Rei「ファイナルを迎える頃には5倍ぐらいかっこよくなっているのでまた来てください!」――ツアー初日に見た圧倒的パフォーマンス
2026/07/22
Rei Solo Tour 2026 “Traveling with Guitars”
2026.6.26 横浜にぎわい座
卓越したギタープレイとボーカルを、その表現の芯に持つシンガー・ソングライター/ギタリスト、Reiがタイトル通り彼女の相棒であるギターとともに6月13日(土)から全国各地を回っている『Rei Solo Tour 2026 “Traveling with Guitars”』の3本目となる6月26日(金)の横浜にぎわい座公演の熱演の模様をお届けしたい。
ちなみに、今回の全17公演という本数は、いつしか10年を越えていたReiのキャリアの中でも最多なのだそうだ。
このタイミングで自身最長のツアーにバンドセットではなく、ソロパフォーマーとして挑んだ理由を、この日、彼女は次のように語った。
「人間は身体能力には限界があります。今が自分にとって、技術を向上できる最後のシーズンだと思っています。私は世界一のギタリストになりたいと思っているんです。そのためにはもっと自分を向上させないといけない。バンドのツアーももちろん楽しいんですけど、ギター1本でどれだけみなさんの心を躍らせられるか、解放できるか挑戦してみようと思いました。人の心ってとてつもなく重い。動かすのが大変なんです。だから、自分が表現者として、プレイヤーとして、成長するための最高の機会だと思って、敢えてソロツアーを回ることにしました」
徳島と香川、そして横浜の3公演を通して、Reiが大きな手応えを得たことは、前掲の発言に続けた彼女の言葉からも明らかだったが、それはこのレポートの締めくくりに使わせてもらう。まずは順を追って、レポートを進めていこう。
ライブは、意志の強さを連想させる伸びやかな歌声とともにアコースティックギター(ギブソンLG-2)でパワーコードのリフをちょっとゲイン高めの音色でかき鳴らしながら、スウィンギーな「Tumblin’」でスタートした。長年のファンには何を今更かもしれないけれど、念のため書かせていただきたい。ソロだからって、ギターの弾き語りだなんて思うなかれ。そこはテクニックとエモーションをあわせ持つギタリストとしても名を馳せるReiだ。早速、リフをルーパーでリフレインしながら、ソロを重ねてみせるが、それはほんの序の口に過ぎない。
たたみかけるようにスピーディーなカッティングを閃かせたファンキーなロックンロールの「U R GOIN’」では同時にブルースハープを鳴らし、続く「B.U.」ではドラムヘッドに“Guitar Queen”と書かれた足元のドラムをドスドスドスとキックしながら、ボトルネック奏法でスライドフレーズを唸らせ、さらにはプレイの途中にビブラスラップも鳴らしてみせる。
曲が持つファンキーな魅力はもちろん、アクロバティックとも言えるそんなエネルギッシュなパフォーマンスに1階席のみならず、2階席からも歓声が上がった。
そして、「1-2-3!」というカウントからテクニカルかつファンキーなリフをかき鳴らして、とどめを刺すようになだれこんだ「COCOA」では、間にジュニア・ウェルズの「Messin’ With The Kid」を連想させるリフを挟みながら、ともに白熱していったギタープレイ、歌に観客がワイプで応え、満員の客席が一つになる。
「忘れられない時間になったらと思い、いっぱい曲を用意してきました!」
観客の拍手喝采の中、改めてこの日、ライブに臨む思いを語ると、ギブソンLG-2をマーティンOMC-18Eに持ち替え、序盤のファンキーな盛り上がりから一転、今度は1曲1曲、曲に対する思いを語りながら、フォーキーな歌心を楽しませていった。
数曲の歌を聴かせるメローなオリジナルに加え、カバー曲も2曲、セットリストに織りまぜる。そこにいるだけでその場を明るくできる太陽のような存在への憧れを語ってから演奏したクラシックギタリストのアンドリュー・ヨークのインストナンバー「Sunburst」は、倍音の豊かな響きをたっぷりと味わわせるテクニカルなフィンガーピッキングも聴きどころだったが、名前を呼んでほしいという切ない乙女心を歌った「Call My Name」が、歌っているうちにいつしか聴く人の存在を肯定する曲に変わったと語ったことと合わせ、その2曲の流れからは、彼女が理想と考えるアーティスト像が活動を続ける中で変わってきたことを想像させたりも。
そして、「あなたも、あなたも(と観客に語りかけ)、私の味方をしてくれたすべて人に歌いたい」とファンに対する感謝を語ったビートルズの「With a Little Help from My Friends」のカバーは、言葉通りの意味でソウルフルという表現がふさわしい熱唱が観客の気持ちを鷲掴みにした。
すでに書いた通り「With a Little Help from My Friends」のオリジナルはビートルズだが、歌い終わってから語ったところによると、Rei自身は1968年の『ウッドストック・フェスティバル』でジョー・コッカーが歌ったバージョンがお気に入りなのだそう。また、3番の日本語の歌詞は、彼女が「気分で(笑)」で書いたのだとか。
後半戦は、再びギブソンLG-2に持ち替え、ステップを踏みながらロックンロールなリフをかき鳴らした「Route246」からテンポアップ。曲の途中、「メンバー紹介!」と声を上げたReiがギブソンLG-2に加え、「マーティンOMC-18E!」「フェンダーRei Stratocaster R246!」とステージでスタンバイしているギターの名前を呼んだことからも彼女がこの日、弾き語りにとどまらないパフォーマンスを繰り広げようと考えていたことや、彼女にとって、ギターは単なる伴奏のための楽器にとどまらない、言ってみればバンドメンバーに匹敵するくらい大事な存在であることが窺えた。
そこから広義のロックンロールナンバーを繋げ、ぐんぐんと盛り上げていく。ゴスペルのオプティミズムが滲む「SODA!」はデビュー10周年記念のタイミングでリリースした音源にシックのベーシスト、ジェリー・バーンズが参加していたことに因んで、途中にシックの「おしゃれフリーク」のフレーズを加える遊び心も聴きどころ。スウィンギーな「Lonely Dance Club」はパンチのある歌声に観客が拍手喝采を送る。そして、「New Days」ではエレキギター(フェンダーRei Stratocaster R246)に持ち替えると、存分に歪ませた音色でソロを閃かせ、凄みを見せつける。
エレキギターを持ったとたん、まるで人間が変わったみたいだ。
そうなると、もう止まらない。エレキをかき鳴らしながらシャウトしたReiはそのまま足元のドラムをキックしながら、リック・デリンジャーによる1974年のヒットナンバー「Rock and Roll Hoochie Koo」のカバーになだれこむ。フラッシーなギターソロは、まさにキラーの一言。
そこから加速したままアップテンポなナンバーで繋げ、本編最後の曲では、「声を聞かせてくれますか? Are you ready!?」と煽って、それに応え、シンガロングした観客とコール&レスポンスしながら一体感とともにクライマックスにふさわしい盛り上がりを作り上げていった。
そして、バスドラのキック2発をキメてエンディングを迎えたものの、観客の興奮も、Rei自身のまだまだ演奏したいという気持ちもともに収まるわけがなく、再びギブソンをかき鳴らしながら、アンコールもたっぷりと披露。
バンドセットに勝るとも劣らぬ熱演に観客が快哉を叫んだ。長尺のソロはまさに圧巻の一言。
そしてジャンプでエンディングと思いきや、最後はジャンプからバスドラのキックを1発キメたのだった。これだけの熱演を繰り広げながら、Rei自身はまだまだ伸びしろがあると感じているのだから頼もしい。
「ツアーファイナルを迎える頃には、この5倍ぐらいかっこよくなっているので、またライブに来てください!」
ギタリストとしても、シンガーとしても、持てるすべてを存分に見せつけるこのツアーは、9月17日(木)の渋谷さくらホール公演まで続く。ちなみに、普段は寄席として使われることが多いこの横浜にぎわい座を含め、近い距離で彼女のパフォーマンスを見られることも今回のツアーの見どころになっている。
取材・文=山口智男 撮影=石川雄斗
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ライブ情報
7月31日(金)大阪・大阪中央公会堂 中集会室
■オフィシャルサイト https://guitarei.com/


















