MyGO!!!!!はさすらう事を厭わない『ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」』東京公演レポート

2024/02/20
MyGO!!!!!

2024.02.12(Mon)『MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」』@Zepp Haneda (TOKYO)

2024年2月12日(月・祝)東京・Zepp Haneda (TOKYO)にて『MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」』東京公演が開催された。この日を皮切りに福岡・大阪と続き、千秋楽は4月11日(木)のZepp Nagoyaを予定する、MyGO!!!!!初の全国ツアー、その初日の熱気をレポートする。自らを“迷子”であると標榜し続けるMyGO!!!!!は、一体どこへ向かっているのか? なぜ“迷子”であり続けるのか? その答えが少しだけ、見えたような気がする。

「みなさんこんばんは!MyGO!!!!!です。今日はよろしくお願いします。」

燈の挨拶を皮切りに「碧天伴走」からライブをスタートさせると、続けてギターのリフが軽快な「影色舞」イントロのフレーズを楽奈が無邪気に弾き、まだあどけないツーステップで飛び跳ねる。サビでは会場が一体となって手を振り、徐々に熱を帯びていく。

2曲続けた所で「改めまして、MyGO!!!!!です! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」東京公演にお越し頂き、ありがとうございます」とお礼から自己紹介の流れへ。また今日の公演は配信もあるという事で、カメラに向かって愛音がアピールをして画面を独り占めすると、すかさず「ちょっと、愛音だけのカメラじゃないでしょ」と釘をさす立希。「えー、でもせっかく配信あるんだからアピールした方が楽しいじゃん?……あ、分かった。りっきーも本当はカメラに映りたいんでしょ~? カメラさん! りっきーも映してあげてくださ~い」と完全に愛音のペースに飲まれ、戸惑いの表情をドアップで映し出される立希。「今日は見てくれてありがとうございます……じゃあ、そよも。」と順々にカメラを使って挨拶をし、燈の番が回ってくると「楽奈ちゃん、一緒に映って……!」と側へ駆け寄り、恥ずかしそうにピースする2人の姿に盛り上がった。

「じゃあみんな、もうカメラで遊ぶのおしまい!」と愛音が進行しようとすると、燈が「立希ちゃん、そよちゃん、愛音ちゃん、楽奈ちゃん、やっぱり、この5人でライブするのって、楽しいね」と語りかけ、次の曲へ。スポットライトに燈だけが照らされると「迷星叫」をイントロアカペラverで歌い出す。その後「名無声」「壱雫空」と2曲続くと会場のボルテージもかなり高まってきたのがわかる。

ここまでMyGO!!!!!の代表的な楽曲を3曲続けて披露したが、「本当にここまで来たんだなって。私たちの曲たくさん増えて、たくさんの人に見てもらえて……」と立希が振り返ると、「はじめて見る人、たくさんいる」と楽奈。「確かに!……でもでも、カヴァー曲とか聴きたくない?」と愛音が問いかけると、場内は大歓声で応える。

「では、久々にあのカヴァー曲をやっちゃおうと思います!」と「二息歩行 (Reloaded) 」を披露。オリジナル曲とはまた違った、色気のある歌い声に思わず聞き入ってしまう。続く「潜在表明」 ではフードを深く被り、まさに曲名通りに燈の心情を吐露するように激しく語りかける。再びカヴァー曲の「君の神様になりたい。」 と3曲続いた激情パートを締めくくった。

感情の発露を経て、ようやくエンジンも温まったのか「Zepp Haneda、まだまだ盛り上がっていけますか!まだまだ声出せますか!もっとボリューム上げていけますか!?」と拳を突き上げ、客席を煽る燈。場内の大歓声を受け取ると、「歌いましょう鳴らしましょう」 とひと言。ライブ初披露となるこの曲に、客席のリアクションもさらにボリュームが上がるが、すぐさま楽奈のギターがかき消していく。サビの高速タッピングなど、テクニックも見せつけてくるが、個人的にはサビの歌詞が、まさに今のMyGO!!!!!を象徴しているように思えて、非常に印象的だった。

「不安すらも喜びも思い出も」「歌いましょう?」「鳴らしましょう?」「それが音楽ってもんでしょう? 人生ってもんでしょう」と説く姿は、私が描いていたMyGO!!!!!像とぴったりハマった瞬間だった。続けて「音一会」でもメロディアスなギターのフレーズはそのままに、メンバーのコーラスも加わり、更にバンドとしての一体感が増していく。そして「迷路日々」。現状のMyGO!!!!!における、ある種の集大成のような曲が、ライブが終わりに近づいていることを予感させる。

3曲を披露し、拍手の後の長い静寂に包まれた。

「君と持ち寄った この鼓動が現在地」
「旅人のように うたからうたへ」
「足跡 砂風が隠しても」
「消えないうたを 道連れにして」
「今にしか さわれない音 今にしか 叫べない感情 もう止めないで、いいよね」

その静けさを破ったのは、立希、そよ、楽奈、愛音、燈とバトンを渡すように紡いでいった言葉だった。

「最後に聴いてください、『砂寸奏』」 
ここで初公開の楽曲「砂寸奏」が披露された。
 Bメロの「彷徨する渇望 もう止めないで いいよね」という歌詞から、先ほどのメンバーが紡いでいった言葉が、サビになって、音楽となって、再び対面する。この曲を引っさげて、今回のツアーは行脚する。MyGO!!!!!の現在地は、まさにこの曲なんだと実感する。そしてさすらいの中に身を投じるように、演奏が終わるとスッと舞台袖へと消えていった。

アンコールの声に応えて、まずは「無路矢」。やっぱりこの曲のインパクトはすごい。確かにツアー初日としての狼煙という意味合いもあるだろうが、重厚なサウンドと超ハイトーンな青木のサイドボーカルには何度聞いても驚かされる。ここで改めて“中の人”として自己紹介を挟む。グッズ紹介や告知をしてこの日最後の楽曲へ。

「みなさんも準備良いですか?聴いてください、焚音打(たねび)」

「意味とか行き先とかまだない
完璧なんて ほど遠い僕たちだけど
この音色でしか たきつけられない
胸がいま騒ぎ出して」

Bメロの歌詞が、深く胸の中に突き刺さった。

「また会いましょう!みなさんと拳を掲げられるこの時間が一生続いていきますよう」
「迷子でもいい 迷子でも進め!」
燈の叫び声が会場にこだまする。僕らの心の中にも種火がじんわりと燃え移ってきて、この火を聖火のように、大切に次の会場まで運びたいと思った。

このツアーを終えて、MyGO!!!!!がどんな高みへ辿り着けるのかは分からない。とりあえず東京が終わり、次は福岡、次は大阪、そして愛知と次の中継地点へ全力で向かっていることだけは分かるけど、彼女たちが目指す目的地さえも分からない。

あてもなく彷徨い続ける果てしなさと危うさを孕んだ若いエネルギーだけがこのバンドを、このメンバーを繋ぎ止めている。次は何処へ弾け飛んでいくのか、予想も出来なくて、危なっかしくて、だからMyGO!!!!!の行く末から目が離せない。文字通りの「彷徨する渇望」を体現しているツアーなのだと、ライブが始まる前までは考えていた。その予想は半分正解で、半分間違いだったと思い知った。

たくさん練習して、たくさん転んで、たくさん膝を擦り剥いて、いつの日か補助輪なしで自転車に乗れるようになったあの頃。一気に行動範囲が広くなって、隣町にだってひとっ飛びで、このままどこまでも行けるような気がした。擦り剥いた膝の痛みなんかでは、この胸のワクワクを抑えられなかったあの瞬間。今日のステージを見て、MyGO!!!!!は、まさにこの瞬間を生きているのだと私は感じた。練習して上達して、自転車にようやく乗れるようになった子供と同じなのだ。

初の全国ツアー。一生懸命にドラムを叩き、ギターやベースを弾くことで、各々が上達することで、色んな場所へ行けるようになり始めた、もっと上手くなれば、きっともっと大きなステージにだって立てるかもしれない。

自転車に乗ることが楽しくて仕方がなくて、目的地なんか無くたっていい。ただ、走りたい。
楽器を鳴らすのが楽しくて、バンドとして音を奏でることが楽しくて、ただ歌いたい。

つまり、彼女たちの渇きを癒すものは音楽しかなくて、バンド活動しかない。「きっと今よりもっと渇きを癒してくれる場所があるはず。まだこんなものじゃ満足できない。」MyGO!!!!!を突き動かす原動力はこの1点しかないのだろう。“文字通りの「彷徨する渇望」”であることには間違いない。

しかし、MyGO!!!!!が目指す目的地は、結局のところ彼女たちにさえも分からない。なぜなら、そもそも目的地など存在しなかったのだ。あてもなく走り続ける彼女たちだが、そもそもあてなんか要らない。今はただ、走りたいだけ。MyGO!!!!!は"さすらうことを厭わない"んじゃない。むしろ求めているのだ。このツアーを経て、バンドとしてどうなりたいとか、そういう話ではなく「とにかく走り回りたい」。蓋を開けてみれば、ただそれだけの事だったのだ。今回のZEPP TOUR、この流浪の旅は一体どこへたどり着くのだろうか。終着駅にたどり着いた時、どんな気持ちになるのだろう。私も一緒に彷徨い続ける覚悟を決めた。

レポート・文:前田勇介

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