ライブレポート
eplus presents FAVOY TOKYO
2026.3.25 Zepp DiverCity(TOKYO)
細分化されたネット音楽を一挙に味わえるプロジェクト『FAVOY』。昨年8月に初開催され、大盛況で終えたライブイベントに続く第2弾『eplus presents FAVOY TOKYO』が、2026年3月25日(水)・26日(木)にZepp DiverCity(TOKYO)にて行なわれた。今回も、これまでになかった組み合わせでありながら親和性の高いラインナップや、ここでしか見られないコラボレーションの実現など、ネット音楽を愛するユーザーが歓喜する内容になっていた。
また、普段ライブ会場にあまり足を運ばないユーザーにさりげなく寄り添うような気遣いを随所に感じさせるところも、『FAVOY』というイベントの特徴かもしれない。オフィシャルSNSではタイムテーブルの発表や出演者のコメント動画、アーティストのコラボ内容を事前にアナウンスをするなど、様々な情報を発信する中、“チケット購入枚数比率”の公開はかなりユニークなものだった。これは“1ユーザーが何枚チケットを購入したのか=その人が何名でライブを観に来るのか”を示したデータなのだが、両日共に“1枚購入=ひとりでライブに来る”というユーザーが圧倒的多数だった。もちろん当日現場で知人と会うというパターンもあり得るのだが、いわゆる“ぼっち参戦”でも構えることなく、気軽に遊びに来てほしいという『FAVOY』側の思いやりが滲む施策だったと言えるだろう。
このレポートでは、弌誠、いゔどっと、ナナヲアカリの3組に加え、ゲストにSouと超学生が出演した25日公演の模様をお届けする。
この日のトップバッターを務めた弌誠は、「しあわせレストラン」でライブをスタートさせた。ダウナーでアンニュイなバンドサウンドに、身体を大きく揺らしながらメロディを吐き出すように歌うと、間奏では首からぶらさげていたヘッドレスギターを構え、鋭いソロを放つ。そこからも、無人の電車の映像が不気味さに拍車をかけた「ガタゴト」や、古謡「さくらさくら」の旋律を取り入れて儚げな空気を醸し出しつつも、躍動するビートが身体を突き上げる「恋舞」と、次々に曲を畳み掛けていく。凛とした三味線の音色が鳴り響き、場内の空気が引き締まったところからなだれ込んだ「あられやこんこん」では、キャッチーなメロディと圧巻のハイトーンボイスが炸裂。オーディエンスをじわじわと、それでいて着実に自身の世界に引きずりこんでいった。
弌誠
弌誠
「ここに集まっているのはインターネットが好きで、ネットに滞在しているすべての音楽が好きな方々」と観客を称した弌誠は、「ネットに漂う音楽をライブに起こして、この場だけの体験を作り上げられることができるように用意してきました。次の曲から少しギアが上がるんですけど、ついてこれますか?」と焚き付けた。その言葉通り、「デビデビデビット」「GAME OVER」と、さらに音が躍動する。“ネットに漂う音楽をライブに起こす”という行為も、リアルでそのまま再現するというよりは、原曲の空気感は活かしながらもサポートバンド達と共に新たな解釈を加えていくかのように映った。感傷と虚無を行き来するような「さよならバースデー」を歌い終えると、力強く息を吸った音と連動するように煽動的なビートがスタート。「突然ですが、ここからはメイド喫茶でお願いします!」とコール&レスポンスを繰り広げ、代表曲「モエチャッカファイア」で熱狂はピークに。エンドロール的に繰り広げられた「よなべのタンゴ」では、弌誠も再びギターをかき鳴らし、自身の音楽とその存在感を強く提示するパフォーマンスを繰り広げた。
弌誠
弌誠
2番手にはいゔどっとが登場。青のライトが煌めき、清涼感のあるエレクトロサウンドで場内の熱気を高めていくと、突如音が鳴り止んだ。すると、アカペラで「グーフ・ホープ」のサビメロを歌い始める。スポットライトを浴びながら柔らかな歌声を届けると、「今日は最高の日にしましょう!」と、一気にギアを上げて同曲へ。切なさを爆発させながら駆け抜けていく。続くヘヴィでダークな「カラドレス」ではがなり気味に、グルーヴィーでオリエンタルな空気をまとった「佰⻤園」では気だるげにと、声色を巧みに切り替えながらステージを展開。熱演を繰り広げていく中、「もう春なんですが、冬の曲を持ってきました」と、スロウナンバー「熱に疲れて」を披露。「今日この場所、この瞬間、『FAVOY TOKOY』を忘れられない日にしたいなと思って」と、この曲をチョイスした理由を話していたいゔどっと。メロウな空気と温かな歌声がフロアを包み込み、オーディエンスを心地よく揺らしていた。
いゔどっと
いゔどっと
その余韻を切り裂くように、ゲストのSouを呼び込んで「デイバイデイズ」に突入。両者共に凄まじい勢いで言葉を乱射していく緊迫感のある展開で、ラストは壮絶なハイトーンをぶつけ合う圧巻のコラボレーションを見せつけた。そんなヒリヒリとした空気とは打って変わって、気心の知れた仲なのもあり、MCはかなり緩め。和やかなトークに笑い声が上がる中、「もう1曲いきましょう」と「ミザン」を披露。ダンサブルなサウンドに乗りながら、力強いユニゾンでメロディを伸びやかに運んでいくという、前曲とは異なる魅力を放つコラボでフロアを喜ばせていた。Souを送り出した後、ラストスパートをかけるように高鳴らされたのは「ぶっ壊してよ」。サポートバンドの重量感のある音を背負いながら強烈なハイトーンを放つなど、パワフルな「ブロードウェイ」で締め括るまで、彼の様々な歌声と表情を堪能できるステージになっていた。
いゔどっと
いゔどっと
トリを務めたのはナナヲアカリ。サポートバンドのメンバーが列になって登場する賑やかなオープニングでフロアを温めると、パワフルな「マンネリライフ」でスタートダッシュをかける。「トリですけどまだまだ元気ですか!?」とフロアを巻き込みながら「明日の私に幸あれ」へ。バンドメンバーと踊りながら、徹底的にポップでキャッチーなサウンドと、ポジティブではありながらも前向きなネガティブで綴られた歌詞を、抜けのいいハイトーンボイスで届けていく。ナナヲは「『FAVOY TOKYO』のコンセプトを聞いて、インターネットをするぞ!と思って、楽しい曲ばかり持ってきました」とコメント。続く「ブループリント」では瑞々しくて心地よい風を吹かせていた。
ナナヲアカリ
ナナヲアカリ
ナナヲアカリ
そこから間髪入れずに始まったのは、Souとのコラボ曲「チューリングラブ」だ。イントロが流れた瞬間に歓声が上がる中、2人は軽くステップを踏みながら甘酸っぱいメロディを歌い上げ、フロアを大いに沸かせていた。Souは去り際に「まだまだ盛り上がっていってください!」と一言。それを受け取ったナナヲが「その言葉通り、まだまだ行きます!」と、オーディエンスにクラップを求めて「完全放棄宣言」へ。バンドが一丸となってアッパーに駆け抜けていくと、その勢いのまま「メルティックヘル」に突入。ゲストの超学生を呼び込んだ。キュートな高音とガナり気味の低音が力強く突き進んでいく展開に、フロアは大興奮。ちなみに、「メルティックヘル」を2人揃ってライブで披露するのはこの日が初めてだったこともあり、ナナヲは直前まで超学生と細かいところまで相談していたとのこと。MCでは「前の2人(Souといゔどっと)は仲良くてあったかい感じでね……」というナナヲの発言に、「え、僕らは?(苦笑)」と超学生がツッコむという掛け合いに、フロアからは笑い声が上がっていた。超学生を送り出した後、「コラボをするから、きちんとしている風に見せるために着てきた」というジャケットを脱ぎ、ここからさらに本気を出すと言わんばかりに始まったのは「ムリムリ進化論」。途中では“あぁ、やっぱムリかも”と膝をついて嘆くように歌うと、「ダダダダ天使」では打楽器をリズムよく叩きながら怒涛の勢いで言葉を吐き出し、アウトロではテンポを徐々に上げながら駆け抜けてフィニッシュ! 文字通り、全力疾走のステージで初日を締め括り、2日目へバトンを繋げた。
ナナヲアカリ、Sou
超学生、ナナヲアカリ
文=山口哲生
撮影=Kota Maruyama
セットリスト
2026.3.25 Zepp DiverCity(TOKYO)
1. しあわせレストラン
2. ガタゴト
3. 恋舞
4. あられやこんこん
5. デビデビデビット
6. GAME OVER
7. さよならバースデー
8. モエチャッカファイア
9. よなべのタンゴ
1. グーフ・ホープ
2. カラドレス
3. 佰⻤園
4. 熱に疲れて
5. デイバイデイズ(feat. Sou)
6. ミザン(feat. Sou)
7. ぶっ壊してよ
8. ブロードウェイ
1. マンネリライフ
2. 明日の私に幸あれ
3. ブループリント
4. チューリングラブ(feat. Sou)
5. 完全放棄宣言
6. メルティックヘル(feat. 超学生)
7. ムリムリ進化論
8. ダダダダ天使
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- アーティスト数
125,811 - コンサート数
1,481,017 - セットリスト数
468,293