2014年4月に日比谷野外音楽堂で行われた『NAONの YAON 2014』に出演し、2014年5月7日にNAON RECORDSより満を持して1st ミニアルバム『歌唄いの詩』をリリース。そして5月24日に渋谷eggmanにて初のワンマンライブを予定しているシンガーソングライター稚菜。彼女がシンガーを目指したきっかけや、カンボジアにいつか音楽学校を作るという自身の夢などについて話を聞いた。
――まずは、稚菜さんが、歌い始めたきっかけを聞かせてください。
稚菜:高校3年生の時、その頃、獣医になりたいという夢もあったので、理系に進むか、その一方で子供の頃から歌うことは好きで、歌に支えられてきたこともあったので、そちらに進むかで迷ったんですけど、自分がほんとうにやりたいのは歌だと決意して、そこからボイス・トレーニングを始めたりして、高校卒業後は音楽の専門学校に入学しました。
――ピアノはいつ頃から始めたのですか?
稚菜:子供の頃に少しやっていたんですけど、高校3年生の時に、音楽の道に進むと決めたときから、また習い始めました。
――曲作りを始めたのは、いつ頃からですか?
稚菜:その頃は曲作りの方法もわからなくて、カバー曲を弾き語りで練習していました。それで専門学校に入ってから、あるオーディションを受けたんですけど、セミ・ファイナルに進んだ時に、オリジナル曲を書いてみたらって勧められて、そこで初めて自分で曲を作り始めました。
――稚菜さんの夢が、カンボジアに音楽学校を作りたい、ということだそうですが。
稚菜:昔、カンボジアの戦争の話をテレビで観て、それをすごく鮮明に覚えていたんです。カンボジアの子供たちが、戦争があって、毎日生きるのに必死なのにもかかわらず、サッカー選手になりたいとか、学校の先生になりたいとか、夢を持って笑っている映像を見て、その子たちのパワーは本当にすごいなと感じました。それで音楽の道に進もうと決めた時に、あの子たちと一緒に歌いたいって思ったんです。自分の歌で、子供たちに笑顔を届けられたらいいなって。だから、まず自分の目で、実際に現地を観に行こうと決めて、昨年の10月にボランティアでカンボジアに行きました。
――実際に行ってみた感想は、いかがでしたか?
稚菜:思っていたように、子供たちは毎日笑っていました。みんなすごく人なつっこいんです。学校に行けない子供たちもたくさんいるんですけど、勉強したいという気持ちを持っている子も多いし、彼らに“今、幸せですか?”って聞いたら、みんなすぐに“幸せです”って答えたんです。それを聞いて、すごいなって思いました。日本よりもはるかに貧しいし、まだ地雷も残っていたりするし、実際に地雷を踏んでしまった子供たちや、親を亡くした子供たちもいるんですけど、それでも彼らは幸せだって言うんですね。それを聞いて、涙が止まらなくなりました。子供たちが、将来の夢について描いた絵も見せてもらったんですけど、その中に1枚、みんなの前で歌っている絵があったんですね。それだったら、私に何ができるかわからないですけど、学校を作って、彼らが学べる機会を増やすことによって、子供たちが好きなことをもっとできるようになるんじゃないかと思って、それが私の夢になりました。
――そういう体験が、歌作りに影響はありましたか?
稚菜:そうですね。カンボジアから帰ってきてすぐに、その時感じたことを歌にしましたし、自分が観てきたことを、みなさんにも伝えていけたらいいなという思いはあります。