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フェス特集2024

the GazettE “現象”から“高揚”へ、3年ぶりアルバムツアー初日に見た無限の変貌への予感

2018/08/02
the GazettE 撮影=Keiko Tanabe

THE NINTH / PHASE#01 -PHENOMENON-
2018.7.19 三郷市文化会館

6月に最新アルバム『NINTH』をリリースしたthe GazettEが、全国ツアー『THE NINTH / PHASE#01 -PHENOMENON-』を7月19日、埼玉県・三郷市文化会館で幕開けた。“教義”の名を掲げてツアーでもコンセプチュアルな世界観を繰り広げていた前作『DOGMA』からは一転、本作は制作時からライブを想定して創られたもの。方向性を一つに定めることなく、結成からの16年で得た様々なベクトルを貪欲に表現していこうという意志は、自身9枚目のアルバムに『NINTH』と冠したシンプルかつ潔いネーミングからも見て取ることができるだろう。

the GazettE 撮影=Keiko Tanabe

the GazettE 撮影=Keiko Tanabe

3年ぶりのアルバムツアー開幕。言うまでもなくソールドアウトの場内で始まったライブは神懸かった『DOGMA』とは違う、生身の“人”の感情を感じさせるものだった。人前に立つステージ自体が今年初ということもあり、まず音と言葉と感情を丁寧にチューニングしていったRUKI(Vo)が「OK埼玉! 暴れてくれるか!」と煽れば、一気にヘッドバンギングの海が出現。初披露となるアルバム曲でも初っ端から客席と熱い想いを交し合うその様は実に開放的で、『NINTH』という作品がオーディエンスの存在を前提に置いたものであることを実感させられる。

the GazettE/RUKI 撮影=Keiko Tanabe

the GazettE/RUKI 撮影=Keiko Tanabe

the GazettE/麗 撮影=Keiko Tanabe

the GazettE/麗 撮影=Keiko Tanabe

その後もアルバムの曲順を大枠でなぞりつつライブは進行。時折『DOGMA』ツアーでもお馴染みだったライブチューンが登場して、オーディエンスの熱が急上昇するシーンも見られたが、裏返せばそれは新曲が秘める可能性の表れでもある。RUKIも「アルバムの新曲ばっかりで最初はどう動いたらいいかわかんないよね。俺が引っ張ってやるからついてこい!」と頼もしく牽引し、実際、戒(Dr)の重厚にしてリズミカルなドラミングから「お前らの頭を俺によこせ!」と叫んだ「裏切る舌」では一斉に頭が振られたりと、早くも即効性の高さを証明していた楽曲もあった。

対照的に、REITA(Ba)の禍々しいスラップが冴えるドゥームな「THE MORTAL」、疾走感と物悲しさが同居する「虚 蜩」、葵(Gt)のアルペジオが哀しみを誘う「その声は脆く」と“悲哀”を軸に置いたブロックでは、曲が終わるたびに場内から拍手が。さらに、原始の歪なムードを想起させる「BABYLON’S TABOO」では作曲者である麗(Gt)の荒ぶりと、新機軸であるがゆえの客席の戸惑いが好対照を見せていたが、そのぶん大きな変貌を遂げていきそうな予感を与えてくれた。

the GazettE/葵 撮影=Keiko Tanabe

the GazettE/葵 撮影=Keiko Tanabe

the GazettE/REITA 撮影=Keiko Tanabe

the GazettE/REITA 撮影=Keiko Tanabe

the GazettE/戒 撮影=Keiko Tanabe

the GazettE/戒 撮影=Keiko Tanabe

「ツアーの初日ってぎこちないじゃん。これがファイナルとなると大暴れなわけよ。だから今は今で、この空気を楽しもうよ」とRUKIも語った通り、曲を共に育ててゆく楽しみは『NINTH』を携えて初めて全国を廻る今回のホールツアー参加者だけの特権かもしれない。いや、むしろ『NINTH』という作品を完成させるのにオーディエンスが不可欠であることは、アルバムと同じく本編を締めくくった「UNFINISHED」の驚くほどストレートな言葉や、彼らの“青い”時代を彷彿させるサウンドからも明らかだろう。

そうして育てられた楽曲が持つ爆発力の凄まじさは、既発曲を並べたアンコールにハッキリと表れていた。例えば14年前にリリースされた「舐~zetsu~」などは、当時からは想像もつかないほどハイセンスなロックンロールへと生まれ変わり、12年前から歌い続けられてきた「Filth in the beauty」ではオーディエンスのジャンプが2階席を容赦なく揺らす。それらは全て『NINTH』の楽曲たちが辿るかもしれない未来の姿であり、事実アンコールの最中にRUKIはこう宣言した。

「ツアーが終わるころにはメチャメチャカッコよくなってるから。この『NINTH』ツアー、今までで一番良いツアーにしたいと思います。絶対激しくて熱くてヤバいツアーになるから、期待しててください」

the GazettE 撮影=Keiko Tanabe

the GazettE 撮影=Keiko Tanabe

ツアー初日ならではのぎこちなさの裏側に、これからどこへでも行けるという無限の可能性で胸をときめかせてくれたこの日。ライブは生き物である以上、一つとして同じものはなく、ましてやツアーが始まったばかりの今、その変化の幅は大きいだろう。また、アルバム曲の方向性が多彩なぶん、ステージで観ると各曲の個性が際立ち、音源とは比べ物にならないくらい立体的に感じられたのも収穫だった。加えて9月のホールツアー終了後、全国6都市11公演に及ぶスタンディングツアー『Live Tour18 THE NINTH / PHASE #02-ENHANCEMENT-』が開催されることも、この日の終演後に発表。PHENOMENON(=現象)からENHANCEMENT(=強化/高揚)へ――。ますます“UNFINISHED”なものとなった『NINTH』の世界を創り上げる全ての起点として、さらに重要性を増した本ツアーの辿る軌跡を、しかと見届けてもらいたい。

取材・文=清水素子 撮影=Keiko Tanabe

 

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