岡山『EIGHT BALL FESTIVAL 2025』に10-FEET、ORANGE RANGE、ハンブレら豪華集結ーー「今日だけは笑って帰ってくれ!」熱気爆発の初日を全組レポート(写真76点)
2025/04/30『EIGHT BALL FESTIVAL 2025』2025.3.29(SAT)CONVEX岡山
2025年3月29日(土)・30日(日)の2日間、岡山県岡山市にあるCONVEX岡山にて『EIGHT BALL FESTIVAL 2025 supported by GROP』が開催された。3回目の開催となる今回から、新たに屋外ステージが増設され、SOLID STAGE / STRIPED STAGE / CUE STAGEと名付けられた3ステージに、全34組のアーティストが出演。SPICEでは、岡山から音楽シーンを盛り上げるべく集まったアーティストとオーディエンスが作り上げた、岡山でのライブの模様を全組レポートする。
初日は10-FEETをヘッドライナーに、エイトボールらしいたたき上げのアーティストがズラリとラインナップ。CUE STAGEはフードエリアと隣接しており、休憩がてら訪れた人々の目と耳にも自然と飛び込んでくる場所ゆえ、偶然の出会いも多かったはず。ある意味最もフェスらしさのあるステージと言えるだろう。全体的にはこれまで以上にタイムテーブルが充実し、せわしくも楽しそうに巡る参戦者の姿が印象的だった。一方で、サンプリングやフォトスポットなどのブースにも絶えず人だかりができるなど、ライブ以外のお楽しみも見逃せない。開催を追うごとに進化するエイトボール、2025年の模様をとくとご覧あれ!
炙りなタウン【CUE STAGE】11:30〜
撮影=センイチ
「今年初めてできた野外ステージ。エイトボールの歴史に残る一番最初に音を鳴らすバンド、あんたの街のあんたのバンド、岡山・炙りなタウン始めます!」(ゆきなり/Gt.Vo)、以下同)
1曲目の「ライブハウス」からあたかもクライマックスかごとくの熱狂を噴出させた地元勢・炙りなタウンが2年連続のオープニングを奪取! 「ルールも縛りもないんで、ドキドキしたら拳をください!」との言葉を具現化したフロアへ、「パンクな彼女」や「狼煙をあげろ」と怒涛のショートチューンを投下する。曲間では、口々に「ヤバい!」「熱過ぎる」とフロアから称賛が浴びせられ、最前の炙りなラヴァーは言わずもがな、色とりどりのバンドTをまとう人々もどんどん前方へと吸い込まれていくさまは圧巻だ。
撮影=センイチ
撮影=センイチ
「朝は嫌いだし、いつもだったら太陽やこの気温、花粉にもボロ負けなんですけど、今日は勝てる気がする。この緑にも、あの太陽にも、今日は勝てる気がする。一緒に戦ってくれますか?」
そんな思いを一身に受け取り、ギアを上げるように「プルースター」を捧ぐ3人。マシンガンのようなリリックに挟まれた「岡山にはずっと大きなフェスがなかったんです。でももう大丈夫! わしらにはエイトボールがある!」とのメッセージにも胸を打たれるばかりだ。「岡山の皆さん、あんたのバンドでした。またライブハウスで!」と瞬間最大風速で走り抜け、これぞライブバンドたる姿を叩きつけた炙りなタウンのステージで、『EIGHT BALL FESTIVAL 2025』開幕です!
撮影=センイチ
撮影=センイチ
取材・文=後藤愛
IdolPunch【STRIPED STAGE】11:35~
撮影=日吉”JP”純平
3年連続出演、そして3年連続でSTRIPED STAGEのトップバッターを務めるのは地元・岡山が誇るファスト・ハードコアバンドのIdolPunchだ。今年ももちろん、メンバーはパンツ一丁! Racco(Vo)は自身がオーナーを務めるバーガー店「RACCOS BURGER」のマスコットキャラ・スーちゃんの着ぐるみを脱ぎ捨て、早速「Ichigo」から高速チューンを連発。叫ぶように歌うRaccoにHAMA(Gt)、U.S.G(Gt)がかき鳴らすギター、A(Dr)の突っ走るようなビートが絶妙なバランスで重なり合っていく。観客は最初こそあまりのスピードの速さに茫然としていたけれど、気付けば拳を突き上げご機嫌な表情に。
撮影=日吉”JP”純平
撮影=日吉”JP”純平
ステージはもちろんどの楽曲も素晴らしかったが、この日のMCで発表された2つのトピックスを報告したい。まずは「来年も出ます!」と、すでに来年の『EIGHT BALL FESTIVAL』出演が決定したこと。さらに、「RACCOS BURGER」の開店20周年を記念し、10年ぶり2回目となる音楽イベント『I SCREAM FESTA 2025』を10月4日(土)・5日(日)の2日間にわたって同会場で開催されることが発表された。
撮影=日吉”JP”純平
大きな歓声が沸き起こるなか、Raccoは『EIGHT BALL FESTIVAL』のこれからの存続を願いつつ、「始まったばっかり。ゆっくり楽しみましょう」と、さらにスピードを増した「After 5 Shoot」「My Summer」など、ライブハウスさながらの熱量を作り上げ、トップバッターを駆け抜けた。
撮影=日吉”JP”純平
取材・文=黒田奈保子
ヤバイTシャツ屋さん【SOLID STAGE】12:10~
撮影=aoi / アオイ
初出演にして最大キャパのSOLID STAGEに登場したヤバイTシャツ屋さんは、「おいでおいで! ゆっくり見るバンドちゃうから(笑)」と、こやまたくや(Gt.Vo)が呼び掛ければ瞬く間に観客が押し寄せ、1曲目の「あつまれ!パーティーピーポー」から高揚感というギアは一気にトップスピードへ!
撮影=aoi / アオイ
その後も、フロア総出のジャンプに揺れた「メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲」、ありぼぼ(Ba. Vo)がメインボーカルを担う「Blooming the Tank-top」、「ええ声出てるね~!」と、こやまも頬を緩めたシンガロングが映えた「ハッピーウェディング前ソング」。
撮影=aoi / アオイ
さらには、「エイトボールフェスのスタッフ接しやすい/めちゃ優しい/感じがいいetc」(こやま、以下同)等のコール&レスポンスや、何の脈絡もないウォール・オブ・デスでにぎわせたかと思えば、唐突にエイト=瑛人の「香水」をもじった「喜志駅周辺なんもない」と(笑)、容赦なくアンセムを連発。照明と映像のスイッチングもとにかくお見事で、ライブをドラマチックに見せるのに一役買っていた。
撮影=aoi / アオイ
後半戦はさらにヘヴィネスがマシマシで、「DANCE ON TANSU」「すこ。」「無線LANばり便利」と畳み掛ければサークルモッシュが発生! トドメは大衆の叫びをぶち込んだ「NO MONEY DANCE」、「この後にいろんなバンドが出てくるけど、ヤバTのライブが楽しかったことを忘れんなよ~!」とアドレナリンを注入した「かわE」で怒濤のエンディングへ。最強最速の全10曲で、SOLID STAGEのトッパーとしての役割を果たした。
撮影=aoi / アオイ
取材・文=奥“ボウイ”昌史
tricot【CUE STAGE】12:50〜
撮影=AZUSA TAKADA
サウンドチェックからじわじわ吸い寄せられる観客を前に本編の「ポークジンジャー」へとなだれ込んだtricot。育休中のヒロミ・ヒロヒロ(Ba.Cho)に代わりBENCH.(Ba)を伴う、清涼感と変態的リズムのミクスチャーに惑わされながら、「おもてなし」では全身全霊でプレイするキダ モティフォ(Gt.Cho)にクラップが自然発生!
撮影=AZUSA TAKADA
アンニュイなムードを漂わせた中嶋イッキュウ(Vo.Gt)は、そのたたずまいとは裏腹にエモーションいっぱいに「OOOL」を歌唱。続く「不出来」ではエフェクティブなボーカルが焦燥感を駆り立て、tricotというバンドの揺るがぬ存在感をまざまざと見せつけていく。さらに、ゆったりした「potage」では、どこかセッション感ある音像にスリリングさをにじませる4人。
撮影=AZUSA TAKADA
中嶋とキダが織り成す鮮やかなツインギター、吉田雄介(Dr)とBENCH.が繰り出すビートは、ヘヴィで高密度なサウンドである一方、どこか心地良く、ふつふつと感情をたぎらせていく。BPMに関係なくこの場に集った誰もを等しくアガらせるパフォーマンスには脱帽だ。
「今日は岡山に来れてうれしいです! とっても久しぶりの岡山。たくさん来られるように頑張ります。また会いましょう」(中嶋)
そう再会を約束し、「おやすみ」でさっそうとCUE STAGEを後にした彼女たち。音が鳴り止んでも脳内をこだまする一音一音に、tricotのすごみを思い知らされた一幕だった。
撮影=AZUSA TAKADA
取材・文=後藤愛
Arakezuri【STRIPED STAGE】12:55~
撮影=センイチ
「(このステージを)選んでくれてありがとう! あんたと一緒にライブハウスを作りにきた!なるべく素顔でいようぜ!」と、白井竣馬(Vo.Gt)が大きく叫び「素顔」へ。真っ直なリリック、熱情を純度100%でぶつけるバンドサウンドに魅せられ、観客は拳を突き上げ、ともに大きな声で歌う。「始めようぜ! あんたにウルトラエール!」で「ウルトラエール」へ。曲に導く言葉のひとつひとつがしっかりと心を揺さぶるし、宇野智紀(Ba.Cho)、椿佑輔(Dr.Cho)の確実に鼓動を掴むビートに、誰もが真摯な瞳でステージを見つめている姿がとても印象的だった。
撮影=センイチ
撮影=センイチ
「最後まで楽しんだもん勝ち!」「アンタたちが主役!」、白井が投げかねる言葉や、リリックに込められた想いの数々には眩しくて、曇りのない言葉が詰まっている。「ヒーロー」のドラマチックな石坂亮輔(Gt.Cho)のメロにも、白井は溢れる思いを歌い叫ぶ。そこに呼応するように、自然と大合唱が沸き起こるフロア。バンドだけでなく、観客とともに作り上げる景色はとにかく美しいったらない。2月26日にリリースした新曲「蕾」では、これからもバンドの歩みを止めることなく突き進んでいくと決意を語る。タイトルの通り、これから大輪の花を咲かすべく、がむしゃらに音を鳴らす4人は初出演の『EIGHT BALL FESTIVAL』に確かな軌跡を残していった。
撮影=センイチ
取材・文=黒田奈保子
WurtS【SOLID STAGE】13:35~
撮影=日吉”JP”純平
SEの重低音が地鳴りのように響きわたるなか、さっそうとSOLID STAGEに現れたWurtSは、ミラーボールの幻想的な光が空間をなぞるクールな「ライフスタイル」からスタート。続く「BOY MEETS GIRL」や「Talking Box(Dirty Pop Remix)」でも、歴戦のロックバンドが居並ぶ『EIGHT BALL FESTIVAL』においては異色とも言えるサウンドデザインと洗練されたダンスビートで、シーンの第一線を突っ走る理由を鮮やかに証明していく。
撮影=日吉”JP”純平
「僕は初めての出演ということで、呼んでくれてありがとうございます! 岡山に来れてうれしいです。WurtSを初めて見る方も、子どもの頃のように自由に楽しんでもらえたら」といざなった「大人になるのは」ではMPCを操り、そのままシームレスに「SWAM」へとつなぐなど観衆を巧みにフックアップ。「エイトボール最高です! みんなもっともっと高く飛べますか!?」とアジテートした「コズミック」のエクスタシーもたまらない。
撮影=日吉”JP”純平
「(ケータリングの)ご飯がすごくおいしくて、出番前にお腹がパンパンなんですよ。だからみんなと盛り上がって解消したい(笑)」と和ませたWurtSは、終盤も「NOISE」を皮切りに、心も体も動き出す代表曲「分かってないよ」、「もっと歌って踊って最高な一日にしましょう!」と突入した「リトルダンサー」と、有言実行のパフォーマンスで見る者を魅了。溢れる才能を岡山の地に記した。
撮影=日吉”JP”純平
取材・文=奥“ボウイ”昌史
G-FREAK FACTORY【CUE STAGE】14:15〜
撮影=aoi / アオイ
ひやりとした風が吹き荒ぶのを感じた瞬間、次なるステージの嵐を予感せずにはいられない。堂々たる存在感でCUE STAGEを揺らしたG-FREAK FACTORYは、サウンドチェックで軽く音を鳴らしただけでもその迫力たるや! 一気に人だかりとなったフロアの大歓声を受け、「G-FREAK FACTORY始めます!」とハンドマイクを手に端から端まで躍動する 茂木洋晃(Vo)。極太グルーヴうごめく「SOMATO」に腹の底から鼓舞される「YAMA」と、間髪入れずにタフネスなサウンドで場を包囲していく。
撮影=aoi / アオイ
「我ら何を隠そうヴィジュアル系バンド(笑)。今日も本当にかっこよくてスミマセン。ライブハウスにしていこうか!」(茂木、以下同)
そんなバンドの圧倒的存在感にクラクラしつつ、「Too oLD To KNoW」ではオーディエンス一人一人をしっかりと見据える茂木。その強固な意思を受け取り、一層大きなコールを返す美しき相互関係は彼らのライブならではのものだ。
撮影=aoi / アオイ
「近年まれに見る雨バンドの俺たちを、この屋根のないステージにブッキングしたエイトボールはさすが(笑)。今は、個人個人がメディアになっていろんなものを伝えていける時代になった。こんな雨バンドでも見事に空がもって、G-FREAK FACTORYが最高だったって書けばいいよ。俺らはここに来たんだ。いいものにしていこう」
撮影=aoi / アオイ
そう続けて「ダディ・ダーリン」へと突入。どんな場所から音を浴びても近距離に思わせるさすがの求心力。「Fire」では共に大きな音塊を創出するような一体感を覚え、猛ラッシュの「らしくあれと」でフィニッシュへ……と思いきや、茂木だけ去ることなく、怒涛のフリースタイルで観る者を鼓舞! 幾度も声を合わせたG-FREAK FACTORYとの絆は解けることはないと確信したひとときだった。
撮影=aoi / アオイ
取材・文=後藤愛
十明【STRIPED STAGE】14:20~
撮影=AZUSA TAKADA
すっと息を吸い上げ、透明感ある歌声を響かせると、ダンサブルなナンバー「NEW ERA」からライブがスタート。深い藍色の照明に染まるなか、凛とした歌声を響かせ、音の中を泳ぐようにしなやかに体を揺らす彼女。映画のワンシーンを見るような、感情の深いところに響く歌声に観客はただじっと見入っている。
撮影=AZUSA TAKADA
「こんにちは、十明です。今日は楽しんでってね」と、先ほどの凛とした姿から一転、屈託のない笑顔で観客に声を掛けたかと思えば、次曲は妖艶で艶のある「蜘蛛の糸」で流れる黒髪の隙間から鋭い視線を送る。さらに「蛹」ではスリリングかつ矢継ぎ早に言葉を紡ぎ、より一層怪しげな雰囲気をまとっていくし、デビュー曲「灰かぶり」では透明感ある歌声に怪しげな表情を掛け合わせていく。
撮影=AZUSA TAKADA
多彩な楽曲のなか、まるで名俳優の如く、楽曲の全てに憑依するように歌い上げる彼女の姿からひと時も目が離せない。ステージ後半はアコギを抱え、優しく歌い上げる「夜明けのあなたへ」。はかなくも凛とした歌声のなかにも柔和な一面が垣間見えたかと思えば、「メイデン」でまたも表情がガラリと変化。見ているこちらは彼女の千変万化な姿に翻弄されっぱなしだ。「今日は楽しんでもらえたかな? 次で最後の曲、全力で楽しんでください」と、ラストは「革命」でしなやかに美しく伸びる歌声を響かせた。
撮影=AZUSA TAKADA
取材・文=黒田奈保子
打首獄門同好会【SOLID STAGE】15:00~
撮影=センイチ
出番が15時ということでサウンドチェック中におやつ=うまい棒を配り始めるなど、完璧な準備の下で挑んだ(笑)岡山のフェス初出演。気合十分の打首獄門同好会は、「おかしにつられた皆さま、ついてきてくださいよ~!」と大澤敦史(Vo.Gt)の雄たけび一発、「デリシャスティック」で幕を開け、すさまじい轟音を響かせすぐさま「筋肉マイフレンド」へ。開始5分で見渡す限りがスクワットする風景を生み出してしまう(笑)。VJによる映像もろとも楽しませる「ほっこりニュース大集合」や「部長ぷっちょどう?」といい、初にしてすでに岡山とマイメン状態の親近感はさすがだ。
撮影=センイチ
撮影=センイチ
「今日はちょっと涼しいじゃないですか? だから俺たちも慌ててセットリストを変えたの(笑)」(大澤)と全国民の気持ちを代弁した「布団の中から出たくない」の後は、「BUNBUN SUIBUN」「ニクタベイコウ!」「島国DNA」「日本の米は世界一」=水・肉・魚・米と、日本人の生活密着型ラウドロックナンバーを連発! 岡山との蜜月関係の始まりを告げる強烈なインパクトを残した打首獄門同好会だった。
撮影=センイチ
取材・文=奥“ボウイ”昌史
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Lucky Kilimanjaro【CUE STAGE】15:40〜
撮影=日吉”JP”純平
「何度でも言います、ダンスは自由です!」(熊木幸丸/Vo)と、8曲ノンストップでCUE STAGEをダンスフロアへと塗り替えたのはLucky Kilimanjaroだ。
「踊り方が分からなくてもいい、自由に踊って!」(熊木)と促す「350ml Galaxy」では、ちょっぴりナイーブな日常の描写から始まるも、それと地続きでダンスミュージックがあることを熊木は高らかに歌う。なのに途中退場する彼に、松崎浩二(Gt)は「いずこへ?」なんてリアクションを取るも、それはお約束。満タンの生ビールを手にカムバックした熊木は、全員をねぎらうように乾杯! パーティーは毎日あるわけじゃないけれど、この瞬間、ラッキリと踊れるならそれは何と幸福なことだろう。
撮影=日吉”JP”純平
そんなポジティブな空気ですっかり満たされた空間へ「HOUSE」でさらなる開放感をもたらし、大瀧真央(Syn)の「エイトボール、踊れてる?」というキュートなコールに沸いた「Burning Friday Night」へ。松崎がステージを降り観衆と同じ目線でギターを弾き倒すシーンではよりテンションが高まり、トロピカルな「KIDS」、ラミ(Per)の軽快なパーカッションがよく映えるラッキリ流盆踊り「踊りの合図」と、狂騒のピークは突き抜け続けるばかりだ。
撮影=日吉”JP”純平
柴田昌輝(Dr)の重厚なリズムに山浦聖司(Ba)の強靭なビートが絡み合う「Dancers Friendly」、さらにカオスに踊り狂わせた「楽しい美味しいとりすぎてもいい」で、もうこの上ないほどにアガり切ったところへ「ひとりの夜を抜け」をドロップ! 終始歌い踊る、根源的なライブの多幸感を教えてくれたLucky Kilimanjaroを、オーディエンスは万雷の拍手で送り出していた。
撮影=日吉”JP”純平
取材・文=後藤愛
MONONOKE【STRIPED STAGE】15:45〜
撮影=aoi / アオイ
STRIPED STAGEではソロアーティスト・MONONOKEが「room」から軽快なバンドサウンドを鳴らし、自然と体が揺れる心地よいビートで観客の心情をじわりじわりと盛り立てていく。「MONONOKEです。よろしくお願いいたします」と、さらりと挨拶を交わすと「トーキョー・ジャーニー」へ。
撮影=aoi / アオイ
めまぐるしく変化する街の喧騒、都会の波に乗るのでなく、強制的に乗っけられたようなジェットコースターみたいなスピード感あるサウンドで観客を心酔させる。次曲「悪魔と戯れ」では背徳感のある甘く気だるげな歌声、デジタルとストリングスを混ぜこんだ混雑したサウンドで観客を躍らせるなど、多面的な楽曲で自身の魅力をアピール。
撮影=aoi / アオイ
「普段は家で曲を作っていて、岡山でのライブは今日が初めて。ジャンルの幅がある曲ばかりだけど、最後まで楽しんで聴いて帰って」。マスクを深く被り素顔を見せない彼。表情こそしっかりと見えないけれど、嬉々とした声で感謝の気持ちを告げ、次曲「テイク・ミー」へ。先述の言葉の通り、「テイク・ミー」ではこれまでと一転し、力強く温かな歌声を響かせ、「ラブリー」では観客の手拍子を受けながら多幸感いっぱいの楽曲を届ける。「みなさん、最高です!」と、ラストは新曲「ワールドイズマイン」で多幸感にあふれたサウンドから、スリリングなバンドサウンドに急展開させるなど、感情大忙しなステージで楽しませてくれた。
撮影=aoi / アオイ
取材・文=黒田奈保子
ハンブレッダーズ【SOLID STAGE】16:25~
撮影=AZUSA TAKADA
初の『EIGHT BALL FESTIVAL』であろうと、ムツムロ アキラ(Vo.Gt)が「スクールカーストの最底辺から青春を歌いに来ました!」とライブを始めるのは変わらない。冒頭の「BGMになるなよ」から、積み重ねてきた歳月を音にした分厚いバンドサウンドをかき鳴らしたハンブレッダーズは、「みんなの退屈とか悲しみに風穴をぶち開けに来たんで!」(ムツムロ、以下同)と宣言。「はじめから自由だった」でも四位一体となって駆け抜ける!
撮影=AZUSA TAKADA
撮影=AZUSA TAKADA
「岡山エイトボール、楽しみにしてきました。僕らが出てくるときのオープニング映像がすっごいギラギラしていて。(パチンコの)「確変」みたいな(笑)。最高の演出から始まりました。踊りたい人は踊って、手を挙げたい人は挙げて、後ろの方でバンドマンの彼女みたいに見たい人は見て(笑)、好きな楽しみ方を見つけてください」
撮影=AZUSA TAKADA
高速BPMかつシアトリカルな「フィードバックを鳴らして」のスリル、木島(Dr)のパワフルなドラミングにでらし(Ba.Cho)のスラップとukicaster(Gt)のカッティングが合流する「ワールドイズマイン」の躍動感、「DANCING IN THE ROOM」の軽やかなグルーヴに身を委ねた後は、「僕と木島は高校一年生からの付き合いなんですけど、2人ともまぁ目立たないヤツだったんですよ(笑)。でも、音楽に出会ってバンドを始めてから、みるみるうちに人生が好転して……だからこれからも自分の生きてきた道を歌っていこうと思ってます」と、新曲「バタフライエフェクト」を披露。先ほどの思いをしかと曲にしてみせ、ラストは「⚡️(ビリビリ)」を。トリックもフェイクもなしで突き進むハンブレッダーズの美しき過程が、『EIGHT BALL FESTIVAL』に刻まれた。
撮影=AZUSA TAKADA
取材・文:奥“ボウイ”昌史
osage【CUE STAGE】17:05〜
撮影=センイチ
日も落ち始め、肌寒さを感じるようになった初日のCUE STAGEは、osageの4人が熱気たっぷりに締めくくる! ド頭の「フラグメント」から、りりしい表情でアジテートする山口ケンタ(Gt.Vo)。ヴィブラートたっぷりに響かせるボーカルで耳を奪ったかと思えば、「ジオメトリック」では金廣洸輝(Gt.Cho)とのツインギターで鮮やかなアンサンブルを組み立てていく。さらに、4月3日に配信となった新曲「オーバードライヴ」を一足早くお披露目するサプライズも挟み、ブライトな音像と吸引力に満ちた言葉の数々で、邦ロックの伝統と新たな継承を示していくよう。
撮影=センイチ
「俺たちはタオルを回したり、モッシュが起こるようなバンドではないですが、だからこそしっかり真正面から歌を届けたいと思います。今日一番いい歌を歌いに来ました」(山口、以下同)
そう熱く語るや、ヒロクサマ(Ba.Cho)のベースシンセをアクセントに、「残り香」を歌心いっぱいに放出! 「夜煩い」でもセンチメンタルな情景を紡ぎ上げていく。
撮影=センイチ
「僕らは2年連続の出演ですが、エイトボールはすごくお世話になっている人たちが特別な思いで作っているフェスで。当たり前に音楽が流れているし、こうやって当たり前に目の前にあなたがいてくれる。でも当たり前だと思いたくないし、当たり前なんてない。それでもこの先また会えたら、今度は偶然じゃなくて必然。そうやって巡り合える当たり前を一生懸命作っていきたいと思います!」
この日この場で出会えた喜びを「ウーロンハイと春に」に乗せてエネルギッシュに奏でていく彼ら。田中優希(Dr)が仕掛ける猛ラッシュにクライマックスを予感させるなか、osageが放ったのは渾身のラストチューン「マイダイアリー」。未来のロックヒーローたる堂々としたシルエットを岡山の地に刻みつけ、2日目へと熱量高くバトンを渡した。
撮影=センイチ
取材・文=後藤愛
RUNNERS-Hi【STRIPED STAGE】17:10〜
撮影=日吉”JP”純平
RUNNERS-Hiの『EIGHT BALL FESTIVAL』出演に驚いた人は多いはず。2012年の解散から12年の時を経て、昨年9月に再結成した彼ら。Teppei Yoshikawa(Vo.Ba)がバンドの名を声高らかに叫び、「The dark night butterfly」から一瞬でフロアに心地よい緊張感を張り巡らせる。錆も曇りもない、最新のバンドの音を鳴らし続ける4人。Naoki Nakamura(Gt.Cho)、Kohta Hyugaji(Gt.Cho)、2人の紡ぐ音にぐっと胸が締め付けられるし、Yudai Yamada(Dr)の弾むビートに体が痺れる感覚もなんとも心地よい。
撮影=日吉”JP”純平
撮影=日吉”JP”純平
「フェスの醍醐味のひとつは、知らないバンドを観ること。今日の“オマエ、誰やねんスポット”をいただいております!」と笑いを誘うも、「今日から岡山でストーリーを作っていきたい」と、決意新たにこれからも活動を続けていくと思いを語り、昨年リリースした13年ぶりの新曲「DEAD STOCK」へ。タフなバンドサウンド、哀愁を感じるメロに観客は瞬時に心奪われ、気付けばフロアのいたるところから拳が突きあがっていた。
撮影=日吉”JP”純平
岡山でのライブは10数年ぶりだという彼ら。「ライブハウスに足を運んで、今日のオレたちみたいな“誰やねん枠”みたいなバンドに出会い、さらに深堀りしてほしい」と、ライブハウスへの思いを語ると、ラスト「The Minority」で一層熱量高いバンドサウンドで観客を圧倒した。
撮影=日吉”JP”純平
取材・文=黒田奈保子
ORANGE RANGE【SOLID STAGE】17:50~
撮影=aoi / アオイ
イントロで歓声が上がった「以心電信」から、初見でもなぜだか歌えるポップソングの数々で楽しませたのが、「初登場エイトボールでございます!」(RYO・Vo)と岡山にはせ参じたORANGE RANGEだ。「1曲目からめちゃくちゃ盛り上がってくれてうれしいんですけど、知らない曲になったらポカーンってならない? ノリでごまかせる?(笑)」(HIROKI・Vo)と身も蓋もないMCで和ませた「解放カーニバル」でもしっかりクラップを巻き起こし、その熱量は「みんなが一つになれる曲、踊れる曲、ここらでいっときましょうか!」(RYO)と導いた「上海ハニー」でも、もちろん継続。広大なSOLID STAGEの隅々までが手を振る絶景を軽々と作り出してしまう。
撮影=aoi / アオイ
そして、ここからは「ソイソースメドレー」と銘打ち、タオルが舞った祝祭の「Pantyna」から「SUSHI食べたい」~「DANCE2」~「おしゃれ番長」とダンスミュージックの渦へととことん楽しく、心地良く引きずり込んでいく! 「沖縄から来て良かった。この会場だけは暑く/熱くさせたい! ついて来れますか岡山?」(RYO)と、最後は「イケナイ太陽」「三線Punk」「キリキリマイ」の3連発で場内の気温をグンと上げ、その期待に存分に応えて超えていったORANGE RANGEの真骨頂たるステージだった。
撮影=aoi / アオイ
撮影=aoi / アオイ
取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=aoi / アオイ
chelmico【STRIPED STAGE】18:35〜
撮影=AZUSA TAKADA
「もっと前においで~♪」と、サウンドチェックから観客をナチュラルに引き込んでいく2人。本編でも「Player」からご機嫌にタオルを振り回しつつ、重低音を効かせたトラックで観客を揺さぶっていく。Rachel、Mamikoのフリーキーかつ、気迫のあるラップに呼び寄せられ、続々とフロアに人が集まってくる。「肌寒い日に、夏をつれてきたよ~。好きに踊っていこう!」と、「Highlight」へ。夏の夕暮れみたいな、開放感とちょっぴりの哀愁が入り混じったサウンドの中をゆらゆら泳ぐように歌う2人。“この瞬間をとにかく極上にしてやろう!” という、そんな気迫に満ちた2人によるステージは喜怒哀楽の感情が次々にやってくる。
撮影=AZUSA TAKADA
撮影=AZUSA TAKADA
「まだまだ夏の曲やりま~す!」と、「Watermelon」では低音を効かせたラップでの掛け合いがたまらかく良いし、観客とのコール&レスポンスもスムースにアジテートしてくれるもんだから、フロアの一体感も上がりっぱなしに。「知ってる人は踊る!知ってない人も踊る!」と、名曲「Sunburn」でさらに気分は上々に♪ <愛したい!恋したい!でも愛されたい!>の掛け合いがきたら、それはもちろん「Love is Over」! 恥ずかしがっていたらもったいないと、気付けば誰もが楽しそうに声を大にして<Love is Over>を叫ぶ素敵な空間が目の前に広がっていた。 「また岡山戻ってくるんで!健康第一!chelmico 第二!」、その約束が守られる日が早く来ることを願いたい。
撮影=AZUSA TAKADA
取材・文=黒田奈保子
10-FEET【SOLID STAGE】19:15~
撮影=センイチ
「ぶっ飛ばしていくんでついてこいよ!」というTAKUMA(Vo.Gt)の頼もしい一言が、「VIBES BY VIBES」の圧倒的なエナジーが、いきなり魂を突き上げる。SOLID STAGEに3年連続出演の皆勤賞=『EIGHT BALL FESTIVAL』の誕生から共に歩んできた10-FEETが、「セキュリティの皆さんに先に言うとこ。ありがとう、ごめんなさい(笑)。跳べー!」(TAKUMA、以下同)と、「goes on」でも天井知らずの熱気を爆発させる迫力に、トリはやっぱりこのバンドだと確信する。続いても「ハローフィクサー」に「helm’N bass」と、やる曲やる曲胸に迫りくるエモーションの洪水は、ただただ圧巻。
撮影=センイチ
「アンコールなし、一発勝負でやらせて。その方が一曲多くできるから。仲間が盛り上げようと思ってやってるフェスなんで、10-FEETはエイトボールをひいきします(笑)。これから何年も何年も積み重ねて、歴史と物語を作っていって、岡山を盛り上げていこうよ。ハッピーは倍に、悲しいことは半分に、それがロックやライブハウスにはできると思うんで。このフェスには何となくライブハウスの匂いを感じてます」
撮影=センイチ
からの「RIVER」ってもう、10-FEETは全部分かってくれてる。そんな信頼感に声と拳で応えるオーディエンス。「今日だけは笑って帰ってくれと本気でそう思ってます」と真摯に届けた「蜃気楼」から一転、再び沸点を更新したのは「第ゼロ感」だ。ライブでしか味わえない強烈なテンションでぶっ壊れんばかりに盛り上がりつつ、ロックが好きで集まった同志へ愛と優しさのこもったメッセージを投げ掛け続けるTAKUMA。ついに迎えたクライマックスは、「さぁ飛ばしていくぞ!」と「その向こうへ」「ヒトリセカイ」を情感たっぷりに歌い上げ、大盛況の初日を締めくくった。
撮影=センイチ
撮影=センイチ
取材・文:奥“ボウイ”昌史
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ーーSaucy Dog、マカロニえんぴつ、Awichらがバトンを繋いだ2日目・全組レポート(写真83点)
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