ライブを終えたら、一度抜け殻になる。
それくらいこの日のために生きている

SHINが12月22日に“原点回帰~from the beginning~”を掲げ、東京・TSUTAYA O-EASTでワンマンライブを開催する。2016年のEX THEATER ROPPONGIで行われた“約束”から3年ぶりの大舞台だ。

8月に3枚目のアルバム『AZALEA』をリリースし、最近ではYouTubeのカバーチャンネルでロックだけでなくポップやオルタナティブなどの幅広いジャンルの曲も披露し始め、その活動は順調に見える。しかし、裏には“空白の2年間”があり、「心が折れた時期」もあったと明かす。

葛藤の日々を送りながら、なぜ今“原点回帰”を掲げたのか。そして“~from the beginning~”と続く理由は何なのか。この日のライブに込めた思いはさらに広がり、“SHINの表現が向かう先”という核となる部分も明らかとなった。


ソロのSHINの原点は、ViViD時代の「From the beginning」にあるんですよ

『原点回帰~from the beginning~』というライブが12月22日にO-EASTで開催されます。このタイトルはどんな気持ちから生まれたのでしょうか?

SHIN:これは“原点回帰”だけでなく“from the beginning”が入っていることに意味があるんです。SHINのソロは僕の中ではバンド時代の最後にリリースした「From the beginning」から始まっていて。こんなこと言ってたら角が立つかな(笑)。でも、僕の原点は「From the beginning」なんですよ。2015年のあの頃から、バンドが解散し、2年間のブランクがあり、ソロとして活動を始めてからの集大成を見せたいと思ったから“原点回帰”と“from the beginning”の両方がついたタイトルになったんです。

原点はソロとなって初めて配信された「jack the ripper」でもなければ、「dirty hurry」でもない、と。

SHIN:そうです。1st ALBUMの『Good Morning Dreamer』でもないです。その理由を話すには、ViViD時代のことを少し遡る必要がありますね。あの頃は(日本)武道館でのライブにも短期間で到達して勢いがある時代で。でも、「自分の足で武道館に立てた」という感覚がないままにバンドが解散になってしまって。それでも僕は歌を続けていきたいという思いがあったんです。

バンドは解散を迎えても、SHINさんの歌への思いは消えなかったんですね。

SHIN:僕には歌しかないですからね。でもバンドが終わる時にまたステージに立てるなんていう保証は何もなかったんですよ。自分がまたファンのみんなの前に帰ってくる証を残すには、曲を残すしか手段がないって思ったんです。でも、バンド時代には歌詞は書いていましたけど曲はメンバーが作ってたから「歌いたいと願っても歌えない」状態だったんですよ。その時に今の自分のままではソロはできないとわかりました。

ソロとしてまた帰ってくるという目的が、「From the beginning」にはあったんですね。

SHIN:だからViViDの最後に、シングルを作詞だけでなく作曲までしたいと思ったんです。でも選曲会もあるから中途半端な曲だとシングルにはならないんですよ。当時はメンバーが作る曲が敵くらいの勢いでしたね(笑)。

ここまで話してくれるんですね。

SHIN:飾る必要はないと思っていますしね。そのまんま言います(笑)。「From the beginning」は僕にとっては「ソロとして帰ってくる」という約束の曲だったんです。だから僕のソロの原点は「From the beginning」だとはっきり言えます。

O-EASTの日は、最新の僕が「From the beginning」から始まった今日までの集大成になります

SHINさんにとっての原点のはViViD時代の「From the beginning」ということがわかりましたが、ソロ活動を本格始動されるまでの2年間で培ったものも大きそうですね。

SHIN:そうですね。その空白の2年間は、自分がどういう姿でステージに立ちたいか、どういう曲を演りたいかを模索していた時期です。朝起きて時代劇を見て、曲を作って、ジムで筋トレする毎日でした(笑)。身体を絞っていたのでご飯もあまり食べてなくて。

自分を追い込んでいたんですね。

SHIN:その頃はプロテインバーを食べていたなぁ。ジムの帰りに我慢しきれなくて食べようとしたらポキっと折れて地面に落ちて、それを拾って食べようか迷ったり。当時は僕の中でプロテインバーが唯一の娯楽だったんですよね(笑)。そんな生活をしていた2年間でした。

ブランクの時期を納めた写真展『空白』(2019年12月21日~23日@デザインフェスタギャラリー原宿)も開催されますね。

SHIN:バンドからソロになるまでの空白の2年間なんて、この時期しかないものだからと思って撮っておいたんです。だいぶおもしろいですよ。この『空白』にある写真は、これまでのアーティスト写真のどれをも超えています。昔から僕を知ってくれている人にも、最近知ってくれた人の目にもどう映るか楽しみですね。

ブランクの2年間は辛い時期でもあったはずですので、「残したくない」という感情はなかったのでしょうか?

SHIN:確かにそういう考え方もできますね。でも、あの空白の2年間のまま二度とステージに立てない可能性も考えたんです。だから「このまま死んでしまったら遺影にしよう」という気持ちで撮影していました。

普通は2年間も空けてしまったら「忘れられてしまうのではないか」と怖いですよね。

SHIN:僕、先のことはあまり考えない人間なんです。だから2年間もブランクを空けられるんですけど(笑)。それに、こういったら自信過剰に聞こえるかもしれないですけど、ViViDの財産に頼りたくなかったんです。確かにその財産を引き継いで見に来てくれたのがEX THEATER ROPPONGIでの“約束”ライブではありました。でも、そこに来てくれた人にも「3年でSHINはこんなに変わったんだ」ということを見せたいですね。実際にViViD時代のマネージャーが今のライブを見に来てくれて「今が一番かっこいいよ」と言ってくれたんです。

あの日の“約束”というタイトルのライブがあったのが2016年12月24日でした。

SHIN:あれから3年も経っているんですね。なので、最新の僕が「From the beginning」から今日までの歴史の集大成を見せるのが「原点回帰~from the beginning~」の日なんです。

O-EASTなので、EX THEATER ROPPONGI以来の1000人キャパのライブ会場になるんですね。

SHIN:そんな大きな場所で僕の全部を見せるから、ViViD時代の僕を好きでいてくれた人も楽しんでもらえる自信があります。むしろその頃よりも絶対に良いライブになる予感しかしないです。僕が今ソロでステージに立っている意味も伝わると思いますし、自分自身もこれ以上ないくらいベストな状態でいます。

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