「僕らのポプコンエイジ・オンライン2021〜Forever Friends, Forever Cocky Pop〜」

2021年6月19日にオンラインで出演された「僕らのポプコンエイジ・オンライン2021〜Forever Friends, Forever Cocky Pop〜」では、辛島さんはとてもタフで力強い人なんだというのが感じられました。

それはよく言われますね。やはりこれまでは『サイレント・イヴ』のイメージが強くて、バラードをしっとり歌う人というイメージがあるみたいで、コンサートに来てくださる方で「意外だった」と言ってくださる方も多くいらっしゃいます。

特に中島みゆきさんの『ファイト!』のカバーが印象的でした。演技力というか、魂がこもっていたというか。

普段私はあまり音楽を聴かないのですが、曲をカバーする時にはしっかりと聴き込んでいます。こんなすごい曲を書くのはどういう心境だったんだろうというところから入って、自分の中での歌のイメージをひとつひとつ作って咀嚼して考え抜いて、「私が思うのはこうだ」と自信を持って表現したいと思っています。せっかく歌うのなら「この曲の魂がすごいな」と思ってもらえないと私が歌う意味がないとも思っています。

辛島さんは、普段あまり音楽を聴かないのですね??

そうなんです(笑)。音楽で他の音が聞こえなくなるのが嫌で、何かをしながら音楽を聴くことができないんですよね。BGMで音楽を聴いているとつい音を追ってしまうので。音と対峙してしまって、何気なく聴けないんですよ。

あと、音に気持ちが入ってしまうので、そうではない時間を大事にしたいというか。雨の音を聞いたりとか、音符じゃない時間をいっぱい持っておきたいというか。なので、移動しながら音楽を聴くことは滅多にありません。

もちろん音楽の力というか魔力はすごく感じていますし、音楽に触発されることもありますが、音楽を聴いていると、刺激が強すぎるのか全ての神経がそっちにいってしまうんですよね。音楽を仕事にする前には、曲を聴き込んで「カセットのテープのこの伸び加減がいいんだ!」とテープが伸びるほどにたくさん流していましたが、音楽を仕事にしてからはその時に出会った音楽の一瞬の衝撃を大切にしたいという考えが強くなりましたね。

『夕涼みコンサート2021〜夏だ!浴衣(気分)でGO!!』

『夕涼みコンサート2021〜夏だ!浴衣(気分)でGO!!』はファンクラブ会員からリクエスト曲を募っていましたが、歌う曲はどのような基準で選曲しているのでしょうか。

聴いてみていい曲だなと思ったら歌います。あとは自分が歌えるキーなのかを判断します。もちろんキーは変えていますが、実は私、みなさんが思うほどキーの幅が広くないんですよ。なので、中には歌えない曲も結構多くあり、苦労してます(汗)。

ファンの皆さんがおすすめしてくださる曲の中には知らない曲もいっぱいあるので、毎回皆さんにたくさんの音楽を教わっています。いつも「みんないい曲聞いているんだな」「こんなにいい曲があったんだ。そこに私の曲も入れてくれているなんて本当にありがたい」「いい曲教えてくれてありがとう」と思いながら聴いています(笑)。

今回の夕涼みコンサートの見所を教えてください。

今回も「辛島さんこれ歌うんですか」と驚いてもらえるような曲を歌いたいですね。これまでだと、米津玄師さんの『アイネクライネ』や、去年はTHE HIGH-LOWSさんの『日曜日よりの使者』も歌いました。一昨年にはONE OK ROCKさんの曲も歌いましたし、西野カナさんの曲も。皆さんが「これいいですよ」というものにトライして、ときには昔の歌謡曲とか洋楽を歌ってみたり、ジャンルを問わずに挑戦しているのが夕涼みコンサートならでは楽しさですね。

調べてみると、2012年に横浜の赤レンガ倉庫で始まって、その後5年間鎌倉プリンスホテルで開催しています。今年はちょうど10年目の節目。2011年の東日本大震災でみんなが気を落としていたときに、ぜひやりませんかというお話をいただいて始まりました。

初回の夕涼みコンサートの時から『手をつなごう〜ひとりぼっちじゃない〜』という曲をみんなで手を繋ぎながら歌っていました。この曲には、震災があっても「みんなで手を繋いで坂を登って行こう」そして、みんなで手を繋いだ記憶があれば、いざというときに見知らぬ人にも「逃げよう」と声をかけやすいのではないか、迷いなく手を繋げるのではないか、という想いがありました。それを伝えると、会場ではファンクラブの人が率先して手を繋いでくれるようになって、それがだんだん広がって、例えば、「息子とずっと手を繋いでいなかったけれど久しぶりに繋いで、こんなに大きくなったと思うと嬉しかった」とか、「カミさんと久しぶりに手を繋げました」とか、いろいろなエピソードが生まれてきました。

今年はキープディスタンスを配慮した席で手も繋げないし、一緒にも歌えないけれど、会場に来て一緒に同じ空間を楽しむことがまず最初のステップになって、次は一緒に歌ったり笑ったり…。そうやって1つ1つできることが増えていって、少しずつ光に近づいていけたらいいですよね。

鎌倉の会場からは七里ヶ浜の海が見えたり、江ノ電のパンタグラフが流れていったり、海鳥がとまっていたりと、景色と音楽が一体になれる特別な空間です。私とバンドメンバーは浴衣姿で皆さんのお越しをお待ちしています。会場でお会いできるのを楽しみにしています。


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