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フェス特集2024

The Cheserasera、初のワンマンツアーファイナルで果たしたWWWリベンジ!

2016/07/01

6月26日、東京WWWにてThe Cheseraseraがセカンドフルアルバム『Time To Go』を引っ提げ、バンド史上初となるワンマンツアーのファイナル公演を行った。

このWWW公演は彼らにとって、リベンジのステージでもあった。

2014年にメジャーデビューを果たしたThe Cheseraseraは翌年、ファーストフルアルバム『WHATEVER WILL BE, WILL BE』をリリース。MCで宍戸翼(ヴォーカル/ギター)はメジャー1年目当時の未熟さや迷いや葛藤を口にしたが、それでもバンドはなんとか歩を進めていた。

だが、予期せぬアクシデントに見舞われる。宍戸、そして西田裕作(ベース)が相次いで体調を崩し、リリースツアーのファイナルにあたるワンマン公演をキャンセルするという事態が起きた。その時の会場が、WWWだった。


そんな中、危機的状況からの起死回生の1枚としてリリースされたミニアルバム『YES』。この作品が彼らを新境地へと導いた。自らの弱さと徹底的に向き合った上で、それを肯定して、前を向く。それが彼らの選んだ新しい戦い方だった。

そして“今がその時”という意味を込めて名付けられた今作『Time To Go』は、『YES』と地続きの嘘偽りのないメッセージに加え、音楽的にも好奇心旺盛な1枚となった。

作品をより自分たちらしく届けるために、彼らは自らの意思でワンマンツアーを行うことを決意。美代一貴(ドラム)の発案により来場者特典としてメンバーが監修したミュージックビデオを収録したDVDが配布されるなど、とにかくメンバーが能動的に動き、考え、ツアーの成功に注力してきた。その集大成であるファイナル。The Cheseraseraは、より強く、あたたかい、しなやかで雄弁なバンドへと成長していた。


照明が落ちると、お馴染みの「Que Sera, Sera」のSEをかき消すほどに盛大な拍手が3人を出迎えた。

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『Time To Go』の表題曲「ファンファーレ」でオープニングを飾ると、颯爽とした演奏が勢いよくステージから飛び出してきた。普段はどちらかと言えば爽やかな印象のある曲だが、この日はエネルギッシュに男くさい音で鳴らす。そのただならぬ気迫はフロアにもすぐに伝播し、サビを迎えた瞬間に照明が明るくなると、一斉に観客たちの手が上がった。

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そのまま、美代のドラムが全力疾走する「まっすぐに」を披露。脂の乗ったバンドの“今”の調子の良さをうかがわせた。

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程なくしてスタート時の粗熱が取れ、躍動感をキープしながらも表現力に磨きがかかってくる。美しいアンサンブルをじっくりと聴かせる「Day after tomorrow」、西田による饒舌なベースラインで魅せる「Youth」を経ての「LOVERS」で、度肝を抜かれた。ヒリヒリとしたギターイントロと宍戸のクールでセクシーな歌が相まって、バンドのダークサイドが垣間見える。Aメロ、Bメロで抑え込んだフラストレーションを爆発させるかの様な荒々しいサビから一転、美しいコーラスワークで魅せる曲終盤に、思わず圧倒された。

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この日、彼らの進化を感じたのは、どちらかと言えばこういったミドルテンポの曲だった。『Time To Go』というアルバム自体が、それまでの彼らの作品よりスローテンポな曲が多く収録されていることに通ずるのか、ミドルテンポの曲における表現力が格段に上がっていた。

象徴的だったのは、宍戸の弾き語りで始めた「ラストワルツ」から、「今日はワンマンだし、せっかくだから身の上話を」とエモーショナルなMCを挟んでの「AIR PLANE」という流れだ。セットリストとしてもちょうど折り返しにあたる大事な局面に彼らが選んだのも、ゆったりとしたバラード2曲だったのだ。

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MCでは宍戸が「自分の正義を信じてほしい。俺は俺の正義を信じてるから」と語った。この日彼は「自分たちの音楽は、憂鬱な日常に色を添えたり、そっと背中を押すものである」という趣旨の言葉を何度も口にしていた。それは宍戸翼というソングライターがたどり着いたひとつの「答え」であり、それを彼は「正義」と呼んだのだろう。

ひとしきり語り終えると、宍戸は物悲しくも凛とした「AIR PLANE」のイントロをつま弾いた。シンプルにそぎ落とされた演奏が彼らの決意をより、浮彫にするようだった。


終盤では「賛美歌」を皮切りに、「東京タワー」「Lullaby」とアップテンポなキラーチューンを畳み掛けると、そのまま失速することなく、「月と太陽の日々」で本編は終了。


アンコールでは、宍戸が1年前にWWWでの公演を断念したエピソードを語り「出会ってくれた全ての人に、感謝とエールを込めて」と「消えないロンリー」を披露。ミラーボールが回り、プラネタリウムの様な空間の中で、壮大で切ないメロディーがじんわりと響き渡った。

アンコールが終わり、場内のBGMに「ファンファーレ」が流れると、フロアの観客は会場を去るどころか大合唱を始めた。曲が終わると「聴こえたぜ?」と、嬉しそうな笑みをたたえた3人が再び登場。ライヴ序盤のMCで宍戸はこの日のライヴを「僕たちだけじゃなく、みなさんを主人公にしたい」と語っていたが、このダブルアンコールの立役者は間違いなくフロアを埋め尽くす観客たちだろう。

ラストは「でくの坊」。遅刻を繰り返す歌の主人公にちなんで最後は宍戸が「どうもありがとう!明日、遅刻すんなよ!」と一日の感謝を口にした。

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バンドにみなぎる勢いや熱を、ただそれとして叩きつけるのではなく、曲に見合った表現をするための糧とすること。自らの葛藤も、生き様として語り尽くすこと。苦悩の混沌からわずか1年で、手にした武器はあまりにも強い。バンドとして期は熟した。まさに今がその時、Time To GO!

テキスト:イシハラマイ
撮影:釘野孝宏

【セットリスト】
01.ファンファーレ
02.まっすぐに
03.butterfly (in my stomach)
04.Day after tomorrow
05.Youth
06.LOVERS
07.ギブ・ミー・チョコレート
08.BLUE
09.Yellow
10.白雪
11.seen
12.ラストワルツ
13.AIR PLANE
14.No.8
15.スタンドアローン
16.After party lululu
17.賛美歌
18.東京タワー
19.Lullaby
20.月と太陽の日々
en1.消えないロンリー
en2.Drape
en3.灰色の虹
wen1.さよなら光
wen2.でくの棒

【ライブ情報】
7月02日(土) 心斎橋 AtlantiQs 「大阪・見放題」
7月07日(木) 下北沢SHELTER w : moke(s)、それでも世界が続くなら
7月10日(日) 大阪・天王寺Fireloop 「オイフェス」
7月11日(月) 下北沢ERA(宍戸 翼弾き語り) 「folky bread~下北沢ERA編~」
7月17日(日) 下北沢ERA・GARAGE・ERA bar 「たからものさがし」
8月08日(月) Zher the Zoo YOYOGI w : HICKSVILLE / The HIGH
8月11日(木) 名古屋CLUB UPSET THE PINBALLS / Droog 他
8月12日(金) 神戸VARIT. w : LOVE LOVE LOVE / 橙々他
8月15日(月) 大塚deepa pre. 「若者のすべて」
8月19日(金) GOLDEN PIGS YELLOW(宍戸 翼弾き語り) w : 海北大輔(ロストインタイム ) 他
8月20日(土) 下北沢ReG 「NEWScript presents『NEWScript Fest 2016 -DAY1-』」
8月22日(月) 渋谷La.mama FOLKS / polly 他
8月24日(水) HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2 w : ircle / LAMP IN TERREN 他
9月14日(水) 下北沢SHELTER w : THE PINBALLS
10月2日(日) 新宿BLAZE w : J(LUNA SEA)

公式ホームページ
http://thecheserasera.com

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