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フェス特集2024

くるり×秦×岡本(COIL) 『待ち人のフェイバリットvol.2』開催!

2013/08/02

待ち人2

待ち人が「最高の待ち人」に出会う音楽的チャンスミーティング“待ち人のフェイバリットvol.2”が7/31(水)、鳥取・境港シンフォニーガーデンにて開催された。“境港サウンドアミューズメント”との共同開催となった本公演は、6月2日に日比谷野外大音楽堂にて第一回目が行われ、出演者同士のリスペクト溢れる共演が話題を呼んだ“待ちフェイ”の第二弾となる。

今や世界で活躍する境港出身のドラマー・あらきゆうこ。オノヨーコ、チボ・マット、CORNELIUSほか多くのアーティストが絶大な信頼を寄せ、サポートドラマーとしての活動は国内外に及ぶ。レコーディング・セッションの数にいたっては枚挙にいとまがないほど多忙を極める彼女だが、これまでにも故郷・境港(鳥取県)では様々な音楽イベントを企画してきた。

今回、あらきの“待ち人”として招かれたのは、彼女と縁の深いミュージシャン、くるり、秦 基博、岡本定義(COIL)の3組。小さな港町の会場を埋め尽くしたのは地元はもとより、全国から集まった幸運なファン400名。チケットは30分も経たずに即完だったという。場内に足を踏み入れた観客からは「やばいくらいにちっちゃいね……」という声が。手を伸ばせば届きそうなステージ、そこに間もなく現れる“待ち人”をイメージして胸が高鳴るのは誰もが等しく同じであっただろう。昂る期待と熱気が会場を満たしながら、それでもどこか長閑でゆったりとした時間を感じさせたのは、境港ならではの町の雰囲気のせいかも知れない。

トップバッターとして登場したのは秦 基博。この夏、全国のフェスに飛び回る彼にとって、今日はすでに5本目のイベント出演である。「いい空気感ですね~、待ち人のフェイバリット」と呼びかけ、まずは最新シングル「言ノ葉」からスタート。アコースティック・ギターの弾き語りとは言え、バラードからアップテンポまで見事なフリースタイルで聴かせ、小さなホールのスケール感をあっという間に塗り替えてしまった。「キミ、メグル、ボク」で観客は総立ちに。そしてあらきを呼び込むと「パーカッションではなく、一度やってみたかった」(あらき)という<ドラムセット×アコギ>による二人だけのセッションで「鱗(うろこ)」を披露。この日最初のコラボレーションは、まさに他では聴くことのできない、唯一無比のスケールを感じさせるものだった。

秦に続いては岡本定義が登場。「COILのアルバムレコーディングの真っ最中にもかかわらず勇気をふりしぼってやってきた」(岡本)そうだ。「歌い手の魅力を引き出すことのできる名ソングライター」(あらき)と賞賛される彼が1曲目に選んだのはChappieへの提供曲「バス待ち」(’99作)だった。ちなみにCOILとくるりは同期で、それぞれのデビュー作「天才ヴァガボンド」と「東京」は同年同月同日リリースである。実はこの日、お互いのセットリストにその2曲があった。待望のセッションはあらきゆうこを呼んでの「ミュージック」。そして岡本パートのラストナンバーは秦、そして岸田も加わって4人で「BIRDS」を。「この曲を選んだのは岸田くん」(あらき)「途中でくるりっぽいフレーズが出てくるけど、それはCOILっぽくもあるんです」(岸田)との曲フリがあり、歌い出しは岸田から。<岡本・岸田><秦・岡本><秦・岡本・岸田>と展開する3人のハーモニー、岸田のギターソロに、ボトムはあらきのドラム、と見事な「BIRDS」が鳥取の空に放たれた。

そしていよいよ、くるりが登場。水木しげるの故郷でもある境港のステージに立つや「くるりというバンドも妖怪みたいなものですから」(岸田)と笑いを誘い、ファンファンのトランペットを号砲に最新曲「ロックンロール・ハネムーン」を披露。「WORLD’S END SUPERNOVA」「ばらの花」ほか、音楽ファン垂涎のセットリストでビートをつないでいく。佐藤征史とあらきの“歌う”リズム隊の相性は言うまでもなく、くるりとあらきの相性の良さは白眉ものだ。あらきとの出逢いを振り返り、「恋みたいだった」「つまり、まあ、、、好きや、ということやな」(岸田)と照れながら語り、本編最後の曲は「東京」で締めくくられた。

アンコールではまず岸田と秦が登場。盛大な拍手は温かさを増し、やがて息を呑むような静けさに変わった。何も言わずに二人だけの演奏が始まり、歌い出したのは秦。初めて聴く二人だけのハーモニー、二人の元・男の子による「男の子と女の子」。秦の大好きなくるりの曲だそうだ。岸田の表情から時折りこぼれるとびきりの笑顔が印象的だった。続いて、ステージ袖で見守っていた出演者達が“待ちきれない”とばかりに集合セッションへと突入。アンコール2曲目、くるりのナンバー「宿はなし」も秦のリクエストによる選曲らしい。ラストは秦のオリジナルで「グッバイ・アイザック」。この日最高潮の盛り上がりで、境港の真夏の夜の競演が幕を閉じた。

大好きなミュージシャン同士が惹かれ合うように出会い、ステージ上でその思いを共有しながら共に音を鳴らすのが “待ち人のフェイバリット”というイベントの醍醐味のひとつであることは間違いないが、それを同時に享受できる観客もまた“待ち人”である。イベント公式HPには清水浩司によるESSAYや、笹原清明、奥山由之の写真も掲載され、公式facebookでは当日の実況レポートやイベント事後のエピソードほか、出演者による“待ちうた”選曲リストやインタビューなどを楽しめる。梅雨空の東京都心から真夏の港町へと舞台を移した“待ち人のフェイバリット”が今後どのような展開を見せるかに期待したい。自分の町に“大好きなミュージシャンがフェイバリットに挙げるミュージシャンと連れ立ってライブにやってくる”、そんな妄想を抱きながら次回の開催を待ちわびてみるのもきっと悪くないだろう。


公式WEBサイト http://www.office-augusta.com/machibito/
公式Facebook https://www.facebook.com/machibitono

イベント名/待ち人のフェイバリットvol.2~Port Town Crossing~
supported by 第7回境港サウンドアミューズメント
開催日時/2013.7.31(wed)
会場/境港シンフォニーガーデン(鳥取県)
出演/あらきゆうこmeets くるり、秦 基博、岡本定義(COIL)

【SET LIST】
https://www.livefans.jp/events/172429

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■ Live Fansのイベント情報ページ
[待ち人のフェイバリット vol.2 supported by 第7回境港サウンドアミューズメント] https://www.livefans.jp/events/172429

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