ラックライフ、15年間の重みと前進をやめないという野心が漲ったツアーファイナル

2023/12/09

ラックライフ 15th Anniversary TOUR 『LIVE』 TOUR FINAL
2023年11月30日(木)Zepp DiverCity(TOKYO)

結成15周年記念のベストアルバム『LUCK LIFE』のリリースツアーとして開催された「ラックライフ 15th Anniversary TOUR『LIVE』」。Spotify O-Crestの初日を皮切りに、台湾と韓国公演を含んだ全18公演のファイナルは、満員のZepp DiverCity(TOKYO)にて迎えた。ステージにメンバーが登場し、PON(Vo/Gt)にスポットライトが当たると、彼の弾き語りの歌い出しから「Hand」でライブをスタートさせる。いつもよりしゃがれたPONの声は、各地で絶唱を繰り返したがゆえの勲章だろうか。「初めの一歩」などのぬくもりに溢れるムードと暴れ馬のような荒々しさが混ざり合ったサウンドスケープが、たちまち会場を巻き込んでいった。

PON(Vo/Gt)

ファイナル公演を迎えたことへの興奮を伝えたPONが「あなたの心に刺さって抜けない歌を歌いにやってきました」といつものスローガンを掲げると、LOVE大石(Dr)の高らかなドラムから「サニーデイ」へとなだれ込む。ikoma(Gt/Cho)のギターソロも痛快に鳴り響き、「幸せであれ」はたく(Ba)のメロディアスなベースラインが楽曲をよりドラマチックに描いた。過去曲もすべて今この瞬間で湧き上がる気持ちをぶつけるように演奏する4人の音は、とてもフレッシュだ。「あんたが大将」では丁寧に観客へ振り付けをレクチャーして一体感を楽しみ、そこで蓄えたエネルギーをそのまま「リフレイン」にも注ぎ込んだ。

15年バンドを続けていても新しい気持ちになれることへの喜びを語るPONは、「今みんなと一緒にいられることを噛み締めながら楽しんでいきたい」と続け、ライブハウスで感じた思いをしたためた「℃」と「Naru」を畳みかけると、「理想像」などをフルスイングの演奏で魅せる。音と歌だけでもじゅうぶん彼らの心意気は伝わってくるのだが、それでもPONは曲と曲の間や曲中で、丁寧に曲に込めた思いや出来事、ツアーで感じた気持ちなどを一言一言丁寧に言葉にして伝えた。伝えても伝えても伝えたりない、伝える方法は全部フルで使いたいと言わんばかりのステージ。とめどなくどんどん飛び込んでくる彼らの熱い思いが、会場の観客一人ひとりの心を大きく揺さぶっていた。

ikoma(Gt/Cho)

MCでメンバーが和気あいあいとツアーの思い出を振り返ると、「ここにいる人たちそれぞれに、俺らとの出会い方があったわけだ。そこからあなたと俺らの物語が始まって、今日ここにつながっている。それがZepp DiverCityを埋め尽くすくらいあって、その一つひとつが大好きで掛け替えがないから、15年間なんとかバンドとして生きていくことができています。その一つひとつを抱きしめてこれから先もバンドをやっていくんやと思うねん」というPONの言葉から「風が吹く街」へ。この曲について彼は「過去にもらったものと共に、今を生きる歌」と言っていたが、彼らが過去の楽曲もいつも瑞々しく演奏できるのは、どんなに時を経て変化を伴ったとしても、変わらずにずっと大事にしたいものを曲にしているからなのかもしれない。鮮やかな音色が会場一帯を駆け抜けた。

たく(Ba)

「Lily」「アイトユウ」を演奏した後、PONはひとりであらためて15年を振り返る。この15年は楽しいことだけではなく、特に初期の頃は苦悩の多い日々だったようだ。自分の歌を届けたいのに届ける相手が現れない状況で試行錯誤をしたり、辛辣なダメ出しなどを受けたりなどするなかで、「もう素直にやろうと思った。自分の心のままに歌って、周りにいてくれる人を信じることにした」という。そして自分たちの音楽と出会ってくれたことへの感謝と、つらいときにはライブハウスでの景色を思い出して気持ちを保っていることを、涙を滲ませながら語った。

最新シングル曲「軌跡」とロックバラード「名前を呼ぶよ」では観客のシンガロングが彼らの演奏をさらにきらめかせると、PONは人と人の情熱がこの世界を作っていて自分たちもそのひとつになりたいということ、“あなた”の人生を少しでも明るくしたいということなど、ラックライフとして突き詰めたい理想や強い意志、美学を一つひとつ言葉にして叫ぶ。そして「あなたがいるから世界は回るんやで。あなたがいるから俺は歌えるんやで」と喉を嗄らしながら告げ、本編ラストは「ファンファーレ」。観客もこの日いちばんの声量で歌を響かせ、会場に舞い上がった銀テープもこの場にいた人々の笑顔をより輝かせていた。

LOVE大石(Dr)

アンコールではまず、B'zの「LOVE PHANTOM」をBGMにして黒い衣装とサングラスに身を包んだラックライフ――ではなく“ブラックライフ(BLUCK LIFE)”が乱入。「大人の本気の悪ふざけ」のキャッチフレーズに違わず、この日のためにツアー中に制作とレコーディングを行ったという新曲「レディースアンドジェントルマンボーイズアンドガール」をPONならぬBOMはガイコツマイクのピンボーカルで披露し、さらには「大正解」で客席をかき回す。ラックライフの15周年を祝いにわざわざ来日(?)してきた彼らのサプライズ出演に、観客は大いに沸いた。

Wアンコールでラックライフが登場すると、このライブがニコニコ生放送で配信されること、このツアーのライブフォトブックを受注生産で出版すること、そして結成16周年記念日の2024年3月15日に豊洲PITでワンマンライブ『ラックライフ 16th Anniversary 「僕らの生まれた日」』を開催することを発表。ikomaは「もっともっと大きいステージでやれるように、みんなと楽しめるように頑張ります」、たくは「16周年もこのまま頑張っていきたい」、大石は「ライブを観に来てくれる人がいることが、ラックライフとして活動をしている意味だと思う」と語り、3人ともツアーで様々な人との出会いや再会を果たせたことへの感謝と喜びを口にした。

するとPONが「BLUCK LIFEだけ新曲あると思ってる?」と言い、4人はタイトル未定の新曲を披露する。同曲は「世界は変わっていくものであり、変えないといけないもの」「何かを見つけるには、自分で感じて自分から動き出すしかない」「“願い”が答えに、“迷い”があなたらしさにつながっている。たくさん変わって、たくさん信じて、人間らしく生きていってほしい」という彼の思いが込められている。青々としたギターロックには15年間の重みと、まだまだ前進をやめないという野心が漲っていた。そして彼らが15周年ツアーの締めくくりに選んだのは「僕ら」。観客のシンガロングを浴びた後、さらにPONの歌声の熱量が上がった瞬間は、ツアーと15周年を象徴する一幕だった。

ラックライフが15年間バンドを続けてこれたのは、PONが15年間曲を作り続けられたのは、この15年間彼らが変わらない思いを胸に、自分たちから新しい感動を探しに行き続けていたからではないだろうか。2時間半を優に超える熱演を観ながらそんなことを思った。彼らがバンドを続ける理由、胸を張って生きている理由が、どの曲にもしっかりと根付いていたのだ。過去という財産が積み重なれば積み重なるほど、彼らの強度は増していく。ラックライフはこの先、さらに豊かな世界を開拓していくだろう。

SET LIST

01.Hand
02.ブレイバー
03.初めの一歩
04.サニーデイ
05.幸せであれ
06.あんたが大将
07.リフレイン
08.℃
09.Naru
10.理想像
11.走って
12.風が吹く街
13.Lily
14.アイトユウ
15.軌跡
16.名前を呼ぶよ
17.ファンファーレ

ENCORE
01.レディースアンドジェントルマンボーイズアンドガール(BLUCK LIFE)
02.大正解(BLUCK LIFE)
03.新曲
04.僕ら

関連ライブ

レポート一覧に戻る

バナー