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ひらりさんのレビュー
わずかアルバム2枚で音楽大国の米英を制覇した感のある"Mumford & Sons"。彼らの初来日公演を観てきました。
今や世界規模でのスーパースターとなった彼らですが、日本での人気は「サッパリ」で、今回のキャパ2400人の会場ですらチケットが完売しないという有様。スタンディングエリアで押し合いへし合いを期待する衆にはなんともやりきれないだろうけど、じっくりとステージを観たい者にとってはチャンスな訳で、これは評価の分かれるところですな。
音楽ジャンルでは「カントリーロック」と評され、CDを聴いての印象のみでライブを「聴かせるステージ」と推し量って来場したものの、実際の演奏を眼前にすると、その予想が見事なまでに的外れであることを思い知らされた。アコースティックギター、バンジョーやウッドベースなどが奏でる音は、我が耳を疑うほどに力強く鳴り、手拍子や足を踏み鳴らすといった行為を観衆から次々に誘う。そればかりか、とても心地よく響く印象的なコーラスワークですら、ねじ込むようにグイグイと聴く者に迫ってくるのです。そして、それらに煽られて階下のスタンディングエリアで度々見られた人波のジャンプやうねりときたら、それはそれは凄かった。
カントリーというジャンルに持っていた私のチープな先入観なんて、一瞬にして木端微塵ですわ。
アンコールの"I Will Wait"では、場内が大合唱となって大興奮の終演を迎えたのですが、この素晴らしい演奏を行った4人の風貌ときたら、ダンガリーシャツやジーンズに身を包んだフツーのあんちゃん達。最後の曲を終えた直後のMCなんて「よろしくお願いしまーす」って、すっとぼけた一言しか言わないもんだから、客席みんなずっこけてた程。
まさか、こんなにスゲー音を鳴らすとは。ホント、人を見た目で判断してはいけませんな。
至高の音のみによる直球勝負を体感し続けた1時間30分。感動しない者などいる筈もなく、興奮した口調で感想を交わしながら家路につく人の多さがそれを物語っておりました。こういうステージは何度おかわりしたって飽きないですね。
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- 2020/10/23 (金) 18:29
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