第6回
<フォーエバーヤング2015>10th Anniversary 南こうせつ、森山良子、2人のコラボレーションが最高!
2015/06/25
私的なことで申し訳ないが、今回は個人的なことを書かせていただく。
6月14日(日)、午後4時半より7時まで、長野県須坂市にある須坂市文化会館メセナホールで、<富澤一誠プロデュース フォーエバーヤング 2015 10th Anniversary>が行なわれた。
冠に<富澤一誠プロデュース>とあるように、このイベントは私が自分の故郷・長野県須坂市で行なっているものである。
そもそものきっかけは10年程前に遡る。10年は一昔、と言うが、<フォーエバーヤング>にかぎっては、10年前のことがつい昨日のことのように思い出される。つまり、10年という長い年月ではあるが、それを超えてしまうほどの楽しさがこのイベントにはある、ということだ。
須坂市文化会館メセナホールの方から「富澤さんプロデュースで何か楽しいフォーク・コンサートをやっていただけませんか?」というオファーをいただいたとき、それまで心の片隅で眠っていた私の“故郷魂”に火がついたのだ。それまでは、高校を卒業して上京して以来、私の目は東京という中央にしか向いていなかったが、そういえば私を育んでくれた故郷に何ひとつ恩返しをしていない、ということに気がついたので、微力ながら故郷に恩返ししようと思ったのだ。だったら、私のプロデュースで、他の所ではできない私なりのイベントをしようと考えたのである。
そして私は先輩である杉田二郎さんの所を訪ね、「私の故郷である須坂市のためにぜひ力を貸していただきたい」とお願いをした。「一誠さんの故郷のためだったら」とふたつ返事で引き受けてくれた杉田さんはアーティスト仲間にすぐさま声をかけてくれた。そうして2006年に〈フォーエバーヤング〉の第1回目が始まった。
出演者は杉田二郎さん、因幡晃さん、永井龍雲さんの3組だった。このとき、私がプロデュースをするにあたってコンセプトを立てたことは、3組のアーティストの顔合わせが“初めて”ということだった。つまり、3組のアーティストのジョイントはあくまでもオリジナルであり、つまり、〈フォーエバーヤング〉は、須坂発の〈オリジナル・イベント〉であることを、プロデュースの命題にしたということだ。おかげさまでこのイベントは回を重ねるたびに評判を呼び、3回目あたりから“満席(1100席余り)”となり、いつしか須坂市の風物詩に成長することができたのはうれしいかぎりだ。
ちなみに2回目以降の出演者を紹介しておこう。
〈第2回〉2007年5月20日
庄野真代、細坪基佳、三浦和人
〈第3回〉2008年5月18日
イルカ、山本潤子、鈴木康博
〈第4回〉2009年5月17日
新井満、トワ・エ・モワ、ビリー・バンバン
〈第5回〉2010年5月16日
尾崎亜美、ばんばひろふみ、ブレッド&バター
〈第6回〉2011年6月19日
杉田二郎、トワ・エ・モワ・ビリー・バンバン、ばんばひろふみ、細坪基佳、永井龍雲
(注)メセナホール開館20周年記念のためスペシャル・バージョン〈メセナ・フォークジャンボリー〉として開催。
〈第7回〉2012年6月12日
チェリッシュ、岸田敏志、渡辺真知子
〈第8回〉2013年6月16日
五つの赤い風船、ダ・カーポ、山本コウタロー
〈第9回〉2014年6月15日
太田裕美、紙ふうせん、マイク真木
そして2015年がなんと10周年で、南こうせつさんと森山良子さんが「一誠さんの故郷のためだったら」ということでこれまたふたつ返事で引き受けてくれた。もちろん10周年記念ということで、2組の〈ビッグ・ショー〉という特別編成だった。
大ホールでの本番の前に、中庭ステージでは恒例の〈プレ・ステージ〉が午後3時から4時まで行なわれた。〈フォーエバーヤング〉のイベント・テーマソング「どこで暮らしていても」を歌うさくまひできさんに、今年はもうひとり、“ソプラノ歌手”であるが、最近ではクラシックからポップスまでジャンルを超えたクロスオーバーで活躍している北野里沙さんが花を添えてくれたので、さらに盛り上がったことは言うまでもない。また、フォーク&ニューミュージックの貴重な資料を展示する〈フォーク資料展〉も好評で、開演前にもかかわらず、ロビーはたくさんのお客さんでいっぱいだった。
そんななか、本編が始まった。緞帳が上がると、いきなりさくまさんの「どこで暮らしていても」が始まった。まさにオープニング・テーマにふさわしい。そして、私が10周年のお礼の挨拶をして、南こうせつさん、森山良子さんを呼び込んで、しばし、よもやま話。その後、すぐに〈南こうせつ・オンステージ〉が始まった。軽妙なトークをまじえながら、泣かせるところは泣かせ、盛り上げるところは盛り上げる、というステージ展開で〈さすが南こうせつ〉というエンタテイナーぶりだった。
こうせつさんのステージが終わって、続いては、森山良子さんとの〈コラボレーション・ライブ〉が圧巻だった。往年のアメリカン・フォークソング「花はどこへ行った」も素晴らしかったが、良子さんのオリジナル曲「さよならの夏」をこうせつさんが気に入って、コラボしたステージはひと味もふた味も違っていた。まさにふたりがコラボすることで化学反応が起きたのか、独特の“歌の世界”を確立していた。
コラボレーションの後は〈森山良子・オンステージ〉。おなじみの「この広い野原いっぱい」の他に、今回はカバー・アルバム『フォークソングの時代』からカバー曲「今日までそして明日から」(吉田拓郎)、「プカプカ」(西岡恭蔵)を取り上げて、森山さんの世界に作り上げていた。もちろん「さとうきび畑」「涙そうそう」の、瞬時に聴き手のハートを鷲づかみにしてしまう“歌力”は改めて感動ものである。
アンコールは、こうせつさん、良子さんによる「あの素晴しい愛をもう一度」と、そしてこのイベント恒例のラストソングは、出演者全員とお客さんが一体となった大合唱「故郷」。さくまひできさん、北野里沙さん、もちろん、私も参加しての、まさに〈シングアウト〉で幕を閉じた。鳴り止まぬ拍手を聴きながら、「来年も頑張ろう」と誓った私でした。来年、ぜひ顔を出してみて下さい。
(文/富澤一誠)
【関連リンク】
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