友達に対して歌う曲を作れるなんて思っていなかった

こうやって伺っていくとやはり、時間の経過とその間にトライしたこと、進化がしっかり収められていますが、そもそも今回ベスト盤を出そうということになったのは、どういうキッカケだったんですか?

ちょうど5年目になるからいいタイミングだろうというのと、「We Are Never Ever Getting Back Together(Japanese Ver.)」のときと、今の「Sweet Memory」とかのMACOがちょっと別人格というか、聴く人からすると人物像が合わないような感覚があって。だから「今のこの曲を歌っているのは、あの「We Are Never Ever Getting Back Together(Japanese Ver.)」の人です」みたいな、もう一回自己紹介というか。

選曲はどうやって進めていったんですか。

みんながライブで一緒に歌ってくれるようなMACOの代表的な曲と、インディーズのころの「この世界中で」とかはYouTubeですごく再生されていて、ライブでもタイトルを言うとみんなが沸いてくれる、隠れた名曲で。そういう、愛されているかどうかも考えて選びました。

MACOさん個人の思い入れっていう意味では、特にこれ!っていう曲はあります?

思い入れのある曲、3曲ぐらいあるんですよね。

じゃあ、全部聞いちゃいます。

(笑)。まず3曲目の「Dear My Friend」は、超最近に作った曲ですけど、自分が、友達に対して歌う曲を作れるなんて思っていなかったんですよ。だから、そういう人に出会えたのがすごく嬉しかったのと、その子がいたから普段は言えない「ありがとう」をスラスラ歌詞に書けた。だから、この曲を書けてすごい嬉しいです。

鷲尾伶菜さんとコラボした曲ですが、もともと仲がいいんですよね?

そうですね。m-floさんのツアーに一緒に参加してから仲良くさせてもらっていて。最初は、お互い人見知りなんでメイク部屋とかでもあんまりしゃべらなくて、他人行儀な感じだったんですよ(笑)。でもLINEは交換したのかな、そこから少しずつ仲良くなりました。

今回は歌詞も一緒に書いてますよね。

わたしがこういう歌詞を書いたよっていうのを見せたら、すぐに書いてくれたんですよ。「早っ」と思って(笑)。作詞をするのは今回が初めてだったみたいなんですけど、なのにこんな風に書けるんだ!って。 鷲尾ちゃんとMACOが仲がいいっていうのはファンの人も知ってくれていて、コラボするのを聴いてみたいっていう声もすごくあったので、それが叶ったし、何よりも鷲尾ちゃんは本当に歌が上手いから、一緒にやれてすっごい良かったと思いますね。

では、思い入れ・その2は。

「ありがとう」は、この世を去った人に送った、22歳当時のすごく純粋なMACOが書いた曲で。歌詞を読むと未だにその時のことを思い出すし、これもシングルじゃなくてYouTubeに歌っている動画をあげているんですけど、すごくみんなにも愛されていて、自分自身もすごく大切にしています。
ショートドラマみたいな作品も作っていただいて、自分とは全然シチュエーションが違う話なんですけど、そのドラマで「ありがとう」がより広まって、いろいろな辛い想いをした人やそうでない人にもグッと刺さる曲になったなと思います。

3つめ。

『love letter』っていう自分でもすごく好きなアルバムの「手紙」は、自分で作詞と作曲をして、やってみたかったサウンドで作った、特に好きな1曲なんですよ。すごく尊敬しているアレンジャーの島田(昌典)さんにアレンジを頼んで、島田さんのスタジオで、初めていつもと違うスタジオで歌って。こう並べて聴くと「手紙」だけ音の広がり方とか違うんですよ。

名だたるJ-POPの名曲を手がけている方ですからね。

はい。だからずっとやっていただきたかったのが、この曲で実現して。未だにライブで歌うときにも感極まったりとか、泣いちゃうぐらい好きな、自分にとって宝物みたいな曲です。

他にも思い入れのある曲ばかりだと思いますが、新しく収録した曲について聞かせてください。まず新曲の「君のシアワセ」。

ドラマの話(テレビ東京系ドラマ『東京センチメンタルSP~御茶ノ水の恋~』主題歌)をいただいて、完全書き下ろしな曲です。タイトルだけ見たらみんな「どんなハッピーな曲なの?」っていう反応もあったんですけど、叶わなかった恋の相手の幸せを願う切なくも優しい、男性目線でも聴いていただける曲になりました。まだ配信もリリースもしていない曲なので、ベスト盤で初めて聴けるという。

カバー曲としてGLAYの「HOWEVER」が入っていますが、これは意外な選曲でした。

意外ですよね。去年、産まれてから今までのことを本にしたんですけど、そのフォトブックを出すために結構函館に戻っている時期があって。自分の育った場所や通っていた場所に行って、何もないけど、改めていい場所だなと思ったんです。GLAYさんも同じ函館で、家族全員が好きでお正月の歌番組をビデオに録ったりして、「HOWEVER」も歌詞を見なくて歌えるくらい、小さいころから聴いていて。
今のMACOが「HOWEVER」を歌ったらどうなるんだろう?って、まず家で一人で歌ってみたら「最高じゃん!」と思って(笑)、これはもうカバーさせていただきたい、と。手紙を書いたら快くOKしていただいて。

もともと、この曲は男性目線の曲としてしか聴いてこなかったので、女性目線でもちゃんと成立する歌詞なんだなという驚きもあって新鮮でした。

ありがとうございます! GLAYさんの曲ですけど、MACOの曲としても歌えるように、すごく練習しました。すごく共感できる歌詞もいっぱいあって、歌っていても胸が熱くなるというか、長年愛される曲だけあるなと思いました。

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