« 前へ| レビュー一覧へ (1/1) |次へ »
ひらりさんのレビュー
結成以来、ヴォーカルハーモニーの頂点に君臨する"Take 6"。1990年以来の参戦となる私を、理屈抜きでハッピーな気分にさせてくれました。
意外にも力強いビートに導かれ、ラップしながら登場した6人は挨拶代わりよろしく、ストリート感覚のコール&レスポンスを客席に仕掛けてきます。躍動感をほとばしらせながらも、色彩感豊かなコーラスと深みのあるリードが絶妙に絡み合いながら会場に充ち、心地よいグルーヴが私の身体を揺らしてくれました。彼らの美しいハーモニーに浸りながら、ああ至福の時間が過ぎていきます。
やがて、プログラムが進行していくと彼らの声にも“熱気”が滲み、それに呼応するかのように観客の反応も鋭くなり、多くの人が手を叩き、足を鳴らしてリズムを重ね合わせます。中盤にはギターやピアノの演奏も交えながら、しっとりとしたナンバーを並べたものの、終盤には再びヒューマン・ビート・ボックスさながらのリズムやスクラッチ・ノイズを表現しながら、じつに多様な魅力をたたえたステージは名残惜しくも最終章へ。
アンコールではマイクをそっとフロアーに置く6人。披露された"Allelula"は、美しく繊細なナマ声によるハーモニー。その素晴らしさたるや、歌い終えた直後に客席の四方から多くの溜め息が漏れ、一拍置いて万雷の拍手が場内を包むという感動的なフィナーレを演出してくれました。
期待を大きく上回る、そして限りなく麗しいとびきりのコーラス。いつの日か、いやすぐにでも、そのパフォーマンスに再びどっぷりと浸りたいですね。
- いいね! 3
- コメント 0
- 2020/10/25 (日) 00:49
« 前へ| レビュー一覧へ (1/1) |次へ »