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クソ野郎さんのレビュー
一体どんなライブになるんだろう?
どんな曲をやるのか?
前情報がほとんどないまま、
あるいは知らない方がいい…
とにかく楽しみにしておこう!
そんな気分でライブ当日を臨んだファンが多かったのではないか?
キャパ50人のライブハウス。入口手前のちょっとした楽屋代わりの小部屋から黒いスーツ姿の高身長かつ細身の男2人がツカツカと歩いて来る。
始まった。
一彦さん「ハロー、久留米!」
ウエノさん「タッソガレバディーでーす!久留米を攻めに広島からやって参りましたー!」
この時点で会場は大興奮だ。
この時点で一彦さんの強目のストロークがガシガシと容赦なく襲い掛かる!
オープニングはタソガレバディー登場ツアーのために新たに書き下ろされたと思われる新曲だ。
歌の内容は「とにかくやってられねえぜ」みたいなメッセージのオンパレードだがロックシーンで一定のキャリアのあるこのふたりそのまんまを表現したような世界観で笑いが込み上げる。
楽曲終盤の
「バディー!」「ハニー!」「シスター!」「ブラザー!」のオーディエンスとの掛け合いが最高だ。
ウエノさんと一彦さんのかけ漫才のような絶妙なトークが面白すぎる。地元の話題からロック界隈の身内の話、いつまでもかっこいいロックミュージシャンとのギャップを感じさせるよくある中年のおっさんの日常トーク。さらにこの週末は福岡でサザンオールスターズの2daysがあり、
「ワシらにかぶせてきたのう」の言い草には爆笑せざるを得ない。
ライブは2部構成になっており、第一部はほぼ一彦さんソロとthe grooversのベストオブベスト的な楽曲が中心だ。中盤、「私、歌わせていただきます」とウエノさんのボーカルで「ウィスキーの小瓶」が披露される。低音ボイスでどこかウエノさんらしいやんちゃで少年ぽい声が耳に心地よい。今後はもっとウエノさんのボーカルがあっていい、いやいや、是非聴いてみたい。でも、ウエノさんのことだから渋い選曲行くんだろうなあー。
今回の衣装が黒のスーツでウエノさんが「ミッシェルガンエレファントみたいじゃろ?」とMCした時に、
改めてTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのウエノコウジさんなんだなーとリアルに引き戻された瞬間だった。
そう目の前にいるのは、
あの藤井一彦とウエノコウジだ。
最強のタッグではないか…
最後はthe grooversの奇跡のバラッドで締め括られた。
そして、第二部…。
第二部はカバー曲総集編だ!とりわけ広島にこだわった曲を中心に選ばれているのがわかる。広島ほどロックスターが生み出され続けるエリアもそうそうない。この2人が同郷で同い年であった「この奇跡」にとにかく感謝したい。嬉しい限りだ。
「サザンよりワシらの方がカッコええけどのお!」で最大の拍手喝采をとり間髪入れず、「こんばんわ!ボブディランです!」で始まった「Simple Twist of Fate」は圧巻だ。一彦さんのセンスとディラン愛が光る最高のカバー。ボブディラン独特のボーカルとメロディーを踏襲しつつ完全に藤井一彦バージョンになっていてとにかくカッコよくて耳に心地よい。
広島弁はワシらはプロと豪語する2人の「唇をかみしめて」はこのトリオの見せ場の一曲だ。1番は一彦さん、2番はウエノさんが歌う構成がニクい。カッコ良すぎるし、この曲の持つ広島のにおいが伝わってくる…。
そして会場ごとで日替わりのご当地ソングだ。
いろいろ言いたいことはあるが長くなるので結論から先に言うと、ここ久留米ドリンカーズで披露されたのは、
石橋凌ひきいるARBの「さらば相棒」だ。
一彦さんいわく「カラオケでよく歌う」とのことで完全にボーカルが板についており原曲を踏襲しつつも完全に藤井一彦バージョンになっていてなんの違和感もなく耳に心地よい。
特に私が胸を打たれたのは、サビだけウエノコウジさんが一緒に歌っていて、その時のウエノさんの表情がたまらなく心揺さぶって来る!
悔しそうな表情、
一生懸命な表情、
ひたむきな表情、
なんとも言えない表情でウエノさんが歌っている…。
感情移入している。
泣きそうになるわ!
下世話で各方面の方々からお叱りを受けるかもしれないがかつての旧友たちとのさまざまな別れが思い出されたのかもしれない…あのウエノさんの表情からは私はそんなことを思わされた。もしかしたらただ単に一彦さんの歌とギターがうますぎてつい楽曲に引き込まれただけかも知れない。あるいはキーが高くて声が出しづくて苦しかっただけかもしれない。
演奏後、拍手喝采の中、ウエノさん、
「いやー、ええ歌じゃねー」と一言。やっぱりウエノさん自身入り込んでしまう素晴らしい曲だったんだとわかる。
そしてロックンロールナンバーのオンパレードで狭いライブハウスが一体となり最高の盛り上がりを見せる。これも大変失礼な話だが一彦さんのソロやthe grooversの曲を他の何よりも愛してやまないファンが久留米みたいな地方に(遠征の人もいると思います)もたくさんいるんだということに驚いた。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの人気はもう言うまでもないが、一彦さんの存在がさらに遠くなっていくことをひしひしと感じられたライブでもあった。しかも今回のライブは半数以上が女性でありおっさんは数名しかいなかった。やはりこの2人はカッコよくて人気があるのだということをつくづく感じさせられた。
そして、アンコール。このツアーは一彦さんの研ぎ澄まされたセンスが随所に光った構成になっており見どころは上げ出したらキリがないほどふたりで好き勝手にやっているのがわかる。
しかし、このアンコールと先ほどの「さらば相棒」が私の中で甲乙つけ難いハイライトシーンとなっており最高の思い出になりそうだ。
そう、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの楽曲だ。
ウエノさん「単車乗ってどっか行こーぜー!」から始まった「GT400」、予期せぬ事態にその場で泣き崩れそうになったミッシェルファンはどれくらいいたことだろう。ライブならではのサプライズでありライブならではの最高の興奮の瞬間だ。
もう何も書く必要はないでしょう。
そして、尾崎紀世彦の「また会う日まで」、lead belly「グッドナイトアイリーン」で終焉を迎えた。
まあ、言いたいことはいろいろあるが最高に脂が乗っている(とは言いつつ常にバージョンアップがデフォ)の藤井一彦氏に、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの時とまったく変わらず鬼気迫る演奏でまるでアコギのストーロークのようにベースをバンバン叩くように弾くウエノコウジ氏…このふたりのセッションがこのキャパ50人の福岡県南部の田舎のライブハウスで見れることがどれだけ贅沢極まりないことか!というのが総括した感想です。とにかく2人が、
「いやー楽しいね!」
「久留米最高ー!」
とたびたび口にしていたのが特に良かった。
久留米THE DRINKERのオーナーには感謝しかありません。
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- 2025/06/11 (水) 00:59
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