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井上陽水さんは2年後の2019年、デビュー50年を迎えるという。つまりアンドレカンドレとしてデビューし今年は48年目なのだが2000人キャパのホールは文字通り満席だ。客の多くは50代以上だが女性客が多い。常に時代の洗礼を受ける仕事だから消耗も激しいはずだが、ステージ上の彼からはそんな感じがせず相変わらずの安定感だ。現在売れている歌手が40~50年後、同じレベルで活躍しているだろうか?と問えば彼の凄さが分かるだろう。ここ最近1曲目は80年代に発売した作品からのスタートが多いが今回も同様だった。セットリストが進むに従い70年代、80年代の曲が挟み込まれ、観客はその時代を思い起こしながら自己投影しているに違いない。私の左手の指はまだ当時コピーしていた曲のコード進行を憶えていた。 初日のセットリストとは6曲ほど違う点を考えると毎々のライブが少し違った緊張感で行われていることを伺わせる。陽水さんは2000年代中盤頃から意図的に歌唱方法を変えているが、それは成功したと言っていいだろう。昔はライブで殆どMCをしなかった彼だがここ10年近くは良くしゃべってくれ、また話の中身も面白い。アジアの純真にまつわる話を聞き、彼の奇才ぶりを改めて認識した次第だ。井上陽水さんのような声や音楽は他に存在しないが、同じ時代に生まれて本当に良かったと思っている。古希が近い陽水さんだが出来るだけ長く飄々とやってくれることを願う次第だ。1つだけ注文があるとすればPAだろう。バンドサウンドになるとボーカルが埋まり気味に聞こえる場合が多く、音数が減るとボーカルが聴きやすくなる。この調整は極めて困難なのだがバンドサウンドでボーカルを探しに行くのは観客としてストレスだ。ドラムサウンドの整理をしボーカルオリエンデッドにして欲しいと感じる。またオリジナルのアレンジに近い場合、聴きたい楽器が元の楽曲のバランス通りに出て来ないというストレスもある。この辺りはPAのエンジニアに曲の理解が足りない感じがするので対応をして欲しい部分だ。