細美武士、ホリエアツシ、岸田繁、TOSHI-LOW、スカパラ、塩塚モエカ、のん、岸谷香が集結したアジカントリビュートをはじめ、豪華セッションが実現した『ARABAKI ROCK FEST.26』初日、濃厚レポート!

2026/06/10
ASIAN KUNG-FU GENERATION NANO-MUGEN at ARABAKI

25周年だから25のセッション企画を目指してブッキングしたところ、「全然断られなかった」ので、30近いセッションが実現し、まさにメモリアルな年になった2025年のARABAKI ROCK FEST.。そして、次の新しい四半世紀へ向けてスタートした2026年のARABAKIは、場内のレイアウトや一部のステージの趣旨をリニューアル、かつ、「東日本大震災から15年」をコンセプトとして開催された。結果、今年も大きな成功を収めた、と言っていいと思う。セッションの数は去年より少ないが、それぞれの濃さは去年に勝るとも劣らないものだった。今年は多かった初出演のアクトたちが、おそらく「ARABAKIだから」すさまじく気合いの入ったステージをやってのけた。常連組のこのフェスに対する思いは、言うまでもない。というふうに、さまざまな「いい要素」が揃ったゆえの成功だったのではないか、と思う。マイナスポイントは、2日とも晴天に恵まれたものの、初日の夜がかなり寒かったことぐらいだが、それも4年前の雪に比べれば全然いいよね、という話だ。

では以下、レポをお届けします。セッション企画が最優先、その次の優先は今年初出演のアクト、という方針のもと、開演から終演まで(いや、1日目は「ほぼ終演まで」だ)ひとりで観て回っているので、「え、なんでこのアクト観てないのよ?」というのが大量にありますが、ご容赦いただければ幸いです。

川崎中学校吹奏楽部

開催地=国営みちのく杜の湖畔公園がある町、宮城県柴田郡川崎町の川崎中学校の吹奏楽部が、初日の陸奥ステージのトップを務めるのは、毎年の恒例である。が、あたりまえだが、生徒たちは3年で卒業していくので、年々顔ぶれが変わっていくのだが、そんな中、今年はひとつ、新しい報告があった。今年のステージに加わった2人(左後方で振り物などを担当)を含む、コロナ禍でステージに立てなかった元部員の5人と、前顧問の齋藤正彦先生で、「川崎ウィンズオーケストラ」を結成した、とのこと。その齋藤先生が「HOT LIMIT」(T.M.Revolution)で1曲、現顧問の遠藤大地先生がそれ以外の4曲で指揮をとり、ラストは入部4日目だという新入生14人も加わって盛り上げた。セットリストは、「Diamonds」(プリンセス プリンセス)「Paradise Has No Border」(東京スカパラダイスオーケストラ)、「HOT LIMIT」(T.M.Revolution)「愛の花」(あいみょん)、「明日も」(SHISHAMO)の5曲でした。

川崎中学校吹奏楽部

川崎中学校吹奏楽部

ストレイテナー

川崎町の小山修作町長の挨拶に続いてステージに上がったストレイテナーは、「Melodic Storm」でスタート。中盤でホリエアツシ、小山町長が挨拶の中で「灯り」の歌詞を使ったことに触れ、「引用してくれたんですが、今日、用意がなくてですね。『SIX DAY WONDER』という曲をやります」と、キーボードに向かう。後半のセッションは、w.o.d.のサイトウタクヤと「KILLER TUNE」、そしてAge Factoryのステージにホリエがゲスト出演した昨年と逆に、Age Factoryの清水英介を呼び込んで「TRAVELING GARGOYLE」を、共に歌った。なおホリエ、今朝、仙台駅で会場行きのバスに乗る時、スタッフに「マキシマム ザ ホルモンさんですか?」と言われた、と報告、爆笑を取る。寝坊してそのバスに乗り遅れたOJ(大山純/ギター)、その時その場にいなかったことを、大いに悔やんでいた。

ストレイテナー×サイトウタクヤ(w.o.d.)×清水英介(Age Factory)

ストレイテナー×サイトウタクヤ(w.o.d.)×清水英介(Age Factory)

のん & the tears of knight(Gt.&Vo.のん/Gt.古市コータロー/Ba.ウエノコウジ/Dr.古市健太)

開催前のこのフェスのプロデューサーのGIP菅真良氏のインタビューによると、菅氏が結成に関わったという、ギター古市コータロー、ベースウエノコウジ、ドラム古市健太=the tears of knightと、のんの、初のライブがこの日。全員黒スーツでコータローはネクタイも黒、という出で立ちで、2曲目で「このみなさんと出会わせてくれた曲をやります」と、「バードメン」(THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)をカバーして、オーディエンスを狂喜させる(※2024年の『オハラ☆ブレイク』で、彼女はこの曲をコータロー&ウエノと一緒にカバーした)。「のん & the tears of knightなので、涙の曲を持ってきました。戦闘態勢の涙です、聴いてください」と曲に入った「クライミー」(作詞は樋口愛で作曲はひぐちけいの姉妹コンビの提供曲)では、大きなハンドクラップが津軽ステージを包んだ。

のん & the tears of knight(Gt.&Vo.のん/Gt.古市コータロー/Ba.ウエノコウジ/Dr.古市健太)

のん & the tears of knight(Gt.&Vo.のん/Gt.古市コータロー/Ba.ウエノコウジ/Dr.古市健太)

OAU

東日本大震災から15年だから、15歳以下は無料とした今年のARABAKIに必要不可欠な存在、OAUのゲストは、このために今年のARABAKIに来た大木伸夫(ACIDMAN)と、今年はELLEGARDENで出演した細美武士。大木はOAUの「世界は変わる」とACIDMANの「世界が終わる夜」。「大木伸夫さんのです」と、LOW-IQ 01 が持って来たハットをかぶったTOSHI-LOW、その姿で大木のMCを真似るなど、さんざんいじり倒して爆笑を取りながら「戦争はやめよう、平和に暮らそう」というメッセージを織り込む、という離れ業を成し遂げてから、「世界は変わる」に入る。2コーラス目から登場した大木、TOSHI-LOW&マーティンと共に歌唱したあと、間奏で「20年間いじられ続けてます」。細美はthe HIATUSでジェイミー・ブレイクと歌った「Souls」と、OAUのレコーディングにコーラスで参加した「Where Have You Gone」で、マーティンと美しく声を重ねる。TOSHI-LOWはギターとハープ。細美「いいね、ARABAKI、こういうのができて」。ラストはもちろん「帰り道」で締め。いつまでも余韻が残った。

OAU×細美武士(ELLEGARDEN/the HIATUS/MONOEYES/the LOW-ATUS)

OAU×細美武士(ELLEGARDEN/the HIATUS/MONOEYES/the LOW-ATUS)

優里

「24歳までバンドをやっていたが、全然うまくいかなかった。その頃、東北でサーキットのイベントに出られる機会があったが、ノルマを払うのが無理であきらめた。その後、二度と呼ばれなかった。今日はありがとう。音楽をやっていると、聴いているみんなに背中を押される、自分も押せたらな、っていう曲です」。ラストの「ビリミリオン」を歌い前にそんなMCをした、ARABAKI初出演の優里。アッパーな曲も、バラードも含めて、すべての瞬間から全力であることが伝わってくる全9曲。4曲目に歌われた「ドライフラワー」では、1コーラス終わったところでドーッと拍手が湧く。6〜7曲目の「ヒーローがいない街」と「告白直前酸欠状態」では、ジャンプ→ハンドクラップ→タオル回転、と、オーディエンスのアクションが続いた。

優里

優里

ASIAN KUNG-FU GENERATION NANO-MUGEN at ARABAKI

おそろしく豪華でおそろしく楽しい、まさに夢のような時間だったので、セトリとゲストをそのまま書いていきます。なお、アジカンはメンバー4人&キーボードGeorge&コーラスAchicoの6人編成。

1 「MAUAKE」と2「Wake Up」 NARGO、北原雅之、GAMO、谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)
3 「リライト」 ゲストなし
4 「転がる岩、君に朝が降る」と5「世界で一番熱い夏」岸谷 香
6「Re:Re」 ゲストなし
7「Beautiful Stars」 のん
8「Burning」と9「触れたい 確かめたい」 塩塚モエカ(羊文学)
10「Little Lenon」と11「青い空」 岸田繁(くるり)
12「フラッシュバック」と13「鼎の間」 TOSHI-LOW(OAU/BRAHMAN/the LOW-ATUS)
14「TENDER」 ホリエアツシ(ストレイテナー)
15「虹」 細美武士&ホリエアツシ
16「遥か彼方」 北原雅之、GAMO、谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)/細美武士/ホリエアツシ

北原雅彦を(スカパラのメンバーとして)ARABAKIで観れるのは、これが最後(スカパラの出番はこの2つ前だったので)。のんの「Beautiful Stars」は、ゴッチの作詞作曲とアジカンの演奏でレコーディングされた曲。塩塚モエカは、今年はこのためだけにARABAKIに来て、ハンドマイクで歌った。岸田繁とアジカンは、「Little Lenon」は岸田がプロデュースした新バージョンが1年前に出ているので読めたが、「青い空」は「うわあ、そう来る!?」「いや、でも、そうよね確かに」などと言いたくなる最高の選曲だった。「勢いで(Tシャツで)出て来ちゃったんだけど、寒いね。それくれよ、そのビートたけしのセーターみたいなやつ」と言われたゴッチ、「マジで着ます?」と脱いでTOSHI-LOWに渡し、「え、いいの?」とTOSHI-LOW(サイズが合わないのに)、着る。みんな大笑い&拍手。その後、ふたりが歌った「鼎の間」は、絶句モンのすばらしさ──。

ASIAN KUNG-FU GENERATION×岸田繁(くるり)

ASIAN KUNG-FU GENERATION×岸田繁(くるり)

などなど、頭から最後まで「今この場にいてよかった!」と心から思う瞬間だらけだったが、個人的にはアジカンと岸谷香の2曲に、もう本当に、やられた。アジカンの演奏で岸谷香が歌う「転がる岩、君に朝が降る」、ゴッチが岸谷香と一緒に歌う「世界で一番熱い夏」。塩塚モエカのような、初めてアジカンと一緒にやった人まで含めて、他のゲストたちは、今後またアジカンと共にステージに上がる可能性があると思うが、岸谷香は別ではないか。同じ日の出演だったから、そしてARABAKIだったから、実現したのではないか。本当にマジカルな時間だった。

ASIAN KUNG-FU GENERATION×岸谷香

ASIAN KUNG-FU GENERATION×岸谷香

ヒグチアイ(for CAMPERS)

会場でキャンプする人たち限定の、深夜の部の最初のアクト。なかなかフェスに呼ばれないし、呼ばれてもあんまり盛り上がらない。どうしたらいいのか、と思っていたが、天々高々を始めて、(よく呼ばれるし、すんごい盛り上がるので)「ああ、そういうことだったのか」とわかった──と、ご本人からきいたことがあるのだが、ヒグチさん! このシチュエーションならいけるじゃないですか! バッチリじゃないですか! と、言いたくなった、観ていて。このシチュエーションってどんな? 22時過ぎの宮城の山の中の野外で、ひとりひとりが厚着して黙って座っていて、白い息を吐きながらステージを観ている、そんなシチュエーションです。この人のライブ、普段からマメに観ているつもりだが、その中でも最高レベル、パフォーマンスもオーディエンスも含めて。「わたしのしあわせ」「ひと匙」「悪魔の子」「わたしの代わり」と来て、最後に「劇場」、というセトリも大正解だったと思う。

ヒグチアイ

ヒグチアイ

いいちこ presents ENKAI -二〇二六荒吐の回-(for CAMPERS)

今年初めてARABAKIで企画された、吉本興業が行っている、お笑いと音楽のコラボ・イベント『DAIENKAI』のARABAKI出張版。ダンビラムーチョが漫才をやって、ヒグチアイが2曲やって、ダンビラムーチョがヒグチアイとトークしつつ、大原優一が「信濃の国」を和太鼓を叩きながら歌う。ナユタが漫才をして、関取花が2曲歌って、その二者でトーク。オズワルドが漫才をして、T字路sが2曲やって、その二者でオズワルドが出囃子にしている「コンビニエンスマン」を歌う&演奏する。という内容だった。「信濃の国」をヒグチアイと原田フニャオに歌わせて太鼓を叩くべく、「冨安四発太鼓保存会会長武内重夫」になって出て来た大原はじめのボケを、ヒグチアイが「イヤな感じです」と切り捨てる。ナユタのおのはらが「歌で報告します」と突然弾き語りで関取花の「報告」を歌い、関取花、大感激。T字路sとオズワルドのセッションで「ギターを練習して来た」と言う伊藤、まったく弾けないまま曲が終わる。などなど、終始爆笑の時間だった。毎週土曜は13時から東京でラジオの生放送があるのに、オファーを受け、会場まで駆けつけてMCとして場を仕切ったグランジ遠山さん、特に、おつかれさまでした。なお、会場に着いてから観れたのはアジカンの途中までで、翌朝東京にとんぼ返りだったそうです。この数週間前にばったり会った時は、「初日は観れない分、2日目はいっぱい観ます!」と、はりきっておられたのに、その後、仕事が入ってしまったのだと思われます。

ナユタ×関取花

ナユタ×関取花

文=兵庫慎司 撮影=Team SOUND SHOOTER

※開催前のARABAKIのプロデューサー菅氏のインタビューはこちら

※2日目のレポートはこちら

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