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25年間“最新型”のステージを見せ続けるブライアン・セッツァー・オーケストラ、日本ツアー東京公演をレポート

2018/01/31
ブライアン・セッツァー・オーケストラ

ブライアン・セッツァー・オーケストラ 結成25周年記念JAPANTOUR
2018.1.30 東京ドームシティホール


1月24日の札幌公演からスタートしたブライアン・セッツァー・オーケストラ(以下BSO)、4年ぶりの日本ツアー。その東京2日目となる30日の公演を観に行った。

ライダース、豹柄ジャケット、リーゼントなどなど、セッツァーの音楽性と生き方に影響を受けた幅広い年齢層の人たちがこの夜もそれをファッションや髪形で表して東京ドームシティホールへと入っていく。ロビーでは「おおっ、久しぶり!」と声を掛け合う人たちも。それなりにいい歳になっても変わらずロックンロールを好きでい続けていることの誇りと喜びを確認したり分かち合ったりしながら開演時間を待っているのだ。入口付近にはいくつもの歴代グレッチが展示され、多くの人々がスマホのカメラを向けていた。

19時を1~2分過ぎるとライトが落ち、まずはオーケストラの面々がステージに登場して定位置に。「レディース&ジェントルメン」に始まるアナウンスでこのバンドが結成25周年であることが告げられると、続いて我らがヒーロー、ブライアン・セッツァーがにこやかに登場してステージ中央へ。第一声は「ハロー!  トーキョー!」。そうしてショーが始まった。

結成25周年。そう、BSOとしての活動がスタートしてもう四半世紀が経つのだ。ストレイ・キャッツがシーンに登場したときの衝撃を未だ忘れずにいる筆者などは思わず遠くを見つめてしまいもするが、しかしセッツァーは今も若々しい。人生の大先輩に対してこう書くのもアレだが、ときどきその生き生きした表情と動きが可愛くすら見える。好きなことをずっとやり続けている人ならではのチャームと輝きがあるのだ。

ロックンロール(ロカビリーやらジャンプブルースやらいろいろ含む)をオーケストラ編成でやる。それはセッツァーの発明だ。もちろんそれ以前にそういうビッグバンド形式がなかったわけじゃない。が、それをスタイルとして定着させ、世界のあちこちを大所帯で回り、一時の企画バンドとして終わらせることなく、常に最新型であることを更新しながら「続けてきた」ことこそが画期的であり、素晴らしいところなのだ。25年も!

そして、当然そのことの矜持もありながら、かといって少しも重々しくせずに、誰もがゴキゲンな気分になれるショーを展開する。それがBSOの素晴らしいところであり、少しも人気が下降しない所以であるのだなと、この日のショーを観ながら改めてそう思った。

ホーンセクションは4+5+4の13人。それにベース、ドラム、ピアノ、コーラスの女性2人、ギター&ボーカルのセッツァーを合わせ、総勢19人のビッグバンドがひとつとなって音を出す。そういえばピアノが入っての形は、日本ではもしかして初めてだったか。さすがに音の厚みは相当のもので、なのに弾んだ感覚がずっとある。そして、セッツァーのボーカルを引き立てながら(または寄り添いながら)、演奏それ自体でも曲ごとのアピールどころがいろいろある。構成にもいろいろ変化がつく。故に終演までがあっという間に感じられた。

ブライアン・セッツァー・オーケストラ  撮影=土居政則

ブライアン・セッツァー・オーケストラ  撮影=土居政則

さて、ここからは演奏された曲名も盛り込みながらレポートを続けていく。なんの曲が演奏されるのか観に行くまで知りたくないという方は、ひとまずここで離れていただくのがよいかと思うが、ただ演奏曲を事前に知ったところでBSOのライブのよさは少しも減じないはず。軽く予習に役立ててもらえれば幸いだ。

オープナーは1940年生まれのスウィングジャズにしてポップスタンダード「PENNSYLVANIA 6-5000」。ビッグバンドのゴージャス感がすぐさま会場を満たす。続いて早いテンポの「HOODOO VOODOO DOLL」へ。トロンボーン奏者のひとりが立ち上がって吹奏し、セッツァーは指揮をふる。

ギターソロを挿んでパーンと華やかに「THIS CAT’S ON A HOT TIN ROOF」。そしてお馴染みの「STRAY CAT STRUT」へ。ウ~~ウ~~と、自然に観客もシンガロング。いい展開だ。

5曲目は、これも昔からのファンにはたまらない「RUNAWAY BOYS」。最近のライブではレパートリーから外れていたようだが、今回のこの曲のアレンジは華麗で豊かで、実に見事なものだった。そしてジーン・ヴィンセント「BE-BOP-A-LULA」の歌い出しから「GENE & EDDIE」へ。観客たちの手拍子が大きくなり、エディ・コクラン「C’MON EVERYBODY」のフレーズやらを挿むとさらに熱が高まった。

一転してムーディーな「SLEEPWALK」(第41回グラミーで最優秀ポップ・インストゥルメンタルを獲った曲だ)。背景にたくさんの星が現れ、美しくもロマンチック。その演奏が終わるとセッツァーはジャケットを脱ぎ、続いて大ヒットした98年アルバムの表題曲でブギの「DIRTY BOOGIE」、そして1956年生まれのジャズ・スウィング「JUMP JIVE AN’ WAIL」(これは同じく第41回グラミーで最優秀ポップグループ賞を獲った曲)へと続けた。ホーン隊のソロにも聴き入ってしまうそれが終わると、弾丸のようなドラムの音を合図にスリリングな「RUMBLE IN BRIGHTON」へ。

また日本とは縁の深い「SEXY,SEXY」(もともとはイチロー選手が出演するペプシコーラのCMソング用に作られた曲)も久しぶりに演奏され、その楽しいフィーリングにフロアの熱がさらに上がったようだった。

その次に演奏された曲は、いわゆるロックンロールでもロカビリーでもジャンプブルースでもなく、しっとりめで聴かせる歌もの。曲名は「WICHITA LINEMAN」で、これは昨年8月に亡くなった米カントリー・ミュージックのレジェンド、グレン・キャンベルが1968年に放ったヒットシングルだ。最近のセッツァーのインタビューによれば、幼き日のセッツァーはキャンベルが自身のテレビ番組でギターやバンジョーを弾くのを楽しみに観ていたそう。またキャンベルの末期の作品にセッツァーが参加してもいるそうだ。そんなキャンベルのその曲を、セッツァーはいい塩梅の力の抜き方で歌い、それは心に沁み入った。トランペットのソロもまさにキャンベルに対する鎮魂のように聞こえて美しかった。

また、この曲のあとに続けたのは、やはり昨年の10月に亡くなったロック系シンガー・ソングライター、トム・ペティの曲「RUNNIN DOWN A DREAM」(1989年の初ソロ作『フル・ムーン・フィーヴァー』に収録)。先のインタビューによれば、セッツァーはペティとエルヴィス・プレスリーやリッキー・ネルソンの曲をレコーディングしたことがあり、またペティのツアーのオープニングアクトを務めたこともあったという。故にこのパートをグレン・キャンベル、トム・ペティ両者に捧げ、そのスピリットを継いでいかんとする意思を表したわけだ。


さて、ここでオーケストラの面々は一旦ステージをはけ、ベース、ドラム、ピアノ、セッツァーの4人だけが残った。4ピース・バンドでのロカビリー表現コーナーだ。まずはジョニー・バーネットの「ROCKABILLY BOOGIE」。続いてジミー・リロイド(=ジミー・ロッグストン)の「ROCKET IN MY POCKET」。セッツァーはチャック・ベリーよろしくダック・ウォークをキメたりも。

因みにピアノ(それ自体)はこのとき豹柄だったが、そのピアニストがここではけると、ステージ上は3人に。即ちストレイ・キャッツの編成で、曲もストレイ・キャッツの「FISHNET STOCKINGS」へ。そしてセッツァーとベーシストがステージ前方で並んで弾き倒してる間にオーケストラのメンバーたちが戻ってきて、本編の締めとなるお馴染みの「ROCK THIS TOWN」。ただでさえこれを聴かなきゃ終われないというものだが、ドラムもベースもここぞとばかりにアクション&ソロプレイで見せ場を作り、観客を沸かせていた。

ステージの上と下とがそこで完全にひとつになると、セッツァーは「サンキュー! ドモアリガトー!」と言い、自分から観客に対して拍手を送ったりも。みんながいるから自分はこうしてここにいられるのだ。そんな感謝の気持ちを彼は表していたのだった。

アンコールに応え、着替えて再登場したセッツァーとビッグバンドは、組曲の「NUTCRACKER SUITE」をここで演奏。いろんな要素が詰まったそのユニークな組曲にはホーンセクションの面々のソロ聴かせどころもあり、「ああ、ゴージャス…」と思わずつぶやいてしまう自分がいた。つくづく素晴らしいビッグバンドだなと思わずにいられなかったし、それを束ねるセッツァーの人としての大きさにも思いがいったものだった。

そして最後の最後はコーラスの女性ふたりも合流してジョー・ガーランド作曲(グレン・ミラー楽団のそれでよく知られる)の「IN THE MOOD」を。大団円。セッツァーはオーケストラの全員を集め、再び「サンキュー、トーキョー!」と叫んだ。また前方の観客のひとりが自分のギターにサインを求めると、快くそれに応えたりも。優しくて頼りになるオレたち私たちの永遠のアニキに、今回もまた観客たちはみな「これからもずっとついていく!」と強く心のなかでつぶやいていたに違いない。

華やかで、膨らみがあって、楽しくて、かっこよくて、観ている誰もが笑顔になれる、そんなBSO、2018年のショー。それはこの形になって25年目のひとつの集大成のようでもあり、さらに言うなら1979年のストレイ・キャッツのスタートに遡るセッツァーのキャリアを一遍の映画のようにまとめて展開させたもののようでもあった。但し、まとめたところでピリオドを打つのではなく、ここからまだまだ続いていくという意志が何よりハッキリ示されていたのが嬉しかった。これまで披露されたことのなかった曲もあったわけだし、視覚的にも新しさがあった。マンネリなんてどこ吹く風。アイディアは尽きないし、何よりセッツァーは生き生きとステージで動いている。「好き」の力は凄いのだ。

このあとBSOは、東京追加公演となる31日(布袋寅泰の出演が決定)に続き、大阪、福岡、広島、名古屋とツアーを続ける。見逃すなんて、あまりにも勿体ない。


取材・文=内本順一 撮影=土居政則

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公演情報
ブライアン・セッツァー・オーケストラ
結成25周年記念JAPANTOUR

・1月31日(水) 18:15 open/19:00 start
 東京ドームシティホール
・2月2日(金) 18:00 open/19:00 start
 なんばHatch
・2月5日(月) 18:30 open/19:00 start
 福岡国際会議場メインホール
・2月7日(水) 18:30 open/19:00 start
 広島JMSアステールプラザ 大ホール
・2月8日(木) 18:30 open/19:00 start
 名古屋国際会議場センチュリーホール

 

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