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富澤一誠のライブ・カルテ! 第33回 : 「〈松山千春 40周年記念 弾き語りライブ〉(日本武道館)は千春渾身のメッセージだった!」

第33回

〈松山千春 40周年記念 弾き語りライブ〉(日本武道館)は千春渾身のメッセージだった!

2016/08/10

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松山千春が8月8日(月)、東京・日本武道館でデビュー〈40周年記念 弾き語りライブ〉を行った。
 
千春が武道館で単独コンサートを行なうのは1996年以来、20年ぶり3回目となり、全編ひとりで弾き語りスタイルで行うライブはデビュー以来実に39年ぶりとなる。


 午後6時半が開演予定時刻だったが、その前から会場では拍手が鳴りやまなかった。いきなりアンコールを求める拍手の嵐だったと言っていい。つまり、このコンサートはお客さんにとっても特別な存在だったのだ。おそらくファンそれぞれの胸には千春と歩んできた40年という年月が走馬灯のように蘇ってきたのだろう。


 道外初のコンサートとして、千春のワンマン・コンサート〈松山千春ファースト・コンサート〉が、77年11月16日に新宿厚生年金小ホ―ルで行われた。あいにく外は雨だったが、客席は千春人気を反映してか立見が出るほどの盛況だった。

 千春はニッカポッカのズボンに登山靴といういでたちにサングラスをかけて、方言丸出しでしゃべりながら、ギター一本の弾き語りでコンサートを行った。初めのうちは、あまりにも奇妙なファッションとしゃべりに、客席から苦笑が湧き起こったが、それも曲が進むにつれ静かになり、千春が『旅立ち』を泣きながら歌うともうみんながすっかり千春のとりこになってしまっていた。

 コンサートは成功だった。このコンサートの成功により、「ステージもなかなか面白いではないか」という評価が得られるようになった。東京での初めてのコンサートの成功は、千春及びスタッフに北海道以外でもやれる、という自信をつけさせた。


 「DJでいくら受けても、あまり実感はない。だから、はっきり言って、客が入るかとても心配だった。いくら北海道で人気があっても東京は都会だからな。オレのような田舎者が都会で受け入れられるか、自信がなかった。それが、やってみて、自信を持てるようになった。これなら、どこでやってもいけるかなという気になって来た」


 千春はそう語っているが、千春だけではなくスタッフ全員がそう思い始めていた。

 必然的に「全国でコンサートをやってみよう」という意見が出て来た。

 つまり、このコンサートがまさに千春の出発点だったのである。


 40年が経って、武道館という大きな会場に設けられたステージはおそらく武道館に設置されたものでは一番小さいかもしれない。それもそのはずで弾き語りスタイルなので千春ひとりが歌えるスペースがあればいいからだ。ボーカル・マイクの他には生ギターが数本並べられているだけの小さなステージで千春の〈40周年記念弾き語りライブ〉は始まった。

 1曲目のイントロが始まると観客の待ってましたとばかりの熱い想いがさく裂した拍手が沸き起こった。しかし、それにしては馴染みの薄い曲だった。拍子抜けをしたお客さんの心を見すかしたように千春のしゃべりが笑いを誘った。


 「期待していたわりには『MY自転車』。ま、捨て曲というか。遅れてくる人たちのことを考えて……」


 のっけから千春節でお客さんのハートを瞬時にして奪ってしまうトークはさすがである。

 ここからはもう千春の独壇場と言っていい。しゃべって歌っての繰り返しで、1部が60分、15分の休憩をはさんで2部が60分。そしてアンコールが30分、と千春の〈弾き語りライブ〉は続いた。それではポイントをかいつまんで話したいと思う。


 一番じーんときたのはやはり家族の話だ。

お父さん、お母さん、そして姉弟のこと。千春は家族想いだが、今回は48歳で亡くなった実姉・絵里子さんの闘病生活の話が泣かせた。自分だったらどうしただろうか? と思わせるものがあったが、そう思わせるところが千春のオリジナリティーでありリアリティーなのだ。だからこそ、千春の歌には“魂”が入っているのだ。

 2部のラスト3曲「この世で君が一番好き」「父さん」「旅立ち」と続いて本編の幕が降りるという流れは秀逸だった。


 アンコールは「長い夜」で始まって「季節の中で」「伝えなけりゃ」ときて、千春の最大の人生応援歌「大空と大地の中で」をお客さんと大合唱をして幕。見事な盛り上がりだった。


 観客の熱い拍手にこたえてこれでは終わらなかった。本当のラスト曲は「凡庸」。「これからも歌うぞ。歌い続けるぞ」という千春の固い決意が感じられる骨太な歌だった。

 会場を後にするとき、千春のこんな言葉が私の頭の中でめぐっていた。


 「松山千春を育ててくれたのはあなたたちです!」


 おそらく千春のこの熱い言葉をそれぞれの心に抱いてお客さんは武道館を後にしたに違いない。それが松山千春の最大にして最強のメッセージなのだ。


 千春のファースト・アルバム「君にために作った歌」の宣材用パンフレットに私は「松山千春は、とんだ掘り出し者であった。彼のはじめてのソロ・アルバムをじっくり聞いてみて、ぼくはそう思わざるをえなかった。」という推薦文を書いた。
 
あれから40年が経った今、私は実感している。松山千春は「とんだ掘り出し者であった」どころか「とんでもない掘り出し者だった」と。

千春が歌いつきるところまで私は頑張って見届けたいと思う。それが〈フォークの従軍記者〉と自負している私の使命だと思うからである。

(文/富澤一誠)

【関連リンク】

  • 松山千春 『旅立ち'77』@ 東京厚生年金会館 (東京都) 1977/11/16 (水)
  • 松山千春 『松山千春 デビュー40周年記念コンサート』@ 日本武道館 (東京都) 2016/08/08 (月)

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プロフィール

COLUMNIST
富澤一誠
富澤一誠

わかりやすいキャッチコピーを駆使して音楽を語る音楽評論家。
1951年、長野県須坂市生まれ。東京大学中退。71年、音楽雑誌への投稿を機に音楽評論活動を始め、以降、44年間に及ぶ評論・執筆活動において、一貫して追い求めているテーマは<音楽を熱く語る>こと。
音楽に対する理念は「いい曲は売れてあたりまえ」「いい曲、いいアーティストにチャンスを与えたい」。現在、レコード大賞常任実行委員、尚美ミュージックカレッジ専門学校客員教授も務めている。
著書に、ベストセラーになった「俺の井上陽水」「松山千春・さすらいの青春」「さだまさし・終りなき夢」を始めとして「あの素晴しい曲をもう一度」(新潮新書)「フォーク名曲事典300曲」「J-POP名曲事典300曲」「Age Free Music・大人の音楽」(共にヤマハミュージックメディア)「『大人の歌謡曲』公式ガイドブック」(言視舎)「ユーミン・陽水からみゆきまで」(廣済堂新書)など全62冊。現在<Age Free Music!>(FM NACK5)、<Age Free Music~大人の音楽>(TOKYO FM系列JFN36局ネット)、<昭和ちゃんねる・富澤一誠の青春のバイブル>(USEN I-51)、<あの年この歌>(BSジャパン)などのパーソナリティーとしても活躍中。レコード会社15社合同キャンペーン<Age Free Music~大人の音楽>総合プロデューサーとして、良質な<大人の音楽>を推奨している。

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