タケカワユキヒデさんにインタビュー

--「ライブハウス」での公演について

僕達は、ちょうどライブハウスという呼び名が定着しはじめた頃に、活動を始めたんですよ。
渋谷屋根裏のこけら落としは僕らじゃなかったかなあ。
他にも、荻窪ロフト、高円寺ジロキチ、京都の拾得とか、タケカワユキヒデとミッキー吉野グループで出ました。
それで、デビューの渋谷公会堂に至るわけですよ。

ですから、ライブハウスと大きなところの区別というのは、僕らの中ではあまり無いですね。
ただ、小さいと、うるさい、ってくらいで(笑)
音がデカイんでねゴダイゴは。

-- 既にソールドアウト、ゴダイゴをライブハウスで見たい、というファンのために他所でも?

そうかもしれないね、そういうのもありだとは思う。
でもまあ、どこでやっても、ゴダイゴはゴダイゴで。
そういうバンドだから面白いんですよ。
100人の前でも、10万人の前でも、変わらない。

-- 野音について

僕らが、ヒット曲が出てたくさんお客さんが呼べるようになって、最初の東京のコンサートが野音でした。
79年の4月だったかな?
でも、その野音が、大嵐、大豪雨で。
もう、すごかった。
五千人だか六千人だかあつまって、改修前の野音の記録を作ったんですよ。
でも土砂降り(笑)
だからそれはそれは、印象に残ってますよね。

-- リハの時から?

リハの時からだけど、豪雨じゃなかった、だからビニールカッパを被ってうろうろしてた、そういう写真が残ってる、不安そうにして(笑)
それで、始まる寸前になったら豪雨ですよ。
こりゃできないよねー、とか言ってたんだけど、「お客さんが帰んない」って。
「え?ほんとにやるの?」で、気が付いたら一曲目で。
一曲目からずぶ濡れ。

-- 一曲目は

組曲だよ(笑)
いきなり15分、MC無しで雨の中聞かされるのよ、英語の歌を。
かわいそうに。

-- でも逆に盛り上がったでしょうね

いやもちろん、ものすごい勢いで。
見られた方も、どなたも忘れられないでしょうね

-- ステージの屋根は?

いや、暴風雨ですから。
あそこの屋根は、吹き込んだら、役に立たない。
ミッキーのキーボードが、ピアノとオルガンがあって、その上にシンセ、ボコーダーとか。
それがねー、一個ずつダメになるのよ、雨で。
一台ずつ音が出なくなって。
最後はオルガンだけだった。
オルガンが一番強い(笑)
トミーのドラムも、水がたまって、叩くたびにバシャって水しぶきが。
で、スティーブと浅野さんは、感電との戦いですよ。

僕自身もいろいろあったはずだけど、自分のことはあまり覚えてなくて。
もう、応援団でしたね。
僕が。
お客さんに対しての。
客に対して、がんばれと(笑)

-- 今回の野音、初めて見に行こうと思っている人に一言

初めての方でも十分楽しめますから、来てください(笑)

79年かな、野音やったあと、夏に、埼玉の森林公園のオープンで、フリーコンサートをやったんですよ。
2万人くらいの。
やっぱり、家族連れの人たち、たくさん来るわけですよ。
そうすると、銀河鉄道999以外は、まともに聞いてくれない。
「そうだよねー」ってそのとき初めて思って。
すごい反省したの俺。
コアなファンの人たちを喜ばすのは、やらなきゃいけないことの半分で、あとの半分は、誰が聞いてもおもしろい、満足するものを、ちゃんと追及していかなきゃならないんだな、って。

で、ゴダイゴはね、それを、海外公演でやることになるんですよ。
だって、外国行ったら、誰もこっちのこと知らないわけで。
しかも、たまたまというか、行ったところが両極端でね。
ロックがまったく存在しない、ネパールと中国、かたやロックのど真ん中のアメリカとオーストラリアで。

アメリカとオーストラリアは、土壌が最初からできているので、ちゃんとした演奏さえすれば、ちゃんと聞いてくれる、喜んでくれるってのがあるけど。
ネパールと中国は、ロックそのものが無いから。
なんというか、セオリー無しで、どうやって心を動かしていくか、ってことの、一発勝負だったのよね。

-- 想像つかないですね

これはもう、一生自慢にしてもいいくらい、僕らすごいことをやったと思う。
いまだに、見た人たちの間で語り草になってるくらい、すごいものをお見せできたと思う。

まあ、極端な例、の話になっちゃったけど、根本は同じで。
日本の人たちで、ゴダイゴを、名前は知ってる、ヒット曲も何曲か知ってる、でもそこまでで、という人たちがライブに来て、本当に最初から最後まで楽しめるのかなあ、ということを、僕は実は、ゴダイゴを一端インターミッションしてからも、ずーっとやってきたんですよ。
それが僕のライフワークだ、どうしてもやりたい、やらなきゃと思ってきたので。
だから、そういう要素というかノウハウというか、僕は、ゴダイゴの活動プラス、20年分持ってます。
ですから間違いなく楽しめます。
老若男女、どなたがいらっしゃっても、絶対に楽しめますんで。
どうぞよろしく。