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フェス特集2024

ユニコーン2023-2024ツアー「クロスロード」スタート!初日の模様を最速レポ

2023/12/08

ユニコーン2023-2024ツアー「クロスロード」
2023年12月2日(土) 三郷市文化会館大ホール

「ユニコーン2023-2024ツアー『クロスロード』」がスタートした。2023年12月2日(土)埼玉・三郷市文化会館大ホールを皮切りに、2024年3月29日(金)30日(土)山形・やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館)まで、21ヵ所・26本を回る。

関東圏での公演は、初日の三郷以降、12月10日(日)群馬・ベイシア文化ホール 大ホール、24日(日)茨城・水戸市民会館 グロービスホール、来年1月20日(土)神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール、3月8日(金)9日(土)東京国際フォーラム ホールA、という日程が組まれている。
 では以下、初日の三郷の模様をレポートする。とは言っても、初日からネタバレするわけにはいかないので、それはなしで、なんとか書きます。

 ステージの立ち位置は、前に2人(右から手島いさむ・奥田民生)・後ろの壇上に3人(右からEBI・川西幸一・ABEDON)という、いつもどおりのフォーメーション。
ステージセットは、2009年の再始動以降のツアーの中では、作りとしてはシンプルな方に入ると思う。が、その分、ユニコーンのツアーではおそらく初めての見せ方をできる装置などが、導入されている。
 ニューアルバム『クロスロード』収録の11曲は、全曲演奏された。尺は、本編とアンコール合わせて、ほぼ2時間ぴったり。「100周年なので100分で強制的に終わる」がコンセプトだった前々回のツアー「百が如く」や、100分ではないがその余波で(?)以前より短めだった前回のツアー『ドライブしようよ』と比較すると、若干たっぷりめのセットリストである。

 そして。定刻の16:00を1分過ぎたあたりで客電が落ちてから、オープニング演出→SE→5人が登場→1曲目が始まる→1曲目が終わる、までを観た段階で思った。
「まいりました!」「やられました!」と。で、今回のこれ、間違いなく絶対いいツアーだ、と、その時点で確信した。
 その確信は、2曲目以降も強まる一方だった。いちいち楽しくて、刺激がいっぱいあって、1曲1曲進むごとに「次はどうなる?」「あ、こう来たか!」と、ワクワクさせられっぱなしの時間が続いていく。

 ネタバレしない範囲で書けるその理由は、大きく言うとふたつあった。と、感じた。
ひとつめは、『クロスロード』というアルバムの特色。本人たちも公言しているし、聴けばあきらかだが、かつてのユニコーンが生み出してきた、過去の楽曲の方法論を、現在のユニコーンがやってみたらどうなるか、という実験が、コンセプトのひとつになっている点である。

説明するのも野暮だが、たとえば、リード曲の「OAW!」は、再始動シングル「WAO!」。川西幸一が歌う「モッカ幸せ」は「ロック幸せ」。「メイビー」を「ネイビー」に、「ブルー」を「オレンジ」に置き換えて、「ネイビーオレンジ」。EBIの「米米夢」は、前作『ツイス島&シャウ島』収録の「米米米」。テッシーの「オラ後半戦いくだ」は、タイトルは全然違うが、曲調はまさに「デーゲーム」──。
 というこの試みは、「焼き直し」や「自己模倣」のレベルではなく、「過去を検証することで新しい何かを生む」という、極めてクリエイティブなものであることが、聴けばわかる。
そもそもこの実験は、キャリアを重ねて実績を積んできたバンドにしかできないことだし、でもそんなバンドたちの中でもユニコーンしかやらないだろうし、おそらくやろうともしないことでもあるし──。
って、そんな堅い言い方をしなくてもいいか。要は、この試みが、めちゃくちゃおもしろいものである、という事実は、『クロスロード』を聴いた方なら、共有していただけると思う。そして、ライブで、生で聴くと、生で観ると、そのおもしろさが、さらにいっそう際立つのである。ということを、この初日を観て、実感したのだった。
演奏しているところを観るのが込みだとさらにおもしろい、という作りに、楽曲そのものがなっているから。という捉え方もできるし、それぞれの楽曲に合わせて、そのおもしろさをブーストさせる演出が施されているから。とも言える。

 それから、もうひとつは何か。その試みをライブで活かすためだと思うが、これだけ曲数も尺もあるにもかかわらず、ギュッとタイトに引き締まった、中身が濃い、身の詰まったステージになっていることである。
 それぞれのメンバーが歌う、それに伴ってそれぞれのメンバーが楽器をチェンジしたりする、その「それぞれが歌う」さまが「川西コーナー」「EBIコーナー」みたいにコーナーになっている。
それがユニコーンのライブであるのはいつものことだが、その際に発生する、楽器の持ち替えや、機材の出しハケ等まで含めて、キビキビと無駄なく進んでいくのである。それに合わせているのか、MCも、全体的に短めに感じた。
グダグダしない。だから、ダレない。いや、ユニコーンのライブの場合、そのような「グダグダ」も魅力だったりするのだが、今回に関しては少なめである。あ、あくまで「少なめ」です。「ゼロ」ではありません。
あと、その分、ステージスタッフは、いつも以上に大変だろうなあ、とも思った。段取りが多いので。

 というわけで。再始動以降のユニコーンのアルバムとツアーを追い続けてきた熱心なファンにも、逆にユニコーンのライブはしばらくご無沙汰している人にも、フェスやイベントなんかで最近ユニコーンを知った人にも、このツアー、いいですよ! このツアーならすげえ楽しめますよ! と、激しくお勧めしたくなる内容になっていたのだった。『クロスロード』ツアーの1本目は。自分も、もう次に観るのを楽しみにしている、というくらい。
 あ、でも、観ているこちらにとっては、そんな超充実した1本目だったが、やっている当人たち的には、必ずしもそうでもない瞬間もあったようで、某曲でブレイクして音が止まった瞬間、ABEDONはこう言った。
「初日からこれー?」
それにOTはこう応えた。
「初日だからでしょ」
 ABEDON曰く「行き当たりばったりばっかり」だった、そういうところもあったそうです。そうかあ。全然そう感じませんでしたが。
 とにかく、このツアー、今後も楽しみです。どこかのタイミングでまた観に行きます。

奥田民生
ABEDON
川西幸一
川西幸一&ABEDON
EBI
手島いさむ

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