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チャーリー若松さんのレビュー
逆鱗マニアリリースツアーが一段落し2巡目となる「遊泳喫茶2 カフェツアー」。
前回の「遊泳喫茶1」を上回る全国14箇所を周るワンマン弾き語りツアーの5番目、愛媛松山での会場はブエナビスタ。
梅津寺公園前の砂浜に海の家を改造したような高床の木造りで、全面ガラス窓から瀬戸内海を一望できるカフェレストラン。
まさにツアータイトルにぴったりの雰囲気を持つ会場だ。
すぐ側を伊予鉄が走り、踏切の警鐘音も流れ込み、開演前から降り始めた雨が屋根を叩く音も聞こえる中、ライブはスタート。
休憩15分を挟んだ2部構成+アンコールで約80分のステージ。
華奢な会場のため生ピアノではなく電子ピアノでの弾き語り。
リリースツアーは新譜販促の狙いがあるため新しい曲中心のセトリとなるが昔の曲も決してクオリティが低い訳ではない、昔の曲を眠らせないために2巡目となるツアーを組んだ・・・とは本人の弁。
唱歌風で襟を正した楽想にブルージーな黒人感覚を混ぜ込んだ独特なメロディと、心の内面を鋭い視点で切り取った歌詞が持ち味の日食なつこ。
ピアノの腕前はかなりのもの。
緩急自在でタッチも鋭く、随所で出てくるブルースフレーズから、クラシックをベースにジャズをかじった形跡も窺えた。
左手でベースラインを作り、右手でリフやオブリを多彩に入れる難しい伴奏をしながら歌うスタイルなのに余裕すら感じられた。
「ヒーロー失踪」〜「夕立」に繋がる “持って行き方” など並ではない音楽センスを感じた。アルバム「逆鱗マニア」のアレンジも全て自身でこなしたというからこの程度は当たり前なのだろうが本物のアーティスト性を生で体感できた。
肝心の歌唱もファルセットと地声の使い分けが上手くピッチも安定しており、性格なのかサバサバとした男前な歌いっぷりがナイフのように突き刺さってきて心揺さぶられた。
名曲「あのデパート」では見事に涙腺が緩み心に沁みた。
今回のツアーは全てソールドアウトらしい。
そりゃそうだろう観た者を虜にする奥深さがある。
日食なつこを観るなら弾き語りが良いな。
素晴らしかった。
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- 2017/04/16 (日) 21:35
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