浜田省吾 のライブレビュー (222件)

浜田省吾

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ロックフォーク/ニューミュージックポップス

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フィジーさん

浜田省吾の10年ぶりのオリジナルアルバム「Journey of a Songwriter〜旅するソングライター」は、それ自体が高い完成度を誇っているが、ライブで聴くことで1曲1曲が立体的になっていった。止まっている絵が動き出すように。 典型的なのが「夜はこれから」。アルバムを聴いた段階ではサウンドに凝った軽快なダンスミュージックだと感じただけだったが、ライブでの盛り上がりは絶大であった。そのひとつ前に「夢のつづき」を静かに歌い、観客の涙を誘っていただけに、この2曲の間の空気の転換も効果的だった。ここから「恋する気分」につなげ、小田原豊のドラムソロで始まる「きっと明日」も素晴らしかった(NOKKOの後ろにいる小田原豊もいいが、浜田省吾のリズムを刻む小田原豊もやはりいい)。 「五月の絵画」が10年前の「花火」の続編だったというのも興味深い。10年ぶりのアルバムは、単に久しぶりに発表したというわけではなく、きちんと時の流れを織り込んでいるのだ。踊れるラブソングと称した「美しい一夜」、客席を3つに分けて歌い出しをハモった「ハッピー・バースデイソング」などでは客席を取り込んだ。 この日は今年初めてのライブ。「クリスマスは過ぎたのに『サンシャイン・クリスマスソング』を歌うべきか悩んだ」と浜田省吾は話したが、ファンからすればそれは違う。「歌ってくれなければいけなかった」のだ。なぜなら、このアルバムの全ての曲をライブでもう一度聴ける機会は、今後もうないかもしれないからだ。「サンシャイン・クリスマスソング」の背景にあるものや、「瓶につめたラブレター」の後で浜田省吾の口から出た「誰に届くかわからないラブレター。曲も歌ってみないとわからないよね」という、ある種の本音も、このアルバムツアーならではなのだ。 タイミングという点では、北朝鮮が核実験を行った翌日に歌った組曲「アジアの風 青空 祈り」には、おそらくこれまでのどの会場の観客よりも今日の観客はビビッドな印象を抱いただろう。そして「誓い」で締めくくるPart1は圧巻だ。 このように、アルバム「Journey of a Songwriter」は、ライブによって躍動し、アップデートする。ライブを観る前と観た後では姿を変えるのだ。浜田省吾のキャリアを今後語るなら、このツアーのPart1は必ず見ておかなければならない。 Part2の名曲の数々には相変わらず圧倒させられた。長田進のギター、河内肇のピアノ、福田裕彦のシンセサイザー、美久月千晴のベース、古村敏比古のサックスをはじめとするホーンセクション、バッキングボーカル、すべてに拍手を送りたい。なお「演奏旅行」の最中に、浜田省吾が勢い余って町支寛二をあわや客席に突き落としそうになり、2人が肩を組んで苦笑いしながら歌ったシーンも記しておく。 「旅するソングライター」の歌詞に「成し遂げたことより 今をどう生きるかって考えてる」というフレーズがあるが、それを体現したライブであった。

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