアラスカ

ドラマチックアラスカ

全国5箇所を回った『LD&K NIGHT 2021 ~憂晴福反応~』ツアー最終日。切り込み隊長として登場したのは、ドラマチックアラスカ。“せーの”で鳴らされた一発目の爆音とヒジカタナオト(Vo&Gt)の痛切なシャウトだけで、この日に懸ける気合いと気概を感じた1曲目「リダイヤル」から全身全霊のパフォーマンスを見せ、観る者を圧倒した彼ら。

「普段はもっと小さくて狭くて汚い、でも大好きなライブハウスで泥にまみれてライブをやってます。それを見せつけて帰れたらなと思います!」と熱い意気込みを語り始まった中盤戦は、《今の君がそこにいる理由忘れないでいて》と歌い届ける「東京ワンダー」、《僕らはにんげんだ》と力強く歌う「人間合格」と続き、バンドの意地とプライドを見せる渾身の歌と演奏にグッと胸が熱くなる。

MCでは、コロナ禍で活動が止まって一番弱ってる時、支えてくれたのがLD&Kやファンだったと感謝を告げると、「10年バンドをやってきて、こういったステージにも立たせてもらえるんですけど。ただ続けてきただけで、何も結果を出してません。まだまだ応援が必要なバンドなんです! よろしくお願いします!!」とヒジカタが涙声で訴え、「CODE:RED」、「ファイナルフラッシュ」を披露。たっぷり気持ちを込めた演奏と願いや祈りを込めた歌が観客の心を動かし、会場中が拳を突き上げて気持ちに応えると、会場には眩しいほどの希望の光が射していた。

打首獄門同好会

打首獄門同好会

大澤会長とjunko、歌とサンプラーでの参加となった“静養中”の河本あす香(Dr)に加え、サポートドラムの松本誠治(the telephones)にVJという5人体制で登場した打首獄門同好会。「新型コロナウイルスが憎い」を高らかに歌い上げてライブが始まると、コロナ禍のせいで「足の筋肉の衰えヤバイ」、そんな足の筋肉を取り戻すための「筋肉マイフレンド」と前半戦から美しい流れで観客の心をガッツリ掴み、何の疑いもなく会場中がスクワットを合わせる異様な光景に大爆笑! 

「実はドラマチックアラスカやかりゆし58とガチッと対バンするのは初めて」と始まったMCでは、メンバー紹介と松本がやっている「大宮駅から徒歩4分『大宮まぜそば誠治』」の宣伝をすると、「最近、寒いですね」という話題から「布団の中から出たくない」へスムーズに導入。そうか、綺麗すぎるライブ構成に感心して、ここまで気付かなかったけれど、規制だらけの状況下で、観客全面参加型のライブができないから、演奏や映像、演出や構成にいつも以上に力を入れていたのか! 声を出したり体を動かしたりできない分、聴覚と視覚、そして心に丁寧に訴えかけるライブで魅了する打首。

「ドラマチックアラスカのMCでヒジカタくんがエモくてさぁ」や「トリはその日をビシッと締めなきゃいけないから、今日は気楽だよぉ。かりゆし58には名古屋で貸しもあるから」と、家族のような対バンの話題を嬉しそうに話し、「歯痛くて」「島国DNA」とライブ定番曲で沸かせると、ラストは「来年はあわよくば元のライブハウスが戻るように。豊作を祈るような気持ちで!」と、祈りを込めたシャウトと爆音で「日本の米は世界一」を鳴らし、会場は最高潮の盛り上がりを見せた。

かりゆし58

かりゆし58

『LD&K NIGHT 2021 ~憂晴福反応~』ツアー最終日、大トリを務めたのはかりゆし58。「ナナ」でゆったりと温かくライブをスタートすると、「新型コロナの冷たい風の中でも、音楽の火を絶やさなかった仲間たちと、このステージに立てる喜びを涙に変えた仲間と、MCの時間を使ってプレッシャーとずっしり重たいバトンを渡してくれた仲間。音楽の力を疑わず、楽しむことを辞めなかった仲間たちと、あなたの帰りを待ってました。お帰りなさい、ライブハウスへ!」と伝え、観客から大きな拍手が起きる。続く「電照菊」、「ウクイウタ」はそこにいる観客だけでなく、この状況下で苦しんだり心折れそうになった全ての人にエールを送ってるようにも聴こえ、その優しさと心強さに感動する。

「LD&Kはリビングダイニング&キッチンという意味。あなたの居心地良い場所であったらいいなという意味なんじゃないか? と思います。家族の暖かい音楽の場所にあなたが帰って来たので、家族の歌を歌います」と披露した「アンマー」、《さあ手を伸ばせ 壁を壊せ》と背中を押してくれる「バンドワゴン」と続き、このツアーを通じて伝えたかったこと、届けたかったことを温かく丁寧に贈ると、「どう切り出して良いか分からなかったんですが」と言いながら、体調不良でツアー初日に出られなかった話題に触れた前川。「でもおかげさまで今日歌ってみたら、見ての通りです! あす香さんから貰った“静養中”のタオルを卒業することができて、東京でやる初のライブがLD&Kナイトの大事な場面で良かったです。ありがとうございました!」と力強く告げ、本編ラストとなる「さよなら」でツアーのエンディングを美しく締めくくる。

拍手が鳴り止まない会場に再び登場した、かりゆし58。アンコールで披露したのは「オワリはじまり」。全身全霊の熱くエモすぎるライブで圧倒的存在感を見せつけたドラマチックアラスカ、規制だらけの状況下でできる最高のライブで大いに楽しませた打首獄門同好会、そして包み込むような優しさと温かさで観客や対バンを抱擁したかりゆし58と、LD&Kの旗の下、ジャンルは異なれど、同じ意思を持って音楽を鳴らす3組が作り上げた、素晴らしすぎるツアー最終日のラスト。「オワリはじまり」を聴きながら“本当に良いライブだったなぁ!”と今日を振り返り、明日への期待を想像していたら、感動と幸福と喜びで涙が溢れて止まらなくなってしまった。

演奏を終えたかりゆし58が観客の大きな拍手に送られてステージを去ってからも、余韻でしばらく動けなかった僕。すると客電が着いて規制退場が始まった頃、素晴らしすぎたこの日のライブを称える拍手がフロアから自然発生的に起きて、“あぁ、みんな同じ気持ちだったんだ!”と感動して、またもや涙してしまった。このかけがえのない時間を胸に刻んで、あわよくば元のライブハウスが戻る日、そしてふたたび『LD&K NIGHT』が開催される日を心待ちにしたい。


取材・文=フジジュン(11月29日Zepp Haneda) 撮影=ツボイサクラコ

 

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