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フェス特集2024

岸谷香&Unlock the girls待望のバンドツアーがスタート!岸谷、ガールズにツアーへの意気込みを訊いた

2023/11/14

2023年の岸谷香は、まさにライブ三昧! それは、彼女の音楽の魅力との新たな出会いの場が広がっているとも言えるが、11月からは彼女の音楽の本流とも言うべきバンド編成でのツアーがいよいよスタート。そこで、それに先立つ弾き語りツアーを展開中の岸谷にメール・インタビューを実施。11月からのツアーを一緒にまわるUnlock the girlsのメンバーへのアンケートの回答も折り込み、岸谷の現在の充実とツアーに向けての意欲を伝えよう。

──今年の岸谷さんは、まさに「ライブ三昧」という感じですが、それは意図したことですか? それとも結果的にそうなったという感じでしょうか?
岸谷 香私は歌だけではなく、作曲、アレンジ、楽器、全てに興味があるので、やりたい形、まだやった事ない形でのライブを欲のままに企画して、気づいたら2023年はパンパンでした。
──6月にはツーマン・ツアーがあり、また様々なフェスにも出演しています。そうした様々なアーティストの表現に間近で接するなかで、自分の表現に関してあらためて感じたこと、気づいたことがあれば、教えてください。
岸谷ツーマンをやって強く感じた事は、ドレミファソラシド(と黒鍵5コ)しかない、たった12コの音の組み合わせで作る曲、コード、なのにこんなに違うのか!?!?とびっくりでした。メロディーひとつ、コード進行ひとつ取っても、私の本能とは全く違って、例えて言うなら、同じ日本語でも、自分の土地の言葉と違う方言に違和感を感じるように、他のアーティストの曲たちはものすごく馴染みがなく、普段、基本的に自分の曲しか演奏しないので、もう面白くって面白くって、覚えられないし、下手くそだし、本当に衝撃的でした。そして、私の音楽は、私の本能であり、顔や足の形と同じように誰とも同じでない私の一部なんだと思いました。
──一昨年のソロ・ツアーからステージ・プロデューサーに立ってもらい、ライブに関していろんな意見を言ってもらっているのがすごくプラスになっているという話を前回のインタビューで聞きました。その成果は、バンドのライブにも影響がありますか。
岸谷多大にあります。客観的な目はどんなに努力しても持つことは不可能に近い事だと思います。周りのスタッフなどの目線での意見は、聞いたか聞かなかったかは別として(笑)、今までも沢山頂きました。でも、それはあくまでその人の主観だと私は受け止めてきました。何をどう伝えたい、どう観せたいからこのようにやってる。それが良いか悪いかではなく、観てる人の目に正しく映っているかが問題です。今、一緒にステージを作っているプロデューサーは、私がイメージしているゴールを理解してくれて、その上で、よりそう伝わる為のいくつかの変更点を指摘してくれます。上からでも下からでもなく、パートナーです。そして、同じ着地点を常に見つめています。
──11月からのツアーはUnlock the girls(UTG)としてのツアーになりますが、UTGのライブのセット・リストを考える際に意識すること、気をつけていることはありますか。
岸谷弾き語りはたった一人で全部なので、私の考えや想い100%です。でも、それ以上にはなかなかなりません。UTGは4人です。なので、私はキャリアやコンポーザーとしての立場は別として、自分が思いもつかなかった音を、アイデアを、ちゃんと3/4欲しいといつも思っています。もちろん、最終的に違和感のあることは却下しますが、それはバンドのボーカリストとしては当たり前の事ですから。UTGの時は、私一人じゃ絶対やらなかった事、思いつかなかった事を一つでも多く取り入れたいと思っています。“この子の言う事ならとりあえずやってみたい!”と思えるメンバー達ですから。やりたいけど出来なくて形が変わってしまう事、やりたくないって人が居て形が変わってしまう事、それがバンドだと思うからです。
──あらためてガールズ・バンドの楽しさについて聞かせてください。男性とやるバンドとは違う面白さ、音楽的な個性について、岸谷さんはどんなふうに感じていますか。
岸谷ガールズバンドの最大の魅力は、ただの職人でなく、見た目にも楽しい華やかな集合体である事です。あ、昨今は、ただの職人として成功する程、バカテク、ハイテクな女性ミュージシャンもいるのでしょうけれど、「自分のことをみてほしい」という欲を持ち合わせた女の子は、キラキラした何かを放ちます。その華やかな光が、私の多幸感に溢れる音楽ととてもしっくりくるのです。
──そのなかで、Unlock the girlsの個性、魅力はどんなところにあると感じていますか。また、バンドのプロデューサー的な立場にもある岸谷さんとしては、その魅力や個性をより際立たせるために何か意識していることはありますか。
岸谷UTGは、私(56才)と3人のメンバー(89年生まれ33才)とで20才以上もの歳の差があります。つまり、聴いてきた音楽が全く違います。一番最初に8ビートのミディアムの曲を演った時、どーやってもなんか16ビートのグルーブを感じてしまうんです。確かに8ビートを演奏してるのに。その時、“これはなんかすごく面白い事になるのでは”と予感しました。私にとって「当たり前」の事が彼女達には「初めてだ~こんなの」とか、その逆もたくさんありました。6年かけて、いっぱい飲みながらお互い聴いてきた音楽をYouTubeでおススメし合ったり、「それって元はコレじゃーーん」とおススメし返したり、とにかくなるべく沢山の時間を共有する事を考え、努めてその時間を作ってきました。丁度、子育てでポッカリ穴のあいていた時代が、彼女達の今を作った時代だったので、本当に話が通じなくて、かえって真っさらな心で彼女達の音楽を受け止められたし、知らなかった、抜け落ちていた時代を知れて、サイコーです。ライブもなるべく一緒に行ってます。近年、レッチリ、ハリースタイルズ、キンブラ、ボストンポップスオーケストラ…。次はマネスキン、みんなで行きます!!私にとっては、世代を越えて、心から繋がっている友達、仲間…なかなか居ないですよーーそんな友達。有難いし、人生何倍も楽しくなりました^_^。いつも意識してる事は「全員、好きなよーにやってるか!?」です。
──Unlock the girls結成から5年余り経ちました。その時間のなかでUnlock the girlsのなかにもいろいろな変化があったと思いますが、一番変わったと思うポイントは?
Yuko(Gt/Cho)一番変わったというか、せっかちな香さんに合わせて順調に進化したポイントは「話が早くなった」ところだと思います。4人で回数を重ねてきて、プレイの好みとかクセもわかってきたので、香さんとギターのパートを振り分けたりする時にも悩む時間がぐっと減りました。新曲とかライブ用のアレンジをする時も気軽なアイデア出しを出来るようになってきたし、実際みんなで音を出して合わせた時になんか違うなって思うと、即、次のアイデアを。遠慮なく今の4人で出せる音を次々と組み立てて行くスタジオでの時間が最高に楽しいです。
HALNA(Ba/Cho)言葉で説明が無くても「あぁこれね」「あれね」ということが通じやすくなったと思います。
Yuumi(Dr/Cho)個人的に5年前といちばん違うのは、自分の意見を主張するようになった事です。最初はついて行くのに必死で、バンドにおける自分は楽しみながらもすごく探り探りでした。5年の中でいろんな経験をさせてもらって結構考えは変わってきて、“このバンドでの自分はきっとこうかな?”から“ありのままの自分がいてこのバンドはこう。が良い”って思うようになりました。自分がワクワクするほうを主張してバンドに乗っかっていく事がきっと良いだろう!と信じて意見を投げられるようになった事が大きいです。みんなそこに耳を傾けて受け入れてくれるし、昔よりバンドとして強く音にも出てる気がします。5年前の一音と今の一音ではみんなの自信が違います(笑)。みんなパワフルになってます。
Yuko(Gt/Cho)Photo by umihayato
──逆に、Unlock the girlsは全然変わらないなあと思うことがあれば、教えてください。
Yuko世代が違うからこそ、聴いてきたアーティストやジャンルが違うのでそれを踏まえた音楽情報交換はまだまだ尽きないです。音楽の幅を香さんに広げてもらったし、香さんも私達からの情報をすぐ吸収するし、私達がオススメしたアーティストでも新しい視点で逆に気づかされることもあったり。最近では香さん発案で一緒にオーケストラを観に行って、また世界が広がりました。違うバックボーンがあるからこそ、これからも刺激をお互いに与え続けられたらと思います。
HALNAみんなお酒が大好きで、音楽が大好きなところ。ここ数年はみんなで一緒にライブを観に行ったりする事もあります。
Yuumiチャレンジすること。“出来るかどうかじゃなくて、とりあえずやってみる!”を常にやってるバンドだと思います。私自身もドラムやりながらのコーラスは厳しいと思ってやってこなかったんですが、このバンドでチャレンジしてからは、今では無い選択肢は無い!って思うくらいバンドの強みになってると思ってます。みんな演奏しながらメイン・ボーカルかってくらいコーラスするし、香さんも歌いながらエレキギターで沢山チャレンジしてて、出来るまではみんな発狂しまくってますが、目的に向かう姿勢は常にあって、達成感と自分の技に変えてく喜びがこのバンドには変わらずあります。
──バンドというのは、「集まって一緒に演奏すればバンド」というわけではないと思います。この5年余りの時間のなかでUnlock the girlsが“バンドになったなあ”と感じた場面があれば、教えてください。
Yuko今年みんなで一緒に長野にボイトレを受けに行った時に泊まった宿で、同じ部屋で布団を並べて敷いて一緒に寝た時、“めちゃくちゃバンドしてるなあ!”って改めて強く思いました。音を一緒に鳴らすのはミュージシャンとしては普通の時間ですが、それ以外の遊びだったり旅だったりの時間を共有してメンバーとの思い出が増えていくと、友達でも家族でもない、音楽の仲間「バンド」。6年目もそれは順調に育っていってます。
HALNA先日私が体調不良でライブを欠席してしまった時、2日前に急遽代打の方に演奏して頂きました。普段なら「これで交代になってしまうのでは」などと不安になることもあったと思いますが、今は4人でバンドだと心の底から思えるので全く不安なくお願いすることができました。
Yuumi私は音楽を好きなまま無理せず楽しく続ける事を大切にしていて自分の在り方やバンドの形にこうじゃなきゃいけない!ってハードルを上げたくないので、ただ一緒に集まってただ演奏を重ねるだけでも勝手にバンドになると思ってます。どんなに頻繁に会ってても時間が空いても、その都度 必ずみんなそれぞれの変化があるのが当たり前だし、それがあってこそ人として音楽として面白いし、どんな変化があってもこのメンバーで受け入れてこれたし、受け入れてもらえたから、Unlock the girlsはバンドだと思います。たわいもない会話とか、スタジオ休憩でコーヒー飲んだりする時とか、一緒に同じライブを観に行ったりとか、それぞれの時間をバンドの為に使うって事がなんだかんだバンドになってる気がします。
HALNA(Ba/Cho)
──ズバリ、今回のツアーの見どころは?
Yuko久しぶりのUnlock the girlsでのワンマン・ツアー。久しぶりの長めのセットリストでやりたいあの曲、この曲。ライブでレア曲になりつつある、あの曲を今の私達が鳴らしたらめっちゃ楽しいことになりそう! 前回のツアーから空いてしまった分、その間に学んだいろんなことをぎゅっと詰めて、Unlock the girlsの新しい魅力としても表現したいな。ライブでしか聴けない、味わえない。そんなアンサンブルを是非生で聴いてほしいです!
HALNAバンド結成から時間も経ち、4人での表現の方向性も定まり、いろんな曲を演奏できるようになったと思います。今回のツアーではそんなガールズのいろんな顔、新しい一面も音楽で表現できればと思うので楽しみにしていてください!
Yuumi年々バンドの音数が減って、香さんがマイク一本で勝負する曲もあるんですけど、それってバンドの芯が強くなってるんだと思うんです。楽器の音数で厚みがあると安心感があるんですけど、それを敢えてしないっていうのは演奏的にはパートごとにシビアさはあるんです。素材勝負というか誤魔化しがきかないところがあるので、ダイレクトにそれをロックで解放するっていうカッコ良さがあると思います。香さんがハンドマイクで演奏はガールズ3人に任せてくれてる事に自信を持てるし、持ち前のシャウトを思い切り出せるように後ろからバンバン音に圧をかけて後押ししたいと思ってます。これまでより、もっと自由に音楽を楽しむ4人の音を楽しみにしていてほしいです。

岸谷 香『STAY BLUE』MV

──ズバリ、今回のUnlock the girlsツアーの見どころは?
岸谷私は自分でも呆れる程、ギャルバン好きです。そもそもバンドに魅せられて音楽家になったようなもんです。なので、ひとり旅(弾き語り)の後のバンド・ツアーは、毎回、私自身が“バンドって最高!”“UTGサイコー♡”とキュンキュンしながらステージに立っているので、セトリなどの内容についての見どころではありませんが、私が40年間魅せられ続け、この先も死ぬまでその魅力に取り憑かれたままであろう、その「バンド」の楽しさ、エネルギー、一人では絶対にできない世界観を、観ている方もその仲間の一人として感じて楽しんでほしいです!
──2024年はデビュー40周年ということになりますが、岸谷さんとしてはどんな1年にしたい、どんな1年にしようと考えていますか。
岸谷2024年。デビュー40周年。私、57才。持って生まれた才能と本能だけで歌ってこれた20代、30代とは、心も体も決して同じようにはいかなくなってきている年齢です。なので、75才、80才を目指して歌い続けるには、敢えてギアチェンジ、又はシフトチェンジをする事が必要になるターニングポイントなのかも…とヒシヒシと感じている今日この頃です。イベントなどでご一緒させて頂く偉大な先輩シンガー達を目の前で見て、聴いて、ものすごく痛感しています。この先を幸せに豊かに歌い続ける為に、大切に過ごす一年にしたいと思います。
──最後に、現時点でのミュージシャンとしての野望を聞かせてください。
岸谷最近、やっと楽器達(ギター、ピアノ)と少し意思疎通ができるようになってきました。心が想った音やフレーズを、前より楽器が鳴らしてくれるようになりました。やっとです(笑)。 私は、楽器が大好きなミュージシャンです。なので、声もギターもピアノも、心のままに鳴らせられるミュージシャンになるのが最終的な目標です。あ、でも、チャンスがあったら、誰かステキなシンガーのバンマスとしてライブを一緒に作ったり、ツアーをまわったり…死ぬまでに一回してみたいなぁ。できれば、可愛くて、歌のいい女性シンガーの!!(←やっぱり女性笑)

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