レトロリロン、Ayumu Imazu、Lucky Kilimanjaro、muque、ハク。、名誉伝説ら「ステージで高い熱量を発している旬のアーティスト」が集結『FM802 Rockin’Radio! -OSAKA JO YAON-』 レポート

2026/07/17
『FM802 Rockin’Radio! -OSAKA JO YAON-』Lucky Kilimanjaro

『Daiwa House presents FM802 Rockin’Radio! -OSAKA JO YAON-』2026.6.27(SAT)大阪・大阪城音楽堂

2026年6月27日(土)、『Daiwa House presents FM802 Rockin’Radio! -OSAKA JO YAON-』が大阪城音楽堂で開催された。このイベントは「今あなたに見てほしい。注目のアーティストが初夏の野音に大集結!」と言う言葉の通り、FM802が“今見るべきライブがズバ抜けて素晴らしい”面々をラインアップ。2013年からスタートした音楽好きや早耳リスナーが毎年注目している野外音楽イベントだ。

今年開催ギリギリまで観客、アーティスト、スタッフや主催者までもハラハラさせたのが天候。前日から関西に接近していた台風の影響&当日はダブル台風も……という天候事情により、超ギリギリまで開催の可否がわからない状態。しかし祈りが通じ、当日朝に予定通り開催という判断に! 当日は開演直後は雨に見舞われたものの、徐々に止み湿度こそあれど暑さのない1日に。出演者にAyumu Imazu、ハク。、muque、名誉伝説、Lucky Kilimanjaro、レトロリロン、そしてオープニングアクトにやさしいみらいの7組が顔を揃えた『Rockin’Radio!』の模様をお届けしたい。

FM802 DJ 板東さえか、田中乃絵

FM802 DJ 板東さえか、田中乃絵

「また雨降ってきちゃいましたね~」と舞台に登場したのは、FM802 DJの田中乃絵と、12時まで生放送でその声を届けていた板東さえか(この時の時刻はなんと12時半! オープニングは田中1人で……の予定だったものの、板東の熱意と猛ダッシュにより放送終了からわずか30分で到着し2人での登場となった)。これまでタイムテーブルは非公表だったこのイベント、今年は天候などのこともあり初めて事前にタイムテーブルを公開していることが告げられる。そんな2人から紹介されたのはオーディションアクトのやさしいみらい。このイベントへの出演をかけて開催された『Rockin' Radio!』と音楽ディストリビューションサービス『FRIENDSHIP.』の共催オーディションを見事に勝ち取った彼ら。「なんと今日が大阪初ライブになります!」という田中の弾んだ声で、2026年の『Rockin’Radio!』が幕を開けた。

やさしいみらい

「雨でも楽しもうね!」という夢句(Rap)の言葉と共に「moonlight」で始まったやさしいみらいの大阪初ライブ。松本レン(Vo.Gt)、松本カイ(Ba)、小泉至(Dr)、ナツナ(Key)、サポートの日髙海翔(Gt)とスズキユウタ(Sax)が繰り出す多彩な音、天候をもろともしない堂々かつ派手な……選ばれた理由が“見える”パフォーマンス。“ホイ!”“コー!”“ロー!”のコール&レスポンスで観客を巻き込んだ「回鍋肉」、ぶっといベースラインと巧みなキーボードがグイグイ引っ張る「少林」、サンバホイッスルに先導された踊れるロックに会場が湧いた「Ready」まで、わずか4曲。まだ見たい、もっと見たいと思わせる圧倒的なパフォーマンスのインパクトと、この“見つけてしまった”衝撃こそ『Rockin’Radio!』。ブラボー! としか言いようのないオーディションアクトだった。

名誉伝説

本編トップを飾ったのは、こたに(Vo)とけっさく(Gt)による“グッドミュージック製造バンド”名誉伝説。リハではライブで演奏予定のなかった「BABY POWDER」もサラリと演奏し、その歓声の大きさからも注目度が窺える。雨も小降りになり、けっさくの軽快なカッティングが耳を捉えた「共犯者」、ドラマチックなメロディーに手拍子が湧いた「シャバイライ」でライブが走り出す。ずっと雨雲レーダーと睨めっこしながらソワソワしていたというこたには、「みんなの顔が見られてホッとしています」と笑顔だ。続いて、2024年8月にFM802のヘビーローテーションに選ばれたラブソング「ナビゲーター」が野音に響き渡る。

彼らのアーティスト性を浮き彫りにしたのは「トランスファー」と「What is ×?」。ノスタルジックさが顔を出すこの2曲では複雑なメロディーをサラリと歌い上げるこたにの表現力が見事で、彼女の声が作り出す音に誰もが体を揺らす。その後も「地獄でスキップ」「ルビを振れ」「プロポーズ文句」まで、全8曲を披露。それぞれの曲のよさをふわりと提示してくる、肩の力の抜けっぷりが気持ちいいパフォーマンスを見せた。ちなみにライブ中クールにギターを弾き続けたけっさくが、去り際で観客に向けてブンブン両腕を振っていたのは……なんか、すごくよかった。

ハク。

この日の出演者の中で、最もパワーみなぎるロックなステージを展開したのがハク。だった。あい(Vo.Gt)、カノ(Ba)、なずな(Gt)、まゆ(Dr)、4人全員が黒の衣装で登場。いよいよ天候が回復の兆しを見せ、顔を出した太陽がより煌めくような音像の「頭の中の宇宙」が1曲目。グンと加速するように「dedede」、新曲「宇宙船ハート号」、2025年1月のFM802ヘビロに抜擢された「奥二重で見る」へとリレーする。あいのキュートな歌声、透明感ある美しいコーラスワーク、耳に届く女性性とは対極の激しい演奏とサウンドが脳にブッ刺さる。

この場所に立つのは約5年ぶりだという彼女たち。「晴れてとても嬉しいでーす!」というあいの言葉に、カノが小躍りするように手を挙げたのはいいシーン。そしてここからラストまでの3曲は、怒涛かつ混沌、見ているこちらの感情もグチャっとかき混ぜられるようなパフォーマンスだった。骨太なギターの音に貫かれた「なつ」からサビでは観客もタオルを回して応戦した「回転してから考える」へ。


そしてラストとなった「それしか言えない」はとにかく4人がそれぞれの音に向き合いながら音をかき鳴らしていく姿が何よりかっこよく、見惚れるほど“今出せる音”に向き合っていて痺れた。そしてライブ終了直後、9月にメジャー1stフルアルバムのリリースを発表した4人。まだまだ勢いは、止まらない。

muque

ライブ前後の物販の行列がとにかく長かったのも印象的だったmuque。2026年からAsakura(Vo.Gt)、takachi(Dr.Track make)、Kenichi(Gt)の新体制となって、既に何度目かの大阪のステージだ。まるで地鳴りのような「自由に音楽を楽しもうねぇ!」というAsakuraの叫びで「Bite you」であっという間に全ての人を巻き込む。打ち込み音が融合した踊れる音に飛び跳ねる人が続出した「Ghost」「feelin’」でその動きは加速。彼らのライブの素晴らしさは音にもあるが、何よりパフォーマンスを立体的に見せてくれるところにある。特にtakachiがクルクルとドラムスティックを回しつつ叩くことを楽しむ姿や、Kenichiが飛び跳ねたりステージを行き来しながらギターを演奏する姿は、何より本人たちがライブを面白がっていることが伝わってくる。

Asakuraの声の魅力がグッと引き出される「desert.」を挟み、<I LOVE YOU/I WANT YOU/I MISS YOU/I NEED YOU>の大合唱を巻き起こした「HAPPY GROOVY」、Kenichiのギターがグイグイと楽曲を引っ張る「Good Luck, Have Fun」、間髪入れずに「The 1」へ。バンドが作り出す音の圧で耳がすっかり支配され、muqueの音楽的にタフな一面が顕になる。

ライブ中、終始「もっといけるだろ、大阪!」と煽り続けたAsakuraがキュートでポップな一面を垣間見せた「Bouquet」まで、彼らが持つポテンシャルを喰らい続けた数十分。MC中、Asakuraが「私が2回歌うけん、みんなも一緒に歌って欲しいです」と不意に出た福岡の言葉も、最高に可愛かった……!


Lucky Kilimanjaro

「リベンジ果たせて嬉しかった!」――Lucky Kilimanjaroにとって今年の『Rockin’Radio!』はこれに尽きた。2023年の同イベントに名を連ねていた彼ら。メンバーの体調不良による出演キャンセルを経て、この日を迎えていたからだ。育休中の大瀧真央(Syn)を除く、熊木幸丸(Vo) 、松崎浩二(Gt)、 山浦聖司(Ba)、ラミ(Per)、柴田昌輝(Dr)が挑んだ今年のステージは、サンバのリズムが体と心を弾ませた「踊りの合図」で幕を開けた。

ラッキリのライブは音が鳴り出した瞬間からラストソングまで曲をつなぎ、踊らせ続けるのが彼らの真骨頂。ビビッドな7色のライトが野音をダンスホールに変えた「350ml Galaxy」、「Kimochy」と観客の期待にガッチリ応える定番ソング、ジメジメだったこの日に音でギラつく陽射しさえ感じさせた「太陽」へ。彼らの曲を聴いていると、本当に“踊らにゃ損”だと思う。

イントロが聴こえただけで会場から\最高!/の声が飛び大合唱が起こった「Burning Friday Night」~「KIDS」を重ね、熊木の「こっから早いぞ!」という言葉をキッカケにギアはハイへ。「I'm NOT Dead」「Dancers Friendly」という、たとえ初見でも爆踊り必至の2曲でフロアを踊らせたかと思ったらラストがすごかった。​

「楽しい美味しいとりすぎてもいい」を始めると、この日演奏しながら常に踊り、盛り上げながらギターを演奏していた松崎が客席へと突入。後方エリアまでお客さんとハイタッチしながらやってきて、芝生でライブを楽しんでいた子どもたちの頭を撫でたり話しかけたりして会場の全てを巻き込むパフォーマンスを展開。マジ、全員参加のわちゃわちゃダンスタイム! 終了後、観客のざわめきと歓声が収まらなかったのが、何よりの賛辞だった。


Ayumu Imazu

ロック/バンド色が強い『Rockin’Radio!』において、シンガーソングライター&コレオグラファー&ダンサーのAyumu Imazuのパフォーマンスは少々異色に、そして異次元に映った。ベース・ドラム・キーボードのバンド3名とダンサー4人を従え、ステージに登場。前半は「CLASSIC」「Sugar Rush」「Obsessed」「GG」と、最新アルバムの楽曲に人気曲を差し込む構成。彼の体の動きの圧倒的な複雑さとしなやかさ、それを軽やかに歌いながらやってみせることへの驚きと、音やリズムが重要なダンスを伴うパフォーマンスを生バンドに合わせていることへの衝撃が観客の目を釘付けにする。

地元大阪での公演への喜びを伝えつつ「ここからはチルい感じで……僕の本気を見せます」という言葉に会場がザワァ。その言葉通り男の色気とダンスのキレが同居した「Bassline」、音に合わせて細かいフリが怒涛のように展開していく「HOWL」へ、チーム・Imazuとして完成度の高いパフォーマンスを重ねる。

続いたポップチューン「Where Do We GO!」ではみんなでタオルをぶん回したりImazuの号令で知らない人同士観客全員が肩を組んでヘッドバンキングをしたりする“記憶に残る光景”を作り出したかと思えば、Imazuもギターを抱えバンドメンバーと4人だけで柔らかく「Home」を披露。短い時間の中で彼の持つ才能を見事なグラデーションで示されたことで、もっとロングセットを渇望してしまう。そんな最高の“焦らし”を残すステージだった。

レトロリロン

2026年の『Rockin’Radio!』、トリを飾ったのは涼音(Vo.Ag)、飯沼一暁(Ba)、永山タイキ(Dr)、miri(Key)ら、レトロリロン。「大阪、良かった! 晴れて! 最後、いい時間にしよう!」という言葉がサウンドにも現れた疾走感溢れる「リコンティニュー」、ホーンの音も華やかさを添えた「ラストハンチ」でライブが滑り出す。野音の開放感を増幅する涼音のドラマチックなハイトーンボイスが、公園の緑に映える。

天候が不安定な1日の中、この時間まで残ってくれたことへの感謝を伝えながら「我々、雨バンドと言っても過言ではないくらい各地に雨を降らせてきました……」と笑わせる。そんなリラックスムードの中、冒頭2曲よりグッと攻撃的なイントロと飯沼のベースのグルーヴが顔を出す「DND」、そして「FAQ」では超変則的な音の展開で自身の音楽的モンスターぶりを見せつける。これこそがレトロリロンの凄みだ。

観客から飛ぶいくつもの「最高!」の声を受け止めながら、初めて大阪城野音に立った喜びについて素直に「幸せでした」と涼音。そしてライブ終盤でラララの合唱も起こった「アンバランスブレンド」。曲中で涼音がステージから軽やかに飛び降り、歌を紡ぎながら前方から後方エリアへ。そして戻りながら途中で会場を横断してまたステージへ戻る場面も。ラストを飾った「UNITY」は、この日を締めくくるにふさわしい疾走感と爽やかさが心を貫く1曲。日常に彩りを与えてくれるのが、彼らの放つ楽曲の持ち味でもある。全6曲を通して心に残ったのは、今日このイベントが開催されたことへの多幸感だったように思う。




終演後、MCを務めたFM802 DJの田中乃絵と板東さえかに感想を聞いた。

板東「本当にお客さんに助けられました。楽しむ気満々、っていう空気が充満していたんですよ。アーティストとお客さんの双方にその空気が例年以上に強いのを感じました」

田中「今年は出演アーティストの音楽性が幅広くて、でもみんな真ん中に音楽があったことと、みんなの“好き”の気持ちを持ち寄って、いいよね? いいでしょ! ってシェアしている感じがあるいいグルーヴの1日でした」

板東「いいグルーヴだったよね。タイムテーブルを初めて出したのも新たな試みだったし、お客さんのレトロリロンを見届けたいっていう気持ちも見えたし。そういうあったかい空気も充満していた『Rockin’Radio!』だったし、“みんなで作った1日”という感じがすごくしましたね」

何より感じたのは、イベントのコンセプトが大きく拡張されるような1日だったということ。これまで「今ライブを見てほしいアーティスト」という基準で、バンドを中心にした出演が続いていたが、その雰囲気をガラリと変えるAyumu Imazuのパフォーマンスで風向きが変わった気がする。“ステージ上でより高い熱量を発している旬のアーティスト”へと、グッと広がったイメージだ。

さぁこの日の出演者は、ここからどんな活躍をしてくれるのか。また、来年はどんなアーティストに出会えるか。私たちの音楽ライフは、まだまだ充実していきそうだ。

取材・文=桃井麻依子 写真提供=FM802(撮影:ハヤシマコ・阪東美音)

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