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富澤一誠のライブ・カルテ! 第52回 : 「〈ISHYST〉はカバーソングとオリジナル・ソングが紡ぐことで織りなすタペストリーのようなまったく新しいタイプのコンサートである!」

第52回

〈ISHYST〉はカバーソングとオリジナル・ソングが紡ぐことで織りなすタペストリーのようなまったく新しいタイプのコンサートである!

2017/05/25

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 ひと味違うコンサートを見た。5月20日(土)、Zepp Divercityで〈TATSUYA ISHII CONCERT TOUR 2017 「ISHYST~REMEMBERING SONGS~」〉と題された石井竜也のコンサートである。

 最近よくある“カバーソング”のコンサートだが、でもそれだけではない。ひとひねりがしてあるので、カバーソング・コンサートだけれども“オリジナル・コンサート”でもあるのだ。
カバーソング・コンサートなのにオリジナル・コンサートと言うと、「何、それは?」ということになるが、つまり、今までどのアーティストもやったことのないオリジナリティーにあふれているということだ。


「石井竜也の感性が選んだセイムセンスの名曲揃い!」

 ここ数年感、カバーブームでたくさんのアーティストたちがカバーアルバムを作り、カバーソング・コンサートをやっている。これはこれでいいのだが、正直言って、今では食傷気味である。だから、石井がカバーソング・コンサートをやると聞いたときは「なぜ今頃、カバーなのか?」と思ったものだ。

しかし、それは私の早とちりだった。というのは、彼がやろうと意図しているコンサートは、カバーソングを単に並べただけのものではなかったからだ。

 まず選曲のしかたがふつうとは違っている。カバーソングをやる場合、ふつうは誰もが知っているヒット曲であり名曲ということになる。となれば必然的に誰が選曲しても同じような曲目になってしまう。後はアレンジに趣向を凝らしてどんなふうに歌うのか、ということになり“シンガー”勝負となる。

 しかし、石井の選曲は根本的にそれらとは異なっていた。誰もが知っている名曲を選ぶのではなく、石井の感性でこの曲は名曲なので自分が歌い継いで後世に残したいと思ったものを選んでいくので、同じアーティストの曲が複数曲選ばれるということになる。

カバー曲を選ぶ場合、ふつうはワンアーティスト、ワンソングということになる。こちらの方がバラエティーに富むからだ。しかし、名曲で選ぶと、1組のアーティストに集中することも不思議ではない。ごもっともな話だが、今回あえて石井はこの手法を取ったのだ。当然のことながら、選ばれた曲は同じアーティストから複数曲ということになる。

 たとえばペドロ&カプリシャスは「別れの朝」「ジョニィへの伝言」「五番街のマリーへ」が選ばれている。これは3曲共に名曲なのでどれか1曲を選べ、ということの方に無理がある。しかし、これまではワンアーティスト、ワンソングという常識にとらわれていたので1曲を選ぶことになる。こちらの方が本来は無理だったのだ、ということになぜ気がつかなかったのだろうか?

 同じように渡辺真知子は3曲(「かもめが翔んだ日」「ブルー」「迷い道」)、八神純子は2曲(「思い出は美しすぎて」「想い出のスクリーン」)、村下孝蔵は2曲(「初恋」「踊り子」)、来生たかおは2曲(「セカンド・ラヴ」「夢の途中」)などということになる。


「カバーソングとオリジナルソングを石井竜也の歌が見事に紡いでいる」

 言ってみれば、石井が「いい」と思って選んだ曲は石井と“セイムセンス”ということで共通しているものがあるので、突き詰めていけば、それはつまり、石井のオリジナル曲ともセイムセンスということになるのだ。

そのことがわかっているので、石井はコンサートのセットリストを考えるときに、自分の感性で選んだカバーソングと自分のオリジナルソング(「青に染まる窓」「潮騒」「僕の声」「プラネタリウム」など)を同列に考えて、カバーソングとオリジナルソングを織りなすようにして“つづれ織り”のような構成を考えたに違いない。つまり、カバーソングとオリジナルソングを石井という感性のセンスで歌で紡ぐことによって石井ならではの“タペストリー”を作りあげた、ということである。

 カバーソングとオリジナルソングが紡ぐことで織りなすタペストリーのようなまったく新しいタイプのコンサートが〈ISHYST~REMEMBERING SONGS~〉なのである。こんなに新しいコンサートは見たことがない。カバーソング・コンサートを超えたまさに〈オリジナル・コンサート〉である。

(文/富澤一誠)

【関連リンク】

  • 石井竜也 『TATSUYA ISHII CONCERT TOUR 2017 「ISHYST~REMEMBERING SONGS~」』@ Zepp DiverCity (東京都) 2017/05/20 (土)

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プロフィール

COLUMNIST
富澤一誠
富澤一誠

わかりやすいキャッチコピーを駆使して音楽を語る音楽評論家。
1951年、長野県須坂市生まれ。東京大学中退。71年、音楽雑誌への投稿を機に音楽評論活動を始め、以降、44年間に及ぶ評論・執筆活動において、一貫して追い求めているテーマは<音楽を熱く語る>こと。
音楽に対する理念は「いい曲は売れてあたりまえ」「いい曲、いいアーティストにチャンスを与えたい」。現在、レコード大賞常任実行委員、尚美ミュージックカレッジ専門学校客員教授も務めている。
著書に、ベストセラーになった「俺の井上陽水」「松山千春・さすらいの青春」「さだまさし・終りなき夢」を始めとして「あの素晴しい曲をもう一度」(新潮新書)「フォーク名曲事典300曲」「J-POP名曲事典300曲」「Age Free Music・大人の音楽」(共にヤマハミュージックメディア)「『大人の歌謡曲』公式ガイドブック」(言視舎)「ユーミン・陽水からみゆきまで」(廣済堂新書)など全62冊。現在<Age Free Music!>(FM NACK5)、<Age Free Music~大人の音楽>(TOKYO FM系列JFN36局ネット)、<昭和ちゃんねる・富澤一誠の青春のバイブル>(USEN I-51)、<あの年この歌>(BSジャパン)などのパーソナリティーとしても活躍中。レコード会社15社合同キャンペーン<Age Free Music~大人の音楽>総合プロデューサーとして、良質な<大人の音楽>を推奨している。

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