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フェス特集2024

【ライブレポート】鈴木桃子、”渋谷系揃い踏み”野宮真貴とCOSA NOSTRA盟友を迎えた30周年ライブ、感謝と次なる展望へ

2020/03/02
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ex.COSA NOSTRAのボーカリストで現在はソロのシンガーソングライターの鈴木桃子が去る2020年2月10日、渋谷Pleasure Pleasureにてデビュー30周年を記念したワンマン・ライブ<Premium Peach Party!>を開催した。ゲストにCOSA NOSTRAの盟友・小田玲子と佐々木潤、さらに野宮真貴(ex.ピチカート・ファイヴ)を迎え、”渋谷系揃い踏み”のスペシャルな顔ぶれと共に、アニバーサリーに相応しいプレミアムでプレシャスな一夜の模様をお届けする。

オープニングはとびきりポップで胸弾むソロ楽曲「Friends&Lovers」で幕を開け、桃子が満開の笑顔で登場、場内は瞬時にハッピーなオーラに包まれる。前回公演のベスト盤リリース・ライブと同じ盤石のバック・ミュージシャンに加え、今回はゆうき&たろうによるコーラス陣を迎えたことで、より華やかかつ洗練されたサウンドが実に心地良い。「お久しぶりー、会いたかったよ!」の言葉と共に次曲「Marmalade」へ、心躍るポップチューンの連投にオーディエンスはハンドクラップと共に着席スタイルをものともせず身体を揺らしている。

曲明けには、規模を大きくしてのホール公演を迎えられた感謝の気持ちを述べ、メンバー紹介を経て、「With Your Kisses」「Angel Blue」「So Happy」と歴代の珠玉のラブ・ソングを披露。彼女が各時代に紡いできたこれらの楽曲達を並べて堪能すると、傑出したシンガーでありながら非常に優れたソングライターでもある事を改めて思い知る。とりわけ「So Happy」は二十歳の頃に書いたとは思えぬ渋さと風格漂うブルージーなバラードだが、当時の彼女自身がこの先も長い年月を掛けて歌い続けていく事を予見していたかのように、今の彼女にしっくり来るのだ。
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続くMCでは<鈴木桃子ヒストリー>と題して、彼女が歌い始めたきっかけから現在までを振り返る貴重なエピソードを展開。有名広告代理店でのOL兼業シンガー時代やCOSA NOSTRA加入秘話などを笑いを交えつつ語る中、 「自分は良い人に恵まれる才能がある」―周囲への感謝と共に、まさに鈴木桃子そのものを表すその一言が印象的だった。

続いて彼女のキャリアの上で欠かせない側面のひとつ、旧姓・北代桃子名義で発表したアニメ『シティーハンター』挿入歌の「FOOTSTEPS」を披露。昨年2019年に劇場版、及び実写版フランス映画が公開、リバイバル大ヒットを果たした際に同曲が30年超を経て再起用された言わば”奇跡の1曲”で、この曲を目当てに足を運んだ多くのファン達は歓喜に溢れていた。
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ここからはゲスト・コーナー、一人目はCOSA NOSTRA時代の盟友・佐々木潤が登場。DJセットとのセッションで、二人が手掛けたコーザのチルアウトな名チューン「Be Yourself」では場内がスタンディングとなりメロウなグルーヴに酔いしれワイパーが沸き起こる。そして”これから二人で新ユニット始動”を宣言し、その名義が<Visible Tangible Love>と発表。史上初披露となる第一弾楽曲「Cosmic Angel」はビター&スウィートかつスタイリッシュなハウス・チューンで、その煌めく近未来感が今後の新展開に期待を募らせずにはいられない。
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二人目のゲストは、「長年尊敬する”クイーン・オブ・渋谷系”!」と桃子の呼びかけで野宮真貴が登場。桃子がピチカート・ファイヴ作品へコーラス参加や英詞提供など関わりはあったものの、意外な事にステージ初共演となる両者。二人のハーモニーが実に好相性な「きみみたいにきれいな女の子」、弾けるポップに胸が高鳴る「Happy Sad」を披露。野宮真貴の艶やかな佇まいと凛としたその歌は眼福そのもので、念願の共演に桃子自身も嬉しそうだが、オーディエンスからも長い長い幸せな溜息がこぼれていた。
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さらに三人目のゲスト、「私のソウルメイト」と呼び込まれたのはCOSA NOSTRAのツイン・ボーカルのパートナー小田玲子、9カ月前のベスト盤リリース・ライブでの久々の共演が大好評を博し、各所からの熱いリクエストに応えての再登場だ。コーザのナンバー「Springtime Kiss」「Sweet Child」と、二人のボーカルがひときわ光る楽曲を披露。桃子・玲子が揃ってステージに並ぶ光景はノスタルジーに終始せず、音楽と共に今をポジティブに美しく生きる二人が実に眩く、歌に新たな息吹をもたらして響いてくる。次に「レコーディングではスカパラ・ホーンズが参加してくれたけど、今日は違うホーンズを呼びました、ノストラ・ホーンズ!」…と呼び込みしたかと思わせて、おもむろに桃子・玲子が取り出したのは、かつてコーザのライブでたびたびお目見えしていた楽器・カズー。「心のきれいな人にはこれがトランペット、トロンボーンに聴こえるはず」と笑いを誘って「Communication」へ。続いてライブ映えするスーパーポップなキラー・チューン「Let’s Sing and Dance」で熱気と高揚がみるみると帯びていく。「もっとコーザノストラの曲、聴きたいー?」と桃子の声掛けに客席から大きなリアクションが返ると「Girl Talk」へ。CMソングに起用されFM局を席巻したコーザの代表的ナンバー、観客も”Never gonna fall in love”のフレーズを共に口ずさみ一体感がさらに増していく。極めつけは「Living For Tomorrow」、コーザ随一のロック・チューンは腰に来るグルーヴと合わせ、クールに変幻する桃子・玲子のステージングが魅惑的だ。アウトロではコーザのライブでのお約束、「Peace, Unity, Love!」の合言葉で最高潮の盛り上がりを見せ本編を終えた。
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アンコールでは桃子が改めて感謝とこれからの想いを語り、「笑顔でいられたら大抵のことは乗り越えられる」と、闘病を経て見事復活を遂げた彼女ならではの胸に響くひとことを述べ、「Share Your Love」へ。COSA NOSTRAの象徴的楽曲のひとつであるこの詞とメロディーは、今この時代にこそ共感したい、人々の心を豊かにする普遍的なメッセージだ。そして「ずっと歌を届け続ける」という桃子自身の意志を強く感じさせる気高さを備えた堂々の歌いっぷりであった。オーラスはゲスト全員を呼び込み「Jolie」を披露、客席は総立ちとなりシンガロングで多幸感に満ちた光景が広がる中、笑顔と胸いっぱいの愛と最高の音楽に溢れた一夜が幕を閉じた。

鈴木桃子の今後の予定は、2020年4月10日(金)代官山LOOPにて、ZOOCOや国岡真由美と共に90年代音楽をフィーチャーしたライブ・イベント<FLASH BACK 90’s Vol.2>へ出演する。さらにCOSA NOSTRA作品群のサブスクリプション配信開始、及びアナログ・リリース決定がアナウンスされた。リリース時期は追って決まり次第の発表だが、これを機に小田玲子と共にCOSA NOSTRAを歌う機会が増えそうな予感に期待が高まるばかりだ。

[メンバー]      
鈴木桃子(Vo)河野伸(Key)高田真(Dr)大神田智彦(B)石成正人(G)坂井"Lambsy"秀彰(Per)ゆうき&たろう(Cho/ダイナマイトしゃかりきサ〜カス)

[スペシャル・ゲスト]
野宮真貴(ex.ピチカート・ファイヴ)小田玲子(ex.COSA NOSTRA)佐々木潤 (ex.COSA NOSTRA)

文:上田優子
写真:石郷友仁

◆鈴木桃子オフィシャルサイト:https://www.momokosuzuki.com/
◆鈴木桃子レーベル・サイト:https://www.sonymusic.co.jp/artist/MomokoSuzuki/

◆Amazonリンク(鈴木桃子& COSA NOSTRAベスト盤)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07NRF9PLG

[セットリスト]
M-1 Friends&Lovers
M-2 Marmalade
M-3 With Your Kisses
M-4 Angel Blue
M-5 So Happy
M-6 FOOTSTEPS
M-7 Be Yourself
M-8 Cosmic Angel
M-9 きみみたいにきれいな女の子
M-10 Happy Sad
M-11 Springtime Kiss
M-12 Sweet Child
M-13 Communication
M-14 Let’s Sing and Dance
M-15 Girl Talk
M-16 Living For Tommorow
Encore1 Share Your Love
Encore2 Jolie

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