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SUPER BEAVER、KEMURI、ZIGGY、氣志團、SOILらが魅せた『THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2019』DAY1【大隅ステージ】レポート

2019/10/07
SOIL&“PIMP”SESSIONS

THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2019
2019年10月5日(土)鹿児島市・桜島多目的広場&溶岩グラウンド【大隅ステージ】

■Art Building

Art Building

Art Building

2年目を迎えた“ヘス”のトップバッターを務めたのは「WALK IN FES! 推薦 鹿児島アーティスト」であるArt Building。快晴に恵まれ、右手に桜島を臨むというシチュエーションも豪華だが、そこから臨む朝の大隈ステージに登場できるのは地元在住バンドにとっては、さらに願ってもなかなか叶わないシチュエーションだろう。

前田晃希(Gt/Vo)、竹ノ内仁志(Dr)、北山大志(Ba)にサポートギタリストとキーボーディストを加えた5人編成の彼ら。大自然に抱かれたこの場所にふさわしいスローで大きなグルーヴの曲でステージをスタート。後で知ったが、タイトルは「六月」というそうだ。インストバンドやポストロックバンドの音楽性やアレンジセンスに近いものを持ちつつ、前田の歌もまっすぐ入ってくる。20分という持ち時間で精一杯、バンドの音楽的なレンジに触れてもらおうという意図なのか、アッパーも洒脱なフレージングが入るナンバーも盛り込んできた。

やはりその思いが強いのか、前田がラスト1曲を前に「朝早くから集まってくれてすごく嬉しいです。あと1曲で終わりなので、今日、僕が伝えたいことはこの曲に込めて帰ろうと思います」と一言。全ての楽器が“歌う”ようなう有機的なアンサンブル、そして<東京の羊は朝をずっと探しています>という歌詞が苦しいような、前向きなようなアンビバレントな感情を呼び起こした歌が、フェスの享楽的なムードの中、かなり強めな青春の苦味を残す。タイトルは歌い出し通り「東京の羊」だった。当たり前だけど、全国様々な場所で自らの音楽を紡いでいるバンドが確かにいることを思い知った。また観てみたい。

取材・文=石角友香

Art Building

Art Building

■キュウソネコカミ

「初めまして! キュウソネコカミはリハから本気出していくんですけど、いけますかー!?」と叫ぶヨコタ シンノスケ(Key,Vo)の一声から「ギリ昭和」、そして「本番まで後1分あるから」と「メンヘラちゃん」の一番だけリハ。つまりだ。30分の持ち時間+リハを目一杯使って、この日は7曲+1曲の1番を披露してくれたというわけ。さすがフェスの常連。しかも初登場のフェスでどれだけ初見のオーディエンスを魅了するか。キュウソの爪痕の残し方は何か。1曲でも多くやること。少なくとも今の彼らはそうだった。

フェスのセットリストが出来上がってるのは当然として、演奏が練られまくっている。9月に別のフェスで、そして8月にはライブハウスで対バンイベントで観たが、演奏自体はどんどんソリッドに、MCも必要最低限で、1曲1曲が何を言いたい曲なのかが恐ろしく明確。

カワクボ タクロウ(Ba)なんて笑顔でベースを弾きまくるのだが、もう一切手元なんか見なくても弾けるんじゃないかという、日常生活をブーストした感じだ。ヤマサキ セイヤ(Vo,Gt)やヨコタの死に物狂いなテンションと好対照を見せている。5人5様のマイペース、それがむしろ初見の人をも巻き込める所以なんではないかとも思う。

ちなみにこの日、セイヤの客席降りの際に発した「出たての溶岩かー? お前らー! ユルユルやー!」という悲鳴&叱咤からの、集まって支えるオーディエンスの努力からの、セイヤの仁王立ちは、桜島を背景にしたその絵と相まって泣き笑いを誘った(自身比べ)。最近、ラストに置くことが多い「The Band」はフェスに出演するバンドに対するリスペクトでもあり、そのバンドを支える全ての人へのリスペクトにも感じる。ちなみ今日、夜には忘れらんねえよの『ツレ伝』へ出演する一行は一路、東京へ。まさにザ・バンドである。

取材・文=石角友香

 

■SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

ヘス初登場のSUPER BEAVERは、まずステージに現れた4人がこぶしを突き合わせ、バンドの意志をひとつにしてから、「27」でライブをスタートした。一語一句はっきりと歌詞を伝えるだけに留まらず、これでもかと、その楽曲に込めた想いについて言葉を重ねる、渋谷龍太(Vo,Gt)独特のボーカルスタイル。そんなボーカリストと同じぐらい(いや、それ以上に)必死の形相で歌う柳沢亮太(Gt)のコーラスが、その歌に力強く寄り添う。

「1分1秒が勝負、“あなたたち”じゃなくて、“あなた”の前で一生懸命歌いにきました!」。そう宣言するビーバーのライブに“こなす”とか“やっつけ”なんて気持ちは1ミリもない。“あっという間に終わってしまうよ”と人生の短さとかけがえのない今を歌う「閃光」、タイトでキレ味鋭い演奏のなかでバンドの戦い方を突きつける「正攻法」から、心踊るサウンドにのせて“心が夢中になる方へ”と導いていく「予感」へ。そこにいる全員を巻き込むべく、「声を聞かせて!」「もっと!」と全力で煽り続け、大隅ステージが特大のシンガロングで包まれたとき、渋谷はこの日いちばんの笑顔を見せた。

「来年もこのイベントに呼んでもらえるか否かは最後の1曲にかかってる。本日のハイライトを一緒に作りませんか?」と問いかけたラストソングは「青い春」。自分たちが音楽を続ける意味は“あなた”であると、何の衒いもなく歌えることが、SUPER BEAVERというバンドの強さだ。

取材・文=秦 理絵

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

■LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS

LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS

LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS

今日のLOW IQ 01は、3ピースのLOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSとして登場。「こっちのほうもOK? 04(Limited Sazabys)のほうもOK? こっちは01だけどOK?」とこのあとライブを控えているフォーリミファンにもアピールをする余裕を見せつつ、「あ! ば! れ! ろ!」と目の前にいるパンクスを焚きつける。意外にもLOW IQ 01初の鹿児島ライブは、初期の名曲「Little Giant」で幕が切って落とされた。それでも、パンクシーンきっての伊達男は気負った様子なぞ見せず、ライブハウスと変わらぬ空気感でステージを進めていく。ブリブリのベース、DAZEのタイトなドラム、卓越した技術を誇るフルカワユタカのギターによるパンクサウンドだが、メロディはキャッチーでかなり親しみやすい。こういうライブを、ももクロファンのような一見畑違いの人たちに少しでも観てもらえるのが、サツマニアンのようにジャンルレスなフェスのいいところ。ここまでジャンルや世代の壁が取り払われているフェスも珍しい。それを知ってか知らずか、来年50歳を迎えるイチは、「そんなこと(年齢のこと)言ってらんねえよ! ここからも飛ばしていくからついてきてちょうだい!」とフィールドに集まったパンクスに呼びかける。

初の鹿児島ライブということを意識したのか、セットリストは新旧の代表曲をまんべんなく散りばめたものになった。そのどれもが変わらぬ輝きを放っているのもすごいのだが、今日はグッとテンポを落としてプレイした「SO EASY」が特によかった。そうすることでメロディ本来のよさがいっそう際立つのだ。BPM的には暴れたくなるほど盛り上がるというものではないんだけど、その分、胸でしっかり噛み締めたくなる名演だった。そして、最後は名曲「MAKIN' MAGIC」。皆がひとつになる“ナーナーナーナナナー!”の大合唱で灼熱の大隅を降りた。

取材・文=阿刀 “DA” 大志

LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS

LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS

■KEMURI

KEMURI

KEMURI

薩摩/大隅エリアは先ほどからパンクタイムに突入している。04 Limited Sazabysからバトンを受け取るのはKEMURI。SEのNOFX「All Outta Angst」とともにステージに現れた7人がまず放ったのは「Standing in the Rain」だ。

伊藤ふみお(Vo)は「はじめましての人も多いかもしれないですけど、KEMURIです!」と自己紹介していたけど、この人の集まり方はどう見ても“はじめまして”ではない。いや、もしかしたら初めての人もいるのかもしれない。なんせ人がどんどん彼らのステージに吸い寄せられていくのだから。それぐらい7人の演奏はタイトで素晴らしい。息の合ったホーン隊に、正確無比な田中幸彦(Gt)のスカカッティングはただただカッコいいし、気持ちがいい。スカパンクの魅力が彼らのパフォーマンスに凝縮されている。スカダンスの踊り方なんて知らなくてもいい。体が動くに任せて揺れていればいい。そういう自由さがこのフェスにはある。現に、「I Am Proud」の演奏前に、津田紀昭(Ba)や伊藤が指を回して、サークルモッシュを煽ったが、そのサインをきっちり受け取れた人は少なかった。でも、その代わりに手を掲げ、手拍子をして、体を動かす。彼らが奏でる音楽に対する喜びは、十分に表現されているのである。そんないい景色を見ることができたのがうれしい。

もちろん、ラストの「Positive Mental Attitude」「Ato-Ichinen」というKEMURIの2大名曲の流れは大いに盛り上がった。でもそれって、この曲だからとか、KEMURIだからっていう理屈よりも前に、単純にこの音がみんなの心を燃やしたからなんじゃないか。手垢が付きまくっていて、もはやあまり口にしたくもないんだけど、久しぶりに思った。音楽っていいよね。KEMURIが大隅を去った直後、隣の薩摩ではHEY-SMITHのホーン隊がいつも以上に高らかな音を鳴らし始めていた。

取材・文=阿刀 “DA” 大志

KEMURI

KEMURI

■ZIGGY

ZIGGY

ZIGGY

今回、個人的に観るのを楽しみにしていたアーティストのひとつがZIGGYだ。今年のヘスでもちらほらそれらしき人を見掛けるが、今、40代の元10代にとって(ややこしい)、ZIGGYと言えばテレビのなかの人。それがこうやって生で、しかもフェスで観ることができるなんて、ちょっとした感動である。しかも、1曲目から「I'M GETTIN' BLUE」。森重樹一のビブラートの効いたボーカルに、もう何十年も前から聴いているメロディーに、膝から崩れ落ちそうな感覚になる。

しかし、ZIGGYは決して過去に生きているわけではなく、森重を中心に今も勢力的な活動を続けている。「I'M GETTIN' BLUE」に続く「TEENAGE LUST」は、昨年リリースしたシングル曲。メロディーこそ親しみやすいが、演奏はツインペダルを踏みまくるドラムを中心にかなりアグレッシブ。このあとに披露した曲も含め、新しめの曲のほうが演奏のテンションが高いのが面白い。

これまた懐かしのバラード「6月はRAINY BLUES」でフィールド一体となって手を振ったあとは、昨年リリースの最新アルバムから「WONDERFUL FEELING」。そして、ライブを終えるような雰囲気を見せてからの「GLORIA」! いや~、もう胸いっぱい。懐かしの名曲を聴くことができたのはうれしい。だけどそれ以上に、ずっと音楽を好きでよかったと心底思った。そうじゃなきゃ、長い時を経てこんな気持ちになることはできなかったのだから。今年のサツマニアン出演者の最年長は、若いミュージシャンのケツを蹴り上げ、多くの40オーバーの胸を熱くするパフォーマンスを見せてくれたのだった。

取材・文=阿刀 “DA” 大志

ZIGGY

ZIGGY

■氣志團

氣志團

氣志團

少しずつ陽が傾きはじめたころ、氣志團は、先日、台風15号の影響で大きな被害にあった彼らの地元・千葉への力になるべく、並々ならぬ覚悟でこの『THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2019』に乗り込んできた。

東京スカパラダイスオーケストラのトリビュート盤『楽園十三景』に収録されている「砂の丘~Shadow on the Hill~」からライブはスタート。「行こうぜ、ピリオドの向こう側へ!」という綾小路翔(Vo)の決め台詞で突入した「One Night Carnival」では、DA PAMPの「U.S.A」や、星野源の「恋」風、に見事にアレンジされた「One Night Carnival」のニューバージョンで会場の爆笑を掻っ攫う。どんなときも、笑顔で笑える明日のためにステージに立ち続ける、氣志團らしいエンターテイメントショーだ。

最後のMCでは、翔やんが、鹿児島はバンドにとって第二の故郷であることを伝えると、「僕らのもうひとつの故郷である千葉は、いま苦しんでいます。力を貸してやってください!」と誠実な言葉で語りかけた。そして、会場が大きな拍手に包まれるなか、千葉にエールを贈る「スタンディング・房総」で、終演。

先月、まだ台風被害の傷跡が生々しい被災地で賛否両論のなか、氣志團は千葉を元気づけるために、主催フェス『氣志團万博』を開催した。だが、そこですべてが終わったわけではない。氣志團はいまもまだ千葉のために戦い続けている。

取材・文=秦 理絵

氣志團

氣志團

■SOIL&“PIMP”SESSIONS

SOIL&“PIMP”SESSIONS

SOIL&“PIMP”SESSIONS

いよいよ大隈ステージ本日の大トリの登場だ。ワンマンライブ同様、ハードボイルドなジャズや声ネタのサンプリングからドラマチックにデスジャズの幕を開け、社長(Agitator)のシルエットが浮かび上がる「Hollow」。ヘス首謀者のタブゾンビ(Tp)が吹いて吹いて吹きまくる。

グッと渋く「Moanin'」のテーマを決めたりしてデスジャズのハードボイルドな世界観を展開していたものの、ヘスのテンションがそうさせるのか、そもそも人懐こいバンドだからか、予定になかったはずと言いつつ、タブゾンビが今日、何度も他のアーティストも聞いた「みんな将来、何になるの~?」「こーむいーん!」のコール&レスポンスや、社長の「なんかもっといけんじゃねえか? モノノフいるんだろう?」という煽りやら、「いけるかー、アリーナ、いけるかー、2階席ー!」という愛らしいボケはなかなかSOILのワンマンでは見られない情景なんじゃないだろうか。

さらにはみどりん(Dr)の冴えたドラミングを「みんなもっとみどりんのバカみたいなドラムソロ聴きたい?」と歓声を誘うなど、社長のタガの外れっぷりが愛らしい。それもこれも演奏がシュアで猛烈に高いテンションを保っているからなのだが、みどりんのソロから秋田ゴールドマン(Ba)のウッドベース、丈青(Pf)のソロまで駆け抜け、特にピアノソロに「エロか~」と九州弁で共感を得る社長は今日、特にマスターズ・オブ・セレモニーといった佇まいだ。“ラララ”のシンガロングとワイパーを巻き起こし、「このままももクロちゃんにつないでいこうぜ!」という、普段とは違う顔も(いや、ここではデフォルトか)。

ラスト前、流石に長めにタブゾンビがMC。「2年ならまだイベントだけど、100年続いたら伝統行事だから。今年は自然災害も多いから、募金活動もしてて。氣志團とのマブダチ募金は、メンバーとは高校の同級生だからでもあるんですよ」というと驚きの声が。「マブダチ募金」の必然が瞬時に理解されたはずだ。

ラストはDragon AshのATSUSHIも参加し、演奏のバイブレーションをそのまま全身で表現する。SOILのライブの中でも屈指の、年齢や音楽的な嗜好の壁が壊れた「SUMMER GOODESS」だった。彼らがホストバンドであることでジャズの扉が開いた人もきっと多いはずだ。

取材・文=石角友香

SOIL&“PIMP”SESSIONS

SOIL&“PIMP”SESSIONS


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