×

LiveFans PUSH!

May'nがMay'nであるために叫ぶ「Laugh&Peace」 ツアーファイナルレポート

2022/08/15
May'n

2022.8.6『May’n Concert Tour 2022 「Laugh&Peace」』@中野サンプラザ

May'nが約三年ぶりに開催したコンサートツアー『May’n Concert Tour 2022 「Laugh&Peace」』が8月6日中野サンプラザで遂にファイナルを迎えた。4月23日の千葉から3ヶ月以上に渡って続いたこのツアー、追加公演となる会場内にはMay’nのライ部(May’nのコンサートはこう呼ばれている)を見届けようとする部員(ファン)の期待が渦巻いていた。

定刻通りに照明が落ちると、ここまで回ってきた各地域と共に「Laugh&Peace!」の声がこだまするSEが流れる。期待が膨れ上がる中、ステージに立ったMay’nの一曲目は「ViViD」。「みんな今日は一緒に笑顔で楽しんでいきましょう!」そう叫びながら続く「Smile:D」も軽やかに歌い上げる。生でライ部に参戦するのは久しぶりだが、ダンサーやバンドとの息の合い方、しなやかなステージングなどには磨きがかかっている気がする。これはミュージカルなど舞台を経験したからだろうか。

可愛くもテンションの髙い「DOLCE」では会場中がタオルを掲げ振り回す。まさに「夏」を感じさせる雰囲気だ。MCでも「もう汗が止まらん!」と笑顔で語るMay'n。この夏のムードを止めないとばかり続いて放たれたのは「ギラギラサマー (^ω^)ノ」。『マクロスF』からのアッパーな選曲だが、久々の披露ということで会場からは思わず「おぉ…」と声も漏れる。

初速からトップスピードで駆け抜けるように歌いつつ、間奏では客席を巻き込んでウェーブを巻き起こす。続く「ヤマイダレdarlin’」でまるで指揮者のように客席と踊る姿を見て、声の出せない規制のあるライブで、どのように一体感を出すかを考えたMay'nとチームの思いが伝わってくるようだった。

TeddyLoidとタッグを組み、May'nの愛する地元である名古屋を厚くフィーチャーした楽曲「B.H.U.」はドープなEDMではあるが、このセットリストの流れだと、この曲にも“夏”を感じてしまう。「BUCHO!!Hands Up!!」と叫びながらバウンズするフロア。「最後はナナちゃん!」と名古屋名物ナナちゃん人形のポーズを全員が取り、拍手もなく静寂の中で曲が終わったときは思わず笑みがこぼれてしまった。この雰囲気はMay’nのもつ明るさのパワーが生み出す地場のようなものだろう。

その後のMCでもナナちゃん人形への思いを語ったかと思ったら、青森ねぶた祭への情熱をこれでもかと喋る。コロコロと話題を転がしながら、その中心にはMay’nの笑顔がある。トークのバリエーションの多さや上手さなど、キャリアから来る信頼を感じる時間だ。

勢いよく展開されていた前半から一転、「Real Lies」でクールな空気感が生まれていく、ソフトロック的なサウンドも、続いた「オレンジ」のバラ―ディーな感じも一瞬で歌いこなしていくMay'nのボーカルスキルの高さを改めて感じる。エモーショナルなパートの締めくくりは名曲「ダイアモンド クレバス」だ。数々のシチュエーションで歌われてきたこの曲は、その時のMay'nの心情がにじみ出るような楽曲だと思っている。この日の「ダイアモンド クレバス」はどこか感謝と愛がにじみ出ていたような気がする。優しく、美しい旋律が響く時間。ステージの中央で動かず、真っすぐ立って歌うその姿に観客からは長い拍手が送られた。

どこかファンタジックでトライバルなリズムが聴こえてきたら、それは「Follow Your Fantasy」の時間ということだ。一気に激しく展開されていくこの曲を歌い終えてMay’nは「気がついたら勝手に腕が上がっていった」と語っていた。声だけではない、全身で歌っているからこそ伝わるエネルギー、部員も声が出せなくても手をあげ、クラップし、共にライ部を盛り上げ形成しようと汗を流している。その思いの循環が客席とステージで行われている。

「ここからテンポ上げていくよ!」宣言通り「Belief」は一声目からトップギアで始まった。きらめく照明の中激しく歌い上げるが、それを簡単に飛び越えていくのがMay'nというアーティストだ。「graphite/diamond」で更に温度は上がる。しなやかなステージング、圧倒的な歌唱力に裏打ちされた、瞬発力あるパワーと繊細な歌声の使い分けの妙こそがMay’nの魅力だ。一気に加速したあとは「インフィニティ」。身体にまだ残る熱を感じながら、ただステージを凝視する時間。だがこれで終わりではない、続けて「キミシニタモウコトナカレ」ではバンドメンバーと掛け合いながら激しく展開していく。

草野華余子とタッグを組んだ「蒼の鼓動」はテレビ愛知の野球中継『10チャンベースボール』のテーマソング。名古屋愛に燃えるMay'nは勿論中日ドラゴンズファンでもあり、この曲もその思いがしっかり詰まっているのだが、それ以上にライブチューンとして抜群の出来の一曲だと感じた。強く今を生きている僕たちは「頑張っているよな」というメッセージが詰まった一曲、ライ部だからこそ感じる彼女の真剣さが胸を打つ。

「最近涙もろくなっているのかな?」と前置きしながらMay’nは語る。最近1人でいなくちゃならない、やっと全国ツアーで地方にも行ける、みんなに会える!という思いでできる限りの感染対策と予防をし続けたことを涙を浮かべながら伝えてくれたその言葉にはどこか重荷から開放されたような印象を受けた。長丁場となったこのツアーでは気をつけなければならないことが本当に多かっただろうし、その努力と苦労は筆舌に尽くしがたいものだったのだろう。

「一人一人の貴方に、届きますように」そう歌われた「未来ノート」。前を向くのにはパワーが必要だ。普通に生きている僕らですら日々疲弊しているのだ、ステージに立ち続けるアーティストにかかる重圧は比べ物にならないはずだ。

May'nが“アーティストMay’n”でいるために、ライ部とそこに集まる部員が必要なんだと思える歌唱が続く。ステージから歌を通して届く思いと、客席からそれを受けて発信される思い。永久機関のように、お互いがお互いであるために、続く願いと祈りのような空間がそこにあった。本編ラストは「May’n☆Space」、最後はどこまでも明るく楽しく。ツアーのタイトル「Laugh&Peace」を体現するかのようにコーラス部分には振り付けも、歌えなくても声は聞こえるようだ、サンプラザ全体で“歌った”この一曲で本編は無事終了。

だが、ツアーファイナルがこれで終わるわけがない。アンコールはTVアニメ『てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!!』エンディング主題歌である「あはっててっぺんっ」でスタートだ。「ちょっと欲が出てきた!」とまだ発売前の曲の振り付けを細かく指示していくMay'n。大石昌良の作り上げたハイテンポかつハイテンションなこの楽曲で客席は完璧な振り付けを見せていき、これにはMay’nも感動の言葉を漏らす。

長く続いてきたツアーの本当の最後の一曲は「Walk with moments」。未来に踏み出すこと、その中でも繋いできたもの、感謝が詰まった歌唱が響く。当たり前が当たり前ではなくなってしまった今、それでもMay'nはMay'nであるために歌い続けるのだろう。最後の言葉は勿論「Laugh&Peace!」。

笑顔を浮かべながら、ライ部はこれからも続いていく。再会のホイッスルを聞くまで少しのお別れ。家に帰って思い返すと、思わず笑みがこぼれてしまった。それはこのライ部で受け取った熱がまだ、身体に残っていたからだろうか。今日も明日も日々は続いていくが、辛くなったら「Laugh&Peace」をおまじないのように唱えようと思う。その時は勿論、May'nの曲を聴きながら。

レポート・文=加東岳史 撮影:高田梓

 

関連ライブ

関連アーティスト

レポート一覧に戻る

バナー