オープニングはこの会場らしく、歩いて登場したバンドメンバーと彼女が控えめな声援を受けながらさりげなく演奏を開始。綺麗に年を重ねた容姿と、当時の特徴を失わぬ艶っぽい歌声にまず驚愕させられ、華のあるプレイに煽られて徐々に高まる場内の盛り上がりに、自身の高揚がシンクロしていくことが本当に本当に気持ち良かった。 畳み掛けるように演奏されるヒット・ソングを聴いていると、恥ずかしくも甘酸っぱい記憶が次々と思い出されました。あの頃の私たちは間違いなく恥知らずの大学生で、いささかの不安も持ち合わせない幸せな毎日を、当たり前のように過ごしていたんだった。まさしく "Heaven Is A Place On Earth" を体現していたんだなあ。 今夜のセットリストに並ぶ数多い名曲の中でも、やはり"The Go-Go's"のナンバーは、気付けばその歌詞を口ずさんでいたりして今でもお気に入りのまま。予定では"Since You've Gone"だった最後の曲が "We Got The Beat" へ変更されたサプライズは最高のプレゼントでした。

どうせならと DXシートカウンター(DL) を奮発してライブに臨みました。果たして、彼女のヒット曲ばかりが披露された内容に「本当に観に来て良かった」と心から思えて、興奮の余韻を楽しみながらの帰路は地下鉄の揺れすら心地良かった。 数多の女性ヴォーカリストと比較すると、彼女の歌声は女性らしく透き通るようなものではなく少し鼻にかかったように聴こえるのですが、その個性的な響きが私はずっと大好き。ポストパンクに分類される Go-GO's の楽曲からポップ色の強いソロ転向後の楽曲まで、幅広いジャンルを彼女色に彩ってしまうその歌声は長い時を経た今でも魅力が褪せず、ライブへの期待は図らずも膨らみます。 バンドメンバーに続いてベリンダが舞台上に現れた開演時間。驚くべきことにその歌声の質は今夜のステージにおいても当時と変わらず、声量豊かなヴォーカルは「伸び」「キレ」共に申し分なかったのです。当時の空気感をリパッケージしたかのような雰囲気が私の青かった感覚を次々と呼び覚ましてくれて、つい一緒にシンガロングしてしまった曲も多数。 今夜この会場に集まった観客もおそらく私と同じような気持ちになっていたのではないでしょうか。私と同世代と思しき面々は、手の届きそうなステージ上で軽やかにステップを踏みながら歌う当時と変わらぬ魅力に満ちた彼女からまったく目が離せないのですから。手拍子やタンバリンで取ったリズムに合わせて頭を左右に振り、髪をなびかせながら歌う姿は本当にキュートで、歌姫としての資質を存分に知らしめてくれました。 前回、彼女のライブを観たのは2013年秋。あれから4年半の月日が流れましたが、質の高い音楽を再び私たちに届けてくれ、気紛れな休日を有意義なものにしてくれたベリンダに感謝しつつ、六本木の街を後にしました。