XIIX 注目の初ライブは、超絶技巧とあらゆるジャンルの粋を集めた極上の音楽空間だった

2020/02/06
XIIX Photographer:Viola Kam (V'z Twinkle)

White White  2020.1.27  マイナビBLITZ赤坂

誰もが知っている男たちによる、誰も知らないニュー・バンドが遂にヴェールを脱ぐ。1月27日、マイナビBLITZ赤坂、XIIX(テントゥエンティ)のファースト・ライブ。UNISON SQUARE GARDENのフロントマン・斎藤宏介と、作曲/編曲/ベーシストとして絶大な支持を集める須藤優。申し込みの時点ではデビュー・アルバム『White White』はリリース前であり、誰も音を聴いていないにも関わらずチケットが速攻ソールドアウトしたのは、この二人なら間違いないという安心感か、それとも予期せぬスリルを味わう期待感か。19時ちょうど、ピンと張り詰めた緊張感の中で開演の時が来る。

XIIX Photographer:Viola Kam (V'z Twinkle)

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1曲目「E△7」の最初の一音、予想以上の音圧の強さに思わずのけぞる。ドラムとキーボードを加えた4人編成のバンドは、アルバムの精密でクールな音色とは全く別の、非常にタフでフィジカルなサウンドだ。したたかにファンキーなリズムに乗り、切れ味鋭いカッティングを見せる斎藤と、歌うようにメロディックなベースを弾きながらコーラスも取る須藤。「こんばんは。XIIXです」――挨拶もそこそこに、ディスコっぽい踊れるグルーヴの「LIFE IS MUSIC!!!!!」へ。前を向いて歌とギターに集中する斎藤と、リズムをキープしながらもメンバーのプレイによく目を配っている須藤。何もかもが初々しい初舞台、二人の表情を見ているだけで楽しい。

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ミラーボール輝く「LIFE IS MUSIC!!!!!」から、真っ赤なライトがギラつく「XXXXX」へ。ヴォコーダーで歪んだ歌、ヘヴィにうねるサウンド、かきむしるギター。普段の斎藤を見慣れたファンが驚くようなシーンが続く。レゲトン風のリズムを持つモダンなダンス・チューン「Light & Shadow」はでは、須藤がファズを効かせたものすごいソロを弾いた。誤解を恐れずに言うならば、ここにあるのはロックではない。ファンク、R&B、ダンス・ミュージック、ロック、ヒップホップなどをブレンドした、新世代のポピュラー・ミュージックだ。

XIIX Photographer:Viola Kam (V'z Twinkle)

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「1曲目が始まったとき、誰一人動いてなくて、嫌われてるのかと思った(笑)。ここにいるみんなのためのお披露目ライブ、気楽に楽しんでください。ピチピチの34歳新人がお届けします。ふつつかものですが、よろしくお願いします」

斎藤のユーモラスなMCは、踊ることを忘れて見入っているオーディエンスを和ませ、同時に自分たちの緊張もほぐすためのものだろう。続く「Fantome」は、よりリラックスして親密に、アコースティック・ギターを抱えスツールに腰掛けてゆったりと。さらに、須藤がベース職人としての妙技をたっぷり見せるソロ「4:43 AM」をイントロ代わりに、斎藤と二人で奏でる美しいスロー・バラード「曙空をみつけて」へ。ベースと歌だけのデュオは、ある意味とても実験的だが、違和感はまったくない。美しいメロディ、リズムに縛られずに伸びやかにはばたく歌、そっと寄り添うベース、何もかもがロマンチック。

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今度は斎藤が一人ステージに残り、インスト曲「5:03 PM」をプレーする。ルーパー・エフェクターを駆使していくつものギターのフレーズを重ね、そこに須藤とバンドが加わり「夕映えに紛れて」に繋ぐ展開は、息をのむほどにファンタスティック。ミニマルな音のループから広大な音空間を作り出す、XIIXならではのマジカルな音作りの過程を垣間見られた一瞬。「Saturdays」では、スティックの代わりにマレットを使うドラマーの繊細なプレイを、ピアノとアコースティック・ギターが受け継ぎ、光と影が交互に入れ替わってゆくドラマチックな1曲。切ない郷愁をたっぷり秘めた、派手さはないがキラリと輝く逸品だ。

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「宏介と組んで、初めはどうなるかと思ったけど、一緒にやっていくうちにお互いのいいところを引き出せる関係になって、ああいう作品(アルバム)ができて、ライブに繋がりました。こんなにたくさん来てくれて、とても楽しいし嬉しいです。感謝してます」

あんまり表でしゃべる機会ないでしょ?という斎藤に促され、須藤もマイクを持つ。生真面目で朴訥、ほんのりユーモラスな優しいトーク。パーカーやタオルに描かれた、バンドのロゴをもじったキャラクターは須藤のデザインで、「トンテくん」というらしい。須藤いわく「ジャンルでいうと食パンくんといっしょ」らしいので、ユニゾンのファンも安心して買ったほうがいい。

XIIX Photographer:Viola Kam (V'z Twinkle)

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「アルバムの曲はあと3曲。でも僕たちのあふれ出る創作意欲が、新曲を書かせています」

斎藤が紹介した「新曲」は、須藤がシンセを叩き、斎藤が鋭いカッティングを決める、ファンクなミドル・チューン。早口のメロディにエモーショナルなフェイクも聴ける、かっこよく踊れる曲。音源化が楽しみだ。「ilaksa」は、アルバム・インタビューで須藤がお気に入りの1曲に挙げていた通り、ダイナミックスにステージを動き回って盛り上げ、斎藤も負けじと気合満点のブルージーなソロを決めた。ここでは、バンドとしての化学反応が確かに起きている。

XIIX Photographer:Viola Kam (V'z Twinkle)

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アルバムの中で最もロックな「Answer5」は、さらにラウドにパワフルに。4人が気合たっぷりのソロを決める、まるでブルース・バンドかジャム・バンドばりのプレイヤビリティの応酬に、バンド好きなら燃えずにいられない。特に斎藤のソロはとてつもなく巧い、速い、エモいの三拍子揃って、「巧いとは知っていたがこれほどとは」と唖然とするほど素晴らしい。ラスト・チューン「Stay Mellow」でも、ノイジーでクレイジーなソロを弾きながら、涼しい顔でラップを決める。XIIXの斎藤宏介は、持てるポテンシャルを存分に出し切っている。XIIXの須藤優は、バンドの一員であることを心から楽しんでいる。

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アンコール、まずはメンバー紹介。ドラマーは、よっちこと河村吉宏。キーボードは、かつて斎藤と共に「ガリガリボーイズ」と呼ばれていたらしい山本健太。さらに、ステージ袖に控えるマニピュレーター&DJのHIRORON。気心知れた、しかもスーパー・テクニシャンを揃えた最高のバンドを紹介する、斎藤の表情も誇らしげだ。

「僕らはまだスタート地点に立ったばかり。この5人で一歩ずつ階段をのぼって、長く長く続けていきたいと思います」

真面目なセリフを吐きつつ、「こんなにだらだらしたライブ、久々にやってるな」と笑う斎藤。決まりごとは何もない、ただ音楽の純粋な喜びだけがそこにあるXIIXのステージ。アンコールはまたも「新曲」で、緩急をつけたテンポの組み合わせと、ファルセットを交えた飛び跳ねるようなメロディが印象的な曲。二人が均等に作る楽曲の幅も、どんどん自由に広がっているようだ。

XIIX Photographer:Viola Kam (V'z Twinkle)

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「また6月に会いましょう。XIIXでした。またね!」

次のライブは6月、大阪、名古屋、東京の3か所に決まった。お披露目ライブを成功させ、確かな可能性の片りんを見せたバンドが、次にどんなビジョンを掲げるのか。新鮮な緊張感にあふれていたフロアの空気は、どう変わっていくのか。始まったばかりの新人バンドが、真っ白いキャンバスにどんな色を塗っていくのか。XIIXの未来には希望しかない。


取材・文=宮本英夫  撮影=Viola Kam (V'z Twinkle) 

XIIX  Photographer:Viola Kam (V'z Twinkle)

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