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フェス特集2024

【ライブレポート】30周年を目前にした上杉昇がツアーファイナルで見せたのは、私たち日本人が誇るべき“Dignity(尊厳)”だった。

【ライブレポート】30周年を目前にした上杉昇がツアーファイナルで見せたのは、私たち日本人が誇るべき“Dignity(尊厳)”だった。

2021年12月4日にWANDSでのデビューから30周年を迎える上杉 昇。14ヶ月振りとなるバンド編成の有観客ツアーのツアーファイナル『SHOW WESUGI HEAVY TOUR 2021 Dignity FINAL 2021.5.2 SUN in SAPPORO SUSUKINO810』の収録映像が、上杉の49歳の誕生日である2021年5月24日にオンライン配信された。今回は、その視聴レポートをお届けする。

更新日:2021/05/28

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2021.05.24. @オンライン
HEAVY TOUR 2021 Dignity FINAL
SHOW WESUGI BIRTHDAY SPECIAL ON-DEMAND

2021年12月4日にWANDSでのデビューから30周年を迎える上杉 昇。2021年3月13日の浜松公演を皮切りに、ニューアルバム『Dignity』(ディグニティ/尊厳)をひっさげた『HEAVY TOUR 2021 Dignity』が始まった。14ヶ月振りとなるバンド編成の有観客ツアーだ。

そのツアーファイナル『SHOW WESUGI HEAVY TOUR 2021 Dignity FINAL 2021.5.2 SUN in SAPPORO SUSUKINO810』の収録映像が、上杉の49歳の誕生日である2021年5月24日にオンライン配信された。今回は、その視聴レポートをお届けする。

この夜のライヴは、昨年予定されていたツアーの延期公演。今回配信された映像には、ノーカットのライブ映像に加えて当日のリハーサル風景やバックステージ映像、メンバーインタビューなどが収録されている。まるでドキュメンタリーのように心に響く、約2時間半の配信だ。


3年ぶりの北海道となったツアーファイナル「死ぬ気でやろうかなと思っています」

ライブ開始前には今回の配信だけの特別映像が流れた。ツアーが延期決定から5月2日の開演の瞬間までを、当日のリハーサル風景と共に振り返る映像だ。

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映像が終わると、上杉 昇がステージに現れた。マイクスタンドの前に立ち、脳天に突き抜けるようなハイトーンの叫びで始まったのは、ニューアルバム『Dignity』でも1曲目を飾る「斬れ」。感染対策のために声援をあげられない観客の熱い気持ちを代弁するかのように、心に刺さる歌声で情熱的に歌い上げる。画面越しであっても、耳に響き渡るラストのハイトーンボイスには心が震える。

息つく間もなく始まったのは前アルバム『The Mortal』に収録されている「桜舞い錯乱」。低音から高音へと引き込まれるような歌声とステージ上から放出されるエネルギーに、曲名の如く錯乱に陥りそうだ。

最初のMCでは「紹介が遅れました、上杉です」から始まり、「北海道…」と想いの込もった言葉が会場に響く。延期なども重なり、上杉にとって3年ぶりの北海道となった今回のライブだ。想いがこもるのも無理はない。「ファイナルということもあって、死ぬ気でやろうかなと思っています」という一言に、会場は大きな拍手で盛り上がる。

MCを終えると、アルバム『Dignity』の収録曲である「荒野の獣」を白と赤のステージライトが輝く中、痺れるような色気ある声で高らかと歌い上げた。平田崇(Gt.)が生み出すアルペジオの空気感と地を伝うような上杉の痺れる歌声のハーモニーは、荒野の行軍を思い起こさせる。

続く曲「安息の希求」で、ステージは青く輝く。2020年夏にツアー幾度目かの延期が決まった頃に生まれたというこの曲。平田の重厚なリフに乗った上杉の叫びが、私たちの心にも突き刺さる。

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和やかなMCから一変し始まった曲は「黒い雨」

「安息の希求」に続くMCでは、自身のステイホーム中の過ごし方としてよく観ているというYouTubeについて紹介した。「風の時代」や「ハイヤーセルフ」などについて冗談を交えながら会場を盛り上げ、オーディエンスは笑顔に。メンバーの森美夏(Key.)の妊娠についても触れ、着替えの時に自身の好きな「ラストエンペラー」を弾いてもらった背景を話して会場を和ませた。

和やかなMCから一変して始まった曲は「黒い雨」。唸るような上杉の歌声に高揚していく会場。波打つオーディエンスの姿がカメラに映ると、視聴しているこちらまで気持ちが高まってくる。続くのは、壮大な世界観を持つ楽曲『濫觴』。ギターの音色、コーラスと共に情感のにじむ上杉の歌声がしっとりと耳に響き渡る。

森美夏による「ラストエンペラー」のピアノ独奏をBGMに衣装替えが終わると、地響きの如く鳴り響く前奏と共に登場した上杉 昇。不穏で緊迫したメロディにビートが躍動する中、痺れる声で「防空壕」を歌い上げた。

MCで「説明は割愛するが、自分にとっては特別な曲」と紹介し、歌ったのは前アルバム『The Mortal』の代表曲ともいえる収録曲「赤い花咲く頃には」だ。染み渡るような歌声がメロディに乗りオーディエンスを包み込む。その後にはアルバム『Dignity』収録の「消滅」が続く。2曲のバラードで、上杉の感情が、吸い込まれるような揺らぎを感じる歌声となり私たちの心を震わせる。


まもなく30周年。若いバンドにも負けない激しさで、会場はいよいよ熱くなる。

後半に差し掛かったMCでは、まもなく誕生日を迎えること、そして年末にデビュー30周年が迫ってきたことを語った。最近、積極的に若者のバンドを聴いていることにも触れて、「この後は若いバンドに負けないくらいの激しい曲が続く」と予告。そして上杉の「OK!!!」の叫びから、ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードによるユニット・Twoのカバー曲「I am A Pig」が始まった。重低音が強調される平田の7弦ギターとドラムが奏でるリズムに重なる上杉の歌声に、視聴している私までも自然と体が揺れ動いてしまう。

次の曲「dioxin」で、会場はいよいよ熱くなる。青く輝くサイリウムを手にした上杉が大きく腕を回して会場を煽ると、それにオーディエンスが同調し会場全体が青い光の波で包まれる。続く「カワラコジキ」は、「このままで大丈夫なのか? そんな筈はない。断じてない」と我々日本の民に強く問う言葉が並んだヘヴィナンバーだ。社会を風刺するような象徴的な映像が流れる中、上杉の叫びが私たちの心に問いかけてくる。

「アルバムの『Dignity』は聴いてもらえたかな?」と始まったアンコール前最後のMCでは、世界情勢に想いを馳せながら、タイトル曲「Dignity」に込めた想いを語る。自身のハイトーンボイスに情感を乗せ、歌詞の通り「命燃やし」ていくかのように静かに、そして情熱的に「Dignity」を歌い上げ、ステージを後にした。

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誇りを忘れた日本人がハッとさせられるような、最高にロックなアルバム『Dignity』

アンコールとなり、衣装替えをした上杉 昇が再びステージに戻ると、開催地である北海道、ひいては日本そのものに対する自身の想いを語った。そしてガンズ・アンド・ローゼズ(原曲はポール・マッカートニー&ウイングス)のカバー曲「LIVE AND LET DIE」を歌い、再び会場を熱くした。アンコールの2曲目はソロアルバム『L.O.G』に収録されている「LORELEI」だ。アンコール2曲に気持ちが最高潮に昂る中、最後は上杉の高らかな叫びでツアーファイナルの映像が締めくくられた。

誇りを忘れた日本人がハッとさせられるようなメッセージ性の高い楽曲の数々。そしてまた1つ歳を重ね、これまで以上に深みを増した上杉が力強いボイスで身を削るように歌い上げ、作り上げたステージ。上杉が魂を込め、完成まで約2年がかかったという、上杉史上最高にヘヴィでロックなアルバム『Dignity』を堪能できる収録映像であった。上杉の誕生日にも関わらず、逆にこちらがプレゼントをもらってしまったようだ。

ライブ映像後には、上杉をはじめ、メンバー一人一人からのメッセージ動画が添えられていた。コロナ禍で行なわれたライブについての振り返りや、無事にツアーを終われたことへの感謝、そしてコロナの影響で来場を断念されたファンの方々に向けた温かなメッセージと上杉へのバースデーメッセージが流れ、フィナーレを飾った。

なかなか通常通りにライブを楽しめない日々が続いているが、2021年5月26日に全国発売されたアルバム『Dignity』を聴いて、再び生のライブで彼らを目の前にできる日を楽しみに待ちたい。

[上杉 昇 うえすぎしょう]
1991年にWANDSのボーカリストとして19歳でデビュー。シングル11枚、オリジナルアルバム4枚を発表しシングル4枚、アルバム3枚でミリオンを達成するも、音楽的方向性の違いから'97年にギタリスト柴崎 浩と共に脱退しal.ni.coを結成、解散後は'02年よりソロとなる。'07年にはオルタナティブ・ロックバンド「猫騙」結成し長く活動を続けつつ、'18年からはソロ活動を活発化させ、ソロ・アルバム『The Mortal』を発表。2019年以降は岡野ハジメをレコーディング・プロデューサーに迎え、5枚のシングルを制作。2021年5月26日にはそれらすべてを含むオリジナル・アルバム『Dignity』をリリース。

オフィシャルサイト:http://wesugi.net
オフィシャルファンクラブ:https://jellyfish-hts.bitfan.id/
オフィシャルFacebook Page:https://www.facebook.com/ShowWesugiOfficial/
上杉 昇 NEW ALBUM『Dignity』特設ページ:http://wesugi.net/news/983

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通常盤 CD ¥3,000(+税)
OPCD-2211

[CD収録曲]
01.斬れ
02.dioxin
03.カワラコジキ(Full Length Version)
04.Dignity
05.安息の希求
06.黒い雨
07.I Am A Pig -Cover Of Two-
08.防空壕
09.荒野の獣
10.濫觴
11.火山灰[Not Song of War]
12.消滅
※上杉のレーベル/ポジョレコルYou Tubeチャンネルでは収録全曲の試聴映像を公開中
https://www.youtube.com/user/pojjorecord/videos

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初回限定盤 CD+DVD ¥4,000(+税)
OPCD-9211

[DVD収録曲]
01.カワラコジキ
04.防空壕
02.濫觴
03.斬れ
05.dioxin

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